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不登校児の詩

夏の終わりを報せる旋律
朝に弱い僕は
大切じゃないモノしか集めることができない
早いモノ勝ち
あの子は1等賞のアイツを好きになった

輪の外へ逃げたはずが
そこは弱い蛞蝓(なめくじ)のための牢屋
この痒さ憎たらしい
いっそ痛いくらいでいいのに
心とかいう架空の臓器
ソイツを凍りつかせていれば
大丈夫でいられる
僕は無敵でいられる

インスタントな薬草の在り処(ありか)
さ迷う掌(てのひら)の社交場
分かったふり知らないふり別にいいから
見てよ言ってよ聞いてよ
誰かは決まって誰かの代わり
そんなんでいいから僕をその誰かにしてよ

とうてい吐き出せやしない
唯(ただ)……タダ!真っ黒
だってのに
ゴミ箱に溜まってくのは白紙の日記
真っ白い記憶ばかり
この際そうさ
黒がいい悪モノがいい
書き殴った言の葉で紡がれた紙飛行機の空爆
煤の雨を降らすんだ

臭くさえある甘ったるい優しさ
そんなモノいらないから
僕からもう何も奪わないで
たとえ大切じゃなくても
今は今だけはそれが必要なんだ
楽園にはきっと違いも差もない
機械仕掛けの手乗り鯨(くじら)
手遅れなほど黒ずんだ僕を
どうかそこへ連れてって

嘲りも同情も無関心も
もうどうだっていいから
僕から大切をひとつ足りとも奪わないで
大切じゃなくても大切なんだ
だってさ
キミがそこに居たから
理解できないはずのモノが
ここにも在ったから

真っ黒が薄まってゆく
真っ白が色づいてゆく
なんてことない
僕は初めから大丈夫だったんだ

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