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ジングルベール #シロクマ文芸部

十二月は魔法を持っている人のための月です。それはサンタクロースだったり、七福神だったりに代表されるのですが、そんな目立つ人たちではなくてもって話なんです。

清子さんは「十二月に入ったんだし」という理由でもなく、庭の向こうに広がる林の中を散歩して、集めてきた木の実や枝を使ってリースを作りました。ささやかなお楽しみです。自然から集めてきたものは、一見、みんなそれぞれ、あっち向いたりこっち向いたり、あんな色やこんな色だったりしていても、集合させてみるとみんな仲良くしてくれます。不思議なことになんの秩序がなくても、調和してしっくりくるのです。だから、清子さんはここに住んでいるんでしょうね。清子さんも仲間に入れてもらっているのです。

リースを玄関ドアに飾ったら、すっかりウキウキしてしまったので、そのウキウキした足取りのままに清子さんは行きつけの「カフェカワウソ」にやってきました。たまにひょっこりとバイトしている鈴子さんが、名前の通り鈴のなるような丸い声で清子さんを迎えてくれました。早速、「どんぐりコーヒー」を頼むと、カワウソクッキーがついてきました。十二月なのでサービスがこのクッキーと聞いて、どうやら、カフェカワウソにも魔法を持っている人が常駐しているようだと、清子さんはうっとりとしました。

その日はお客さんが少なかったせいか、鈴子さんが珍しく話しかけてきました。このカフェではみんなあまりおしゃべりはしません。それぞれの時間を邪魔しないように、そおっとしておいてくれるのが特徴です。

鈴子さんは少しもじもじしながらこう言いました。

実は私、「ジングルベール」なんです。クリスマスの日に。

清子さんは一瞬なんのことだろう?と思いましたが、すぐにピンっと来ました。なんせ、清子さんですからね。誰よりも魔法を持っている人とも言えましょう。

わあ、おめでとう!!

さあ、皆さんもお分かりになりますか?

🎄

今週もシロクマ文芸部に出席します。
小牧部長、小牧幸助文学賞、すごい反響でしたね。部長の底力はどこまですごいんだろうと思いながら、こうして皆さんに楽しみを届けられる小牧部長はサンタクロース並みに魔法が使えると思っています。

このなぞなぞとも言えないなぞなぞ?が私からのクリスマスプレゼント第一弾です。

いただいたサポートは毎年娘の誕生日前後に行っている、こどもたちのための非営利機関へのドネーションの一部とさせていただく予定です。私の気持ちとあなたのやさしさをミックスしていっしょにドネーションいたします。