りんご箱の中からみる星空は
見たこともないような
美しいものでした

不思議なものです
さっきまでは
どうしてこんなことになったのだろうと
頭を悩ませていたというのに

目の前に広がる
降ってくるような星々を見つめていると
この星を見るためにここにいるのだと
そんな気がしてきました

りんご箱の中には
少し歪なたった一個の青りんごと
自分だけです

細波がゆらんゆらんと
抱きしめるでもなく
突き放すでもなく
一緒にいてくれます

これからどこへ流れていくのでしょう
海に飲み込まれてしまうのでしょうか
それは誰にもわかりません
青りんごにも
僕にも

　幸いこのリンゴは
　僕の体の20倍はあるのだから
　しばらくはこれを食べて生きていこう

夜は星を数えながら
昼は雲を眺めながら

それから数週間が過ぎました
りんご箱は
ゆらゆらと旅を続け
浜辺に辿りつきました

イルカも人魚も
助けにはきませんでしたし
不思議なことにひっくり返ることも
ありませんでした

小さな青いシジミチョウが
その周りを飛んでいます
離れ難いように

まるで海の青を映す様な
色をして

🦋

今週もなんとか参加できました。
小牧部長、ありがとうございます。

一昨日の夜、書き始めた時は
ネズミの兄弟の話でした。
ほとんど書き上がっていたのだけど
今日書いていたら違和感を感じて
全部消して書き直しました。

ネズミがりんご箱で海を漂流する話を書いていたのに
どうしてこうなったんでしょう。笑