閏年
二月二十九日の夜にだけ
月の種を集められます

過不足なく計算された
向こう四年分を

ひとつひとつ
大切に磨いてから
ひとつひとつ
小瓶に詰めてコルクで蓋をします

そうして波に乗せて
世界中に届けるのです

遠くの浜辺についたり
ウミネコに運ばれたりして
いつしか
どこでもないどこかで
芽を出します

花の色も咲いてみなければわかりませんし
形も香りも
その時になってみなければ
さっぱり予想もつきません

それでも
必ず芽を出して
必ず花を咲かせます

最後に一粒の種になります
もうピカピカでもありませんし
月の種ともわかりません

誰も知りませんが
世界はそんなものに
そっと守られています

閏年がある限り

🌕

小牧部長、今週もありがとうございます。
トラオさんが素敵な写真を撮って来たので、
そこから今週はイメージを膨らめてみました。

今日は文フリ広島ですね。
ウミネコたち羽ばたいているかしら。