見出し画像

2022年アカデミー賞映画『Coda コーダ あいのうた』

2022年アカデミー賞 作品賞、脚色賞、助演男優賞の3部門受賞映画です。

あらすじ

家族の中でひとりだけ耳が聞こえるルビー(エミリア・ジョーンズ)は、幼い頃から家族のために“通訳”となり、家業の漁業も手伝っていた。歌が好きな彼女は、高校の合唱クラブの先生に才能を見出され、名門音楽大学への受験を勧められるが…。自分の夢と家族との関係で揺れ動く様子を描いた作品です。

予告動画

Amazon プライムビデオで動画配信されています。
2023年6月16日に金曜ロードショーで地上波放送されたので、見た方もいると思います。

感想

英語+日本語字幕で見ました。(ちょうど1年前)
アカデミー賞受賞作は黒人差別など社会問題が多いですが、この作品は見終わった後、良い映画を見たなーと感じれる、構成のしっかりした作品です。

後半の一部を紹介します。

父親→娘の描写
高校でのコンサートの演奏後、まわりが拍手喝采の中、耳が聞こえないので、娘の歌声がどれだけ良かったのかわからない家族。コンサートから帰宅後、きらめく星空の元、父親が娘ルビーに声をかけます。

Stars don’t look half as good on land as they do out on the water. 
(ここで見る星空は、海の真ん中で見る星空よりも半分も輝いて見えないな。)

耳の聞こえない父親が娘ルビーの歌声の良さを感じられないことの暗喩です。その後、父親が自分のために歌って欲しいとルビーにお願いしますが、当然その歌を父親が聴くことはできません。父親はルビーの喉に手を当て、その振動を頼りにルビーの歌を感じ取ろうとします。父親→娘へ理解しようとする表現です。

娘→家族の描写
終盤に音楽大学のオーディションで歌うシーンがあります。緊張しながら歌っていると、2階席に両親と兄が現れます。ルビーは気持ちを切り替え、声の限り家族に届けようと、手話を交えて歌います。星空での父親とのシーンに呼応し、娘→家族へ伝える表現となっています。

なお、オーディションの歌は、ジョニ・ミッチェルの「Both Sides Now」という曲です。邦題では「青春の光と影」で抽象的な歌詞で理解が難しい曲ですが、エミリア・ジョーンズの歌声が良いです。

映画では、娘ルビーが聴覚障がい者の家族と健聴者と両側の世界を知る「2つの立場」を持ち、つながっていることが表現されています。

なお、映画の作品中に下品な性的表現が多数ありますが、耳の聞こえない家族との関係を描く上で必要な部分です。

良い映画を見たなーと感じられると思うので、まだ見てない方は見てみてください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?