見出し画像

薬用化粧品のシワ改善は本当に効果あるの?

こんにちは。level4です。
薬剤師の資格を持ってるのに、薬関係のことをあまり書いていなかったので今日は少しだけためになりそうな内容を書きたいと思います。

みなさん、「薬用化粧品」はご存知ですか?
化粧品のような使い方をする医薬部外品をこう呼びます。

では医薬部外品とはそもそもなんでしょうか。

薬機法(旧:薬事法)第2条第2項に医薬部外品の定義が書かれております。
一部抜粋すると、「医薬部外品とは、(略)、人体に対する作用が緩和なもの」とあります。

簡単に言えば、「作用はそこまで強くないけど、ある程度の効能効果が謳える製品」が医薬部外品です。
ちなみに効能効果は行政からのお墨付きをもらっているので、一応の効果は保証されています。

ただし、お墨付きをもらっているからと言って本当に効果があるのかはわかりません。
それはなぜなのか?

医薬部外品の効果は過信禁物?

行政が医薬部外品として承認する際は、成分の種類や量を見ます。
しかし、実際の臨床試験結果などは審査の対象外です。

例えば、代表的なしわ改善成分に「ナイアシンアミド」があります。
この成分が一定量含まれている製品であれば、「シワ改善」と謳っていいと一応のお墨付きを付けているにすぎません。
実際にその製品にその効果があるかどうかは見ていないのです。
さらに、シワにもグレードがあり、どんなシワにも効くというわけでもありません。

薬用化粧品のシワ効果はいかほどのものか

医薬部外品のシワ改善効果については、「日本香粧品学会ガイドライン」で明確に定められています。

まず、シワにはグレードがあり、グレード0~7までの8段階を基準としています。
また、基準とするシワの部位は「目じり」です。

日本香粧品学会ガイドラインより引用


このうち、医薬部外品で検証されるシワグレードは「3~5」であり、写真や機械を使った肌分析によって改善効果を評価します。

お時間のある方は詳しい分析方法や条件付けについて元論文を見てみてください。
かなりしっかり条件付けしており、信頼のおける情報となっています。
「抗シワ製品評価ガイドライン」


これらから分かることは、「深いシワ」の改善効果は確認していないということです。ほうれい線やおでこのシワへの改善効果は保証されていませんし、恐らくないといえます。

逆に言えば、目尻の小さいシワ程度については若干の改善効果が期待できるということも言えます。


まず先ほど説明したとおり、医薬部外品の効果は緩和なものでなければなりませんので、そもそも劇的な効果あるものは医薬部外品にはなりません。(医薬品になります。)

また、先ほどのシワグレードでいう6~7などの深いシワに対する効果は対象外なので、効果があるのかは不明です。
グレード3~5で少し効果がわかる程度なので、恐らくグレード6〜7のシワには効果はないと考えられます・・・。

(ほうれい線が改善するというような広告は薬機法違反です。66条第1項違反)

そもそもどうシワに効くのか

深いシワには効果がないことは、「ナイアシンアミド」の作用機序を理解すると分かります。

まず肌の構造は表皮と真皮から成り、また表皮を下から支える真皮を構成する形で、細胞成分と線維性組織を形成する間質成分から成ります。

間質成分はコラーゲンからなる膠原線維とエラスチンからなる弾性繊維。
細胞成分としてはこれらを産生する線維芽細胞がその間に散在しています。

ナイアシンアミドは、肌の線維芽細胞に働きかけコラーゲンの生成を促進することで肌の内側にあたる真皮から肌を押し上げてシワを目立たなくします。

ナイアシンアミドに関する抗シワ効果の論文を見ると、(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19017042/)、たしかに使用者28人の内64%にあたる18人で効果があると結果が出ています。
統計を行うには検体数が少ないですが・・・。


ただし、やはりこの論文でもシワグレード3〜5程度のシワに言及しており、深いシワの改善効果に対する有効性は確認されておりません。

結論

医薬部外品の「シワ改善」は、目じりの小さいシワにのみ効果を示す
が結論となります。
なんだか・・・。なんとも言えませんね・・・。

現実はいつだって厳しいものです。

深いシワを治す薬はない

残念ながら現代医学において、塗り薬や飲み薬で深いシワを改善するものは存在しません
ほうれい線やおでこのシワを取り除きたいのであれば、ヒアルロン酸注入など含む手術しかありません。

最近はネットの普及で様々な広告がでるようになりました。
中にはほうれい線やおでこのシワを強調して、あたかも深いシワが治るかのような広告もありますが、そういった広告のほぼほぼすべてが法律違反の虚偽広告といえます。

知識があれば騙されない

知識はいつでも武器になります。
少しでも皆さんの知識の一部になれるように、今後も有益(そう)な記事をちょくちょくこういった書こうかと思います。


※違反広告だと思った時は、その広告主の住所の都道府県庁薬務課にメールや電話で広告のことを伝えると広告主を叱ってくれます。

ここまで読んでくれてありがとうございました!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?