Flowvil

そう、やっぱりね、 可憐な恋には、 とても厳格で綱渡りのような作法が必要なんだ

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そう、やっぱりね、 可憐な恋には、 とても厳格で綱渡りのような作法が必要なんだ

最近の記事

『セノイ・ピープル』

じっと指の先、親指の緩い曲線を見つめていて、ふいに目を閉じてみる。 まぶたの中に、数秒の間、丸みのある指の腹が残っている。 多分、これも現実―、 本文は以下になります↓

    • 『可憐な恋の不作法』

      全く自然にお互いの唇が吸い寄せられていった。 まだ、浴室からのシャワー音は聞こえていた。 千尋の舌がしゅるっと伸びて、カケルの口の中へと入りこんできた。 互いの身体中の体液が、口の中の粘膜を通じて混ざり合っていくような感覚だった。 彼女の体液は熱く、カケルの首元から肩へ、 胸から下腹部へと流れて行って、全身がしびれるようだった。 どのくらい、そうしていただろうか、 部屋は窓を開けていたが、初夏の暑さがあって、 二人はむき出しの腕に汗をべったりとかいて、 それすらも擦り合うよう

      • 『corona beauty』

        コロナが僕らを変えることはなかった。 かえって怠慢になって、人間としての退化をしたと思っている 憤りだけが、二人に向けられた何かだったかもしれな 本文は以下のpdfになります

        • 『イージー・サン』

          人が、人として森から抜け出した日が、太古の記憶には間違いなくある。 百万年前とも三百万年前ともいわれている、気の遠くなる遥か過去に、 確かに、その日はあった。 ヒトは、いずれ手って呼ばれる前足を、そっと大地から離し、 よろめきながら後ろ足だけで立ち上がった。 それはつかまり立ちしか出来ないでいた赤ちゃんが、 そうっと手すりから手を離して、空いた手を見つめて、 それから周囲をきょろきょろするのに似ていた。 僕らの先祖は、そこで何を思っただろうか、 樹上ではいつも木の葉にさえぎら

        『セノイ・ピープル』

          『その目と耳をふさいで』

          あなたがたは、聞くには聞くが、決して悟らない 見るには見るが、決して認めない この民の心は鈍くなり、その耳は聞こえにくく その目は閉じている それは、彼らが目で見ず、耳で聞かず、心で悟らず、 悔い改めていやされることがないためである 『マタイによる福音書13.15』 本文は以下のPDFです↓

          『その目と耳をふさいで』