イスラエル・ワクチン接種プロジェクト(2)

私個人としては1月1日の朝始まった新型コロナワクチン接種プロジェクト、ちょうど3週間後の1月22日、2度目の接種に行き、無事プロジェクトが完了。

前回予約したナザレのクリニックは家からちょっと遠いので、どうしようと思ってネット予約を見てみたら、システムはサクサク動き、ずいぶんたくさんの箇所で予約ができるようになっている。それで家から比較的近いクリニックに予約を変更。

もう対象者は60歳以上だけではなく、まずは教育関係者(学校の教員組合は、自分たちに優先的に接種しなければストに突入すると言っていた)に加えて、対象年齢も40歳以上だかに引き下げられている。高校2、3年生(16-18歳)も対象年齢になるらしい。彼らは3月に高等教育機関入学資格試験を控えているというのがその理由。まあ先生と生徒合わせて接種済の人数が多ければ、対面授業は可能になるだろう。(その後、これはイスラエル独自の決定だと思うが妊婦も対象になった)。
8時前に着いた建物はこういう感じ。「みんな予防接種してコロナに勝とう」の標語が見える。

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8時少し前から、予約なしの人にも整理券を配っていた。予約がある人はメンバーカードを機械に通すと予約番号が書いた紙が出てくる。予約がある人の待合室はこんな感じ。「予防接種して勝つ」「私もコロナ予防接種済」等の標語。予約なし整理券の人は別の場所に案内されていた。いずれにしても、案内係兼セキュリティ要員は必須。場所によっては順番をめぐって小競り合いが始まることもあるらしいので。

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終わったら、保健機構クラリットのグッズ(「私もコロナ予防接種済」と書いた腕輪)と、一時的な2度接種済証明がもらえる。2度目の接種が終わってから1週間後から始まり、とりあえずは6か月間有効。これはクラリット発行の証明だが、のちに情報が保健省に送られ、保健省から正式な何かが来るらしい。

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肝心のワクチンの効果なのだけれど、研究者によると一定の効果はあるようだけれど、2度の接種を済ませて1週間経った人がもっと増えてこないと、詳細はよくわからない。Rの値は下がっているのだが、報道を見ていると、感染者が多い地区ほどワクチン接種率が低く、感染者が少ない地区ほどワクチン接種率が高い。しかもそれが社会経済的指数と関連している。つまり感染者が多いレッド地区は収入が低く、人口密度も高いしワクチン接種にも積極的ではない。グリーン地区は庭付き一戸建てでリモートワークしているような層で、この人たちはいちはやくワクチン接種を済ませている。それでレッド地区(主としてユダヤ教超正統派やアラブ人居住区ーアラブ人居住区は最近感染者がたいへん減少しているらしいが)を何とかしなければ、国全体の数字はなかなか改善しなかろう。政府もユダヤ教正統派地区への広報には非常に力を入れ、また町へのアクセスが悪い南部のベドウィンの居住区には接種巡回車を出したりして、彼らの接種率を懸命に上げようとしているらしいのだが。

なぜイスラエル(ネタニヤフ首相)がこんな短期間に大量にファイザー社から買い付けられたかについては、いろいろ憶測が飛び交っているけれど、いちばん大きかったのは恐らくファイザーへの接種後の情報提供だろう。モデルナ社のワクチンも届いているようなのだが今のところ使う風情がないのは、とりあえずファイザー社製品で結果を出すのが大事なのだろうと推測されている。ファイザー社にとっては、ここで成功したらすごい宣伝効果になるわけだし。イスラエル公共放送KANは、イスラエル政府はファイザーとモデルナ合わせて一人分47ドル払ったという報道を出してきている。https://www.jpost.com/israel-news/the-cost-of-vaccinating-israel-nis-1-billion-655088 
昨年の7月の時点でファイザーと米政府の契約が一人分40ドルと報道されていたから、https://jp.reuters.com/article/health-coronavirus-vaccine-pricing-idJPKCN24Q006 モデルナ製がもっと安いのだとしても、金額としてはそれほどとんでもなく高額というわけではないんじゃないかと私は思ったのだが。

ワクチン接種は1度目より2度目、それも女性の方が副反応が出やすいと言うので、どきどきしながら待っていたら、1度目よりも腕が重いのに加えて夕方になって寒気がしてきた。これがウワサの副反応か~と思ったのだけれど、息子が持ってきた豚骨スープ(クリスチャンの肉屋で豚骨を分けてもらって煮込むらしい)で、庭の青梗菜なんかも入れて鍋をし、〆に台所の棚に残っていた餅を入れてひとかけだけ正月の雑煮代わりに食べたら、体があったまり、気分がよくなった。元旦に始まったワクチン接種プロジェクトが、3週間後の雑煮風の餅で〆られて、私としてはとりあえず今後当分はワクチンのことを考えなくてよくなり、やれやれなのであった。

イスラエルは3度目の厳しいロックダウンが始まってそろそろ18日目で、前回の2回のロックダウン時も17日目ごろから明確な感染者数の改善が見られると言っているし、ワクチン2度目接種して1週間経った人がこれから増えてくるし、いろいろなことが明らかになるにはまだまだ時間がかかるだろうけれど、目の前の数字にいちいち一喜一憂せず、感染対策に気を付けながらフツウに生活していくしかないだろう。

2021年1月27日

追記:1月29日に保健省から来たワクチン接種証明。QRコード付き。

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2月21日から発効されるというグリーンパス。名前はなくてID番号、有効期限、QRコードのみ。こっちのほうがいかにもグリーン。

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