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シリコンバレーの歩き方

シリコンバレーというとどんなイメージが浮かぶだろうか。世界最先端のテック企業が集まるエンジニアの聖地か。あるいは青い空の下明るい太陽がずっと降り注ぐ常夏の地か。おそらくそのどちらも正解だろう。

以前こちらの記事でも書いたが私が勤める会社はカリフォルニア州のマウンテンビューに本社があるシリコンバレーの会社だ。出張などで度々訪れることがあり、その都度行ったことのないところを自分の足(とUber)でうろうろしてきた。

シリコンバレーと呼ばれるカリフォルニア州のベイエリアは青い空が一日中降り注ぐ気持ちの良い街ということ以外には特に特徴のない場所だ。車がないと移動に困ったり、大きなWalmartが街道沿いに見受けられることを考えると日本の名もない地方都市に雰囲気が似ている。

今回はそのシリコンバレーをそぞろ歩き(ときおりUber)して見つかったちょっと面白いもの、場所を紹介したい。

目次
- 現地企業
- どこにでもいるリス
- 美味しいラーメン
- スタンフォード大学で学生気分
- カリフォルニアワイン
- Golden Gate BridgeからSausalito

シリコンバレーのテック企業

シリコンバレーといえばやはり世界的なIT企業の多くが本社を構える地として有名だ。世界中から優秀な人材が集まり、新たなアイデアをビジネスの形にしている。そういったものが起こっている「現場」に出向いていけるのはなかなか意義深い経験だ。そういった熱量というか、勢いのようなものを間近で感じることができる場所、それが現地のテック企業だ。

ヤフー本社

もちろん、普通の企業なのでオフィスに勝手に入ったりできないが、AppleやGoogleなど大きな会社だとカンパニーストアと呼ばれる外部の人が関連グッズを購入できる場所があったりする。中にはそこでしか買えないものがあったりして、観光客がそこかしこにいる。何かシリコンバレーっぽいお土産が買いたいという場合にはうってつけかもしれない。

Googleのカンパニーストア。ここでChrome Castを買った

もし中に知り合いなどいれば来客という形でオフィス内に入ることができる。いくつかの企業にお邪魔させて頂いたことがあるが、その中でも私が最も気に入ったのはFacebookのオフィスだ。FacebookのオフィスはMenlo Parkという湾沿いの場所にある。元々なのかFacebookが名付けたのかわからないが、Hacker Wayというそれっぽい名前の道に囲まれた広大な敷地だ。

FacebookのHQ、Hacker Way

キャンパス内はまるでテーマパークかのような雰囲気がある。ゲームセンターやスイーツショップ、カフェテリアがいたるところにある。従業員はもちろん来客もこれらを自由に無料で利用することができる。GAFAの中では比較的若い企業ということもあり、とても生き生きとした明るい雰囲気に溢れたキャンパスだ。(少なくとも私が訪ねた時点では)

昼間からビールを飲んでいる人もいる

カフェテリアは朝から夜まで営業しているらしいが、同行してくれた人の話だと、夕方には社員の多くは帰ってしまうらしい。特に金曜日は人の帰りが早い。多くは帰ってからディナーを食べたあとも仕事をするらしいので、労働時間が短いというわけではなさそう。USオフィスの私の同僚にも早く帰る人が多いので自由に柔軟に働くことのできる人が多いのではという印象を受けた。素晴らしい。

私が訪ねたときはちょうど母の日でオフィス正面にある「いいね」の看板に花束が描かれていた。この看板は記念撮影スポットにもなっているが、実はこの裏側には...

Sun Microsystemsの文字が!Sun Microsystemsは90年台にUnixオペレーティングシステムやSPARKマイクロプロセッサで一世を風靡したテクノロジー企業だ。2010年にOracleに買収されてなくなってしまったが、ここにオフィスを持っていたことがわかる。「兵どもが夢の跡」を地で行っている感じだが、Facebookがこれを残したままにしているのは自分たちへの戒めなのかもしれない。

獰猛なリス

シリコンバレーはテクノロジー企業の集まる最先端の地でもありながら、そこで暮らしてみると普通の田舎だという事がわかる。私が田舎だと感じた最も大きな要因がリスだ。東京では見ない動物なので、散歩しながら見かけるとその度に少し良いものを見つけた気分になる。

見るからに獰猛そうなリス

リスが多い公園などの看板には「凶暴なので気をつけること」という注意書きがあったりする。可愛いけれど、うかつに近づくとたしかに襲われそうな雰囲気と機敏さを兼ね備えているので私はいつも遠くから眺めるだけだ。

ラーメンが美味しい

はじめに言っておくと私はそれほどラーメンは普段食べない。そのため特にラーメンの良し悪しに関して意見をいえる立場には全くないのだが、ベイエリアのラーメン屋さんはどれも美味しい。日本食レストランも多く、チャイニーズの美味しいところもあるのでそれほど日本の味が恋しくなったりはしない。けれどもラーメンの味は私が食べる限りは日本のものとほとんど変わらず美味しい。滞在中はついつい食べてしまいがちだ。(他の食事と比べて比較的安いというのもある)私が一番美味しいと思うラーメン屋さんはSanta Claraにある「俺ん家」というラーメン屋さんだ。

日本語のWebサイトもある

豚骨、塩、醤油と一通りのラインナップが揃っており、追加でトッピングを頼むこともできる。値段は日本よりも少し高い感じもするが、もしベイエリアに行かれた際には立ち寄ってみてほしい。日本の同名のらーめん屋さんと関係があるかはちょっと私には分からなかったが。

スタンフォード大学で学生気分

以前の記事でも軽く触れたがスタンフォード大学はベイエリアのPalo Altoにある全米屈指の名門大学だ。Googleの創業者であるLarry PageSergey Brinの出身校としても有名だ。

Palo AltoはGoogleなどのあるMountain Viewの隣町で比較的裕福な人が多い地域として知られる。あのHewlett-Packardが創業したガレージもここにある。このガレージに前には "BIRTHPLACE OF SILICON VALLEY"と書かれた記念碑があり、ここから今へと続くシリコンバレーにおけるテクノロジーの進化の波が始まった。

単なるガレージなので見逃してしまいがちだ

普通に歩いていると見落としてしまいそうになるほどの単なる民家だが、周りは手入れされた庭を持る大きなお家がいくつも連なり見るからに富裕層の街といったところだ。ちなみにPalo Altoで家を買おうと思うとどんなにしょぼくても3億円はくだらないようなので、スタートアップで一発当てたような人がここらに住んでいるのかもしれない。恐ろしい世界だ。

このガレージからしばらく歩くとスタンフォード大学だ。スタンフォード大学は理工学の分野に限らず、いろいろな団体が作っている世界大学ランキングで常に上位にランクインしている。特にコンピュータ・サイエンスの分野では土地柄もあり優秀な学生がどんどん集っているらしい。スタンフォード大学でのCSの授業についてはRui Ueyamaさんが現在進行系で受けているらしいので詳しい記事がある。


宮崎県を彷彿とさせるキャンパス

アメリカの中でも最難関の部類に入り合格率はわずか4.7%。その上学費は年間で500万円はかかる。学力的にも経済的にも大変恵まれた人しか入れない大学であることは間違いなさそうだ。そんなスタンフォード大学でも構内には外部の人間がふらふらと入ることができる。巨大なキャンパスなので天気のいい日に散歩するにはうってつけだ。恐らく一日かけても回り切ることはできない。中にはベンチたくさんあるのでそこで座ってパソコン開いて作業するとスタンフォードの学生気分で作業をすることができる。たまにカードキーなしで入れる建物もあるのでそういったところを除くと現地の学生生活を垣間見ることができる。

ちなみに大学を出てPalo Altoの駅の方に行くとダウンタウンがある。Apple StoreやBlue Bottle Coffeeがあるとてもおしゃれな通りだ。大した大きさではないが、Mountain Viewのダウンタウンと並んでご飯を食べたり、ぶらぶら買い物をするのにちょうどよい場所だ。最近やよい軒ができた。私はまだ行ったことないが日本の定食チェーン好きとしてはとても嬉しい。一度いってみたい。

ちなみにそこから更にぐんぐんとかなり北東の方に進むとEast Palo Altoという地区に入る。ここは治安が悪いので近づかない方がよい。私も車に乗っているいるときにしか行ったことがない。Mountain ViewやPalo Alto周辺は治安がよく、夜に1人で歩いていても全く危険な感じはしない。しかし時折そうでもない地区があるので少々気をつけないといけない。Palo AltoとEast Palo Altoのようにハイウェイひとつ挟んだだけで全然街の雰囲気が変わるのでうっかり迷い込んでしまわないように気をつけたい。

カリフォルニアワイン

カリフォルニアのワインは美味しい。これは私がシリコンバレーに行ってみて初めて気づいたことだ。私は普段お酒はほとんど飲まないが、カリフォルニアに行ったときは食事の際に大体ワインを飲む。お土産としても2,3本買っていく。ただ持って帰ってくると、それほどでもないかなという感じもするので恐らくあの青い空とカラッとした気候がワインを美味しく感じさせるのだと思う。

カリフォルニアワインというと日本ではOpus Oneが有名だ。Opus Oneはベイエリアの北の方のNapaという場所にあるワイナリーで作られるワインだ。Napaには他にもたくさんのワインが作られているがその中でもOpus Oneは別格だ。値段的に

Opus Oneの一面のブドウ畑

Opus Oneのワイナリーに行ったときに折角なので買ってみようと思ったが目玉が飛び出るほど高かったのでやめてしまった。日本で購入するよりはまだ安そうだったが、それでもワインの値段としてはすごい価格だった。Napaにはワイナリーがたくさんあり、どうせ味の分からない私にはもっと安くてよいワインがあるはずだ。そう思い幾つかのワイナリーを訪ねたところというFlog’s Leapというワイナリーで飲んだワインがとても美味しかった。

ブドウ畑を眼の前に食事とワインが楽しめるのでとてもよいワイナリーだった。値段もリーズナブルなものが多く、以来私は行く度に一本くらい買って帰っている。何よりカエルがぴょんと飛び跳ねているラベルがかわいい。

Golden Gate BridgeからSausalitoへ

最後に外せないのがやはりGolden Gate Bridgeだろう。ベイエリアにおける一番の見どころといってもいいかもしれない。これまでに紹介したMountain ViewやPalo Altoからだと少し距離があるがUberを使えば1時間程度で行けるはずだ。サンフランシスコ側の公園に着いたらぜひ自分の足で渡ってみてほしい。

Golden Gate Bridge北側からの眺め

なぜならサンフランシスコ市側からよりは対岸からの眺望の方がよい気がするからだ。渡った反対側に開けた丘があり、そこからの長めが最高だ。橋を渡ってこの丘に登るまでに結構時間はかかるが、その分の素晴らしい景色が待っているはず。この丘を登ったあとぜひ行ってみたいのがSausalitoという街だ。

Sausalitoはいわば海沿いのリゾート地でお金持ちが所有していると思われるクルーズ船やヨットが多数停泊している。並んでいる家も別荘の風情をたたえている家が多く、いかにも富裕層の街といった感じだ。ただ観光地としても栄えていて、レストランやカフェなどが多数ある。人混みが苦手であれば、少し住宅地の方に入っていくととたんに静かになる。 時折海(といっても湾内の方だが)を眺めることのできる展望台のようなものがあるのでそこで休憩し始めると帰るのが億劫になってくる。

ここで一日中ぼーっとしていたい

ひたすらの青空の下、静かな場所で海をずっと眺めているとなんだか南の島にでも来たような感覚に陥る。こんな場所がシリコンバレーにあるのだなと、ひとつの土地の多面的な表情を知ることができる。

こんな魅力もシリコンバレーにはあるようだ。

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