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【最ラブ七不思議・その6】彼女の名前は「シルバーサイズ」? それとも「グラニオン」?

 日本版では「ふ、ふえぇ~っ! 何をするのですぅ!!」でお馴染みの潜水艦・シルバーサイズ(USS Silversides, SS-236)。実艦はアメリカ合衆国ミシガン州に現存しており、記念艦として公開されています。ところが、英語版『Lane Girls』をプレイすると彼女は「シルバーサイズ」ではなく「グラニオン」(USS Grunion, SS-216)と言う名前で登場します。しかも、日本版でシルバーサイズの誕生日(=実艦の進水日)とされているのは「12月22日」なのにこの日はグラニオンの進水日で、実艦のシルバーサイズが進水したのは「8月26日」。それに恋愛パートでシルバーサイズが語る北氷洋での失踪劇も、グラニオンのエピソードとして知られているものです。

 シルバーサイズもグラニオンも艦級こそ同じガトー級潜水艦(アルバコアも同型)ですが別の潜水艦(姉妹艦)であり、途中で名前が変わったと言う訳ではありません。何故こんなことになってしまったのでしょう?

 アメリカ海軍が潜水艦に魚の名前を付けていることはよく知られていますが、2隻のガトー級潜水艦に採られたsilversideとgrunionはどちらもトウゴロウイワシ目の近縁種に当たります。この種類の魚は表皮が虹色に輝くのが特徴でペットとして人気がありますが、生息域はsilversideが五大湖からミシシッピ川なのに対してgrunionはアメリカ西海岸のカリフォルニア州近海と大きく異なっているため混同されることはまずありません。

 ところが、中国語ではsilversideが「銀漢魚」(簡体字「银汉鱼」)、grunionが「滑銀漢」(簡体字「滑银汉」)と訳されるため実に紛らわしく、どうも『艦姫』の開発段階ではグラニオン(滑銀漢)として出すつもりだったのに現存しており有名なシルバーサイズ(銀漢魚)と混同されてしまったと言う経緯が考えられます。

 その結果、最初にリリースされた韓国版『少女艦隊』で彼女の名前は"실버사이즈"(シルベオサイジュ)となり、その後にリリースされた日本版でも「シルバーサイズ」になったと言う訳です。この誤りが訂正されたのは今年6月にリリースされた英語版で、ようやく彼女は本来の"Grunion"として登場しました。

 グラニオンは1942年7月31日に北氷洋を航行中に失踪して半世紀以上も行方不明として扱われていましたが、21世紀に入ってようやく船体の沈没位置が特定されたと言うエピソードでよく知られています。もしかしたら英語版以外でシルバーサイズのふりをしているのも、彼女の特技だと言う「かくれんぼ」の一環なのかも知れません。

『最終戦艦 with ラブリーガールズ』日本版/海外版音声比較 [シルバーサイズ/グラニオン編]

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