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【最ラブ七不思議・その2】配信地域ごとにタイトルが全然違う?

 このゲームの日本版タイトルは『最終戦艦 with ラブリーガールズ』(略称「最ラブ」)ですが、2018年10月時点で7種類のバージョンがありそれぞれタイトルが全く異なっているので、統一した呼称をどうするかと言う問題があります。

 開発が始まった中国を基準にするなら『艦姫』とすべきところ(この「艦姫」と言う名称はゲームを運営する上海緑岸が中国で商標登録しています)、最近は日本で先行リリースされた『アビス・ホライズン』(深淵地平線)の擬人化キャラクターが同じ字の「艦姫」(読みは「ふなひめ」)であったり、日本版がリリースされていない艦船擬人化ゲームで『艦姫○○』のようなタイトルがいくつも存在していたりするため、どうしても検索性が損なわれてしまいます。前回のコラムでも説明したように、ゲームの開発時の仮題は「艦姫聯萌」でしたが(恐らくこの仮題は日本版タイトルに間接的な影響を与えている)特撮映画『艦姫』とのタイアップが決まった時に「聯萌」が取れて単なる「艦姫」になった経緯があります。

 しかも一番最初にリリースされたのは韓国の『少女艦隊』で、これが基準になっているのかと言うとそうでもありません。さらに困ったことには、2014〜15年頃に『戦艦少女』ただ1作を残して全滅した中華圏の「艦これフォロワー」乱造期の2015年にも、中国で同じタイトルの『少女艦隊』がリリースされていました(この中国製『少女艦隊』はプレイヤー艦が清朝から第二次世界大戦中の中華民国海軍、そして人民解放軍に至る3世代に特化した所に特徴があったそうです)。

 そして2017年9月(『アズールレーン』の日本版とほぼ同時期)リリースの繁体字中文版は『請命令! 提督SAMA』(ご命令を! 提督さま)。公式サイトを見ていただくとわかるように、日本製ではない(日本のスタッフは声優ぐらいしか参加していない)のにやたらと「日本チック」を強調して随所に日本語を多用しており、タイトルロゴにある「私は君の艦です」と言う副題はその「日本チック」路線の象徴とも言えます。漫画家のZECOさんがキャラクターデザインを行った扶桑の登場やイラストコンテストの開催など(日本のやる気が感じられない運営とは対照的な)運営の頑張りもあって、今では台湾が韓国と並ぶゲームの主力市場に育ちました。

 2018年2月には東南アジアと北米での配信権を獲得したYAHgameがシンガポール・マレーシア版『少女航線』をリリース。ゲーム内の文章はマレー語ではなく簡体字中文を使用していますが(音声は『艦姫』と同じ日本語)、日本の艦船は変名(大鳳と最上は実名)が使用されている『艦姫』と異なり最初から実名化されています。4月にはタイ語版『AZURE FANTASY』、次いで6月には英語版『LANE GIRLS』がリリースされましたが、YAHgameが運営しているこの3タイトルに対しては、当然と言うべきか「『アズールレーン』(碧藍航線)や『ドールズフロントライン』(少女前線)に便乗しているのではないか」と言う批判も出ています。

 また、中華圏では「艦C」や「艦N→艦R」のような「艦+アルファベット1文字」の略称が良く使われますが『艦姫』はピンインの"Jian Ji"から「艦J」と略されています。しかし、日本版のTwitterは(最近は普及を諦めたのかすっかり使わなくなりましたが)リリース当初「艦L」と言う略称を「最ラブ」と並行して使っていました。この「L」の意味するところが「Last Warship」なのか「Lovely」なのかはわかりません。ただ、英語版のタイトルが『LANE GIRLS』(当然これは英語圏では"LG"と略され、最初に北米進出を果たした"AL"と対比されている)になったこともあり、今後は「艦L」の方へ収斂されて行くことになる兆候も見られます。

 結論としては、日本版と英語版で共通使用可能な"LG"(日本的な略し方だと「レンガル」?)と略すのが一番広い範囲で意味を取れると言うことになりそうです。

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