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南の島も笑ってる 第13回

沖縄の島々というとひとくくりにされがちですが、実は石垣島と沖縄本島の間は410kmあります。飛行機で1時間ぐらい、船だと一晩かかります。
そのせいか文化もに微妙に違っております。福島県で言う所の浜通りと会津くらいの違いかと思います。

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那覇は都会だった。
人口数千人の西表島とは比べものにならないくらいにぎやかだった。建物が多く、人や車が忙しく行き交っている。抜けるような青い空と海、ジャングルばかりの景色ではなかったが、これはこれで落ち着いたような気分にさせてくれた。
これから3日間はここ沖縄本島での観光となる。

我々は沖縄の新宿歌舞伎町、京都河原町とも言える国際通りを歩いていた。通りの両脇にはお土産物屋、洋服屋、アイスクリーム屋、居酒屋などが軒を連ねている。
シーサーはそこいらじゅうで睨みをきかせ、ハブはそこいらじゅうでビン詰めにされて売られていた。お土産屋は黒砂糖、パイナップル、紅いも、沖縄そばだらけ。他には沖縄限定らしい、和服のおばさんがにっこりと微笑んでいるパッケージの「ボンカレー」や(よく田舎で見かけるホーロー看板の広告のあれ)、「ちょっちゅね」という、往年の片岡鶴太郎のギャグを思い出させるような冗談みたいな名前のお菓子もあった。
またさすが基地の島と言うべきか、米軍の流出品を扱うミリタリーショップが多く目についた。軍服、装備品などはもちろんのこと、弾丸、通信機と思われる箱型の機械、用途がわからずただのガラクタにしか見えないようなものも多く売られていた。
そしてわかったのが沖縄の名物はTシャツだということだった。確かにここ亜熱帯の島では一年を通じて必要な物であるが、その種類の多いこと!どんな店にもTシャツは山ほど積まれて売られていた。デザインも凝っていて魅力的なものが多かった。俺も2、3枚買ったのだが、実のところそれだけの数に絞るのに苦労したくらいである。

我々は国際通りから少し奥に入ったところにある公設市場に向かった。久しぶりの食でのお楽しみである。ここは沖縄の台所を支える市場であるが、買った物をその場で食べさせてくれる食堂もあるのだ。
一階が市場となっており、そこで買った食材を二階の屋台のような店に持っていき、調理してもらうという流れになっている。
沖縄の代表的な食材と言えば豚肉と魚である。
沖縄の人の豚好きは徹底していて、なんでも豚は泣き声以外はすべて食べるそうだ。確かに市場には豚の肉部分はいうに及ばず、足、尻尾、頭の皮から血まで、取れるものは全て売られていた。頭の皮ははっきりそれとわかる形をしていて少し気持ち悪い。これをどうやって調理するのであろうか。豚肉は様々な動物の肉の中でも栄養価が高く、そのおかげで豚肉ばかり食べている沖縄の人には長寿が多いとのことである。
豚肉も大いに魅力的ではあったのだが、ここは魚を買うこととした。魚売り場はまるで花売り場のようだった。見たことのない、赤、青、金色と言った色とりどりの魚が並べられている。色だけ見るとアメリカのお菓子のようで何ともグロテスクな魚もあるのだが、店のおばちゃんによると味は淡白でとてもおいしいとのこと。あわれにも皮をはがされたフグのような魚も売られていたが、これはハリセンボンとのことであった。エガさんはおばちゃんと楽し気に魚選びの交渉をしている。思わぬところで大阪人と沖縄人の掛け合いを見ることができた。
調理してもらった魚たちは、あんかけ、から揚げ、活き作り、味噌汁に形を変えて出てきたが、その量たるや半端ではなかった。その味はもちろん言うに及ばずである。これで¥2500なのだから、破格と言っていいであろう。我々は西表島では味わえなかった久しぶりの豪華料理を大いに楽しんだのであった。

夜が更けても国際通りは賑やかだった。ほとんどの店が営業していた。
中学生、高校生くらいの若い人たちが目につく。こんな時間なのに、やはり暑い地域だと人は開放的になるんだろうなと感じた。
彼らのはしゃぐ声を聞きながら、我々はホテルへと戻った。

(続く)

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