「密室クジラ」
「人間とは……クジラとは……」
俺は恐慌状態に陥っていた。眼の前の暗号はまるで意味が分からなかった。
「人間とは……クジラとは……」
薄汚いコンクリートの部屋だった。そこら中に赤黒いシミが付いていて、ひどい臭いが漂っていた。
「人間とは……クジラとは……」
鍵のかかったドアの前では前任者が赤黒いシミの一つになっていた。俺はその瞬間を別な部屋のモニターで見ていた。
「人間とは……クジラとは……」
俺が最後の挑戦者ではないということは直感で分かっていた。いつかは分からないがそう遠くない先、俺は時間切れで殺される。
「人間とは……クジラとは……」
何なんだ。この図は。分からない。
「人間とは……クジラとは……」
分からない。
「人間とは……クジラとは……」
「人間とは……クジラとは……」
「人間とは……クジラとは……」
視界が暗転した。
特に何もないけど投げ銭できます。