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市民活動としてのテクノロジーを考える

シビックテック(CivicTech)という言葉を聞いたことがあるだろうか?
テクノロジーを活用した市民・社会課題の解決を目指す取り組みのことで、日本でも少しずつ認知され始めている。
これをテーマにしたイベントが2018年に開催されている。

テクノロジーが持つ大きな可能性

シビックテックは、ここ数年で活発化し始めているようだ。テクノロジーを手段とした市民活動は、地域コミュニティを促進する可能性も秘めている。
以下のような分野がシビックテックの対象分野とされている。

・GovernmentData(オープンデータの利活用)
・Collaborative Consumption(P2Pシェア)
・CrowdFunding(クラウドファンディング)
・SocialNetWorks(ローカルSNS)
・CommunityOrganizing(コミュニティエンゲージメント)
https://www.slideshare.net/knightfoundation/knight-civictech

個人であっても、同じ志を持つメンバーと活動するものであっても、シビックテックとしての活動の仕方は柔軟性があるため、自分なりのスタイルとペースで進められることが魅力だ。

テクノロジーを前提にする活動は、その性質上、ハードウェアやソフトウェアなどの何かしらかの「成果物」を伴うことになるため、少なからず実践力がある手法だと思う。

この活動に差し出す必要があることは、基本的には自分の「時間とエネルギー」位なので始めやすい。
また、開発手段としてのパブリッククラウドが、クイック&スモールで進められることもそれを後押ししている。

しかしまだ十分に世の中に認知されているものでもないため、インターネット上でヒットする情報もまだまだ少ない。そのような中、シビックテックの詳細についてまとまっている貴重なレポートがあった。


市民活動と開発者コミュニティは相性が良い

「市民活動」の一般的な意味は、政治・行政・社会・文化などを主な対象にした何かしらかの活動を指している。
しかし、「市民活動」という単語は馴染みが薄いか、そのニュアンスからプロ市民による政治活動という偏った見方になるため、住まい近辺での「地域活動」という風に捉える方が良いかもしれない。
そして「シビックテック」とは、行政や社会の課題・問題を市民がテクノロジーを駆使して解決している活動のことだ。


テクノロジー分野では、元来より開発者によるコミュニティが形成されやすいこともあり、市民活動のコミュニティへは接続し易いのではないだろうか。
日本におけるシビックテックの代表格は、Code for Japanだろう。


別の団体であるが、私はCoderDojoのメンターとして、地元の子供達にキッズプログラミングを体験し楽しんでもらう活動をしている。これも地域活動の一つであり、教育活動の一環でもある訳で、シビックテックとも言えそうだ。

一方で、企業発信の開発者コミュニティの活動形態として、Developer Relations(DevRel)がある。私も所属企業のDeveloper Relationsとして活動することもあるが、ここでの役割は企業のサービスやテクノロジーを啓蒙することが目的となる。
ただ、問題を解決する手段として自社製品を使ってもらうことが前提となるため、本来の意味でのテクノロジー活用の可能性を狭めてしまうという弊害も少なからずありそうだ。シビックテックを切り口にした活動においてこそDeveloper Relationsという役割が生きてくるのではないだろうか。

//Developer Relationsができること例
・シビックテックを行うためにデベロッパーコミュニティへ働きかける
・オープンデータやオープンソースを活用するための仕組みを特定の製品に捉われず柔軟に構想する
・企業の営利活動の枠に捉われない自由な発想や活動を促進する
・必要なリソース(人・技術・予算)などの調整やファシリテーションをする、など

ところで、気をつける事としてはシビックテックはその性質上、活動に対するインセンティブが営利目的になると失敗しやすいことだ。これはデベロッパーコミュニティにおいても同様で、ビジネスの側面だけにフォーカスするとうまくいかない。
参加する人の「自己満足の積み重ね」がモチベーションであって良いし、それしかないと思う。

また、シビックテックの活動をグループで行う場合には、コミュニティ運営のテクニックも必要になるだろう。小島さんのコミュニティマーケティングの話は参考になる。


企業が主体となるDeveloper Relationsやコミュニティマーケティングは、
以下の「B・C・D」を対象にしているが、シビックテックは、「C・D・F・G」に関わるものであると考えられる。

A: Academic(大学・研究機関)
B: Business(企業)
C: Consumer(消費者)/Community(グループ)
D: Developer(エンジニア)
E: Employee(従業員)
F: Fellow/Family(仲間/家族)
G: Government(政府・自治体)

小さく始められる

システムやソフトウェアなどの技術者は、仕事だけではなく市民活動・地域活動のテクノロジーという分野での活躍もできる。またこういった活動をし易くしている要因は、「パブリッククラウド」であり、「アジャイル開発手法」であり、「高品質なネットワークインフラ」であり、「オープンソース」であり「スマホの普及」だ。

Photo by Fox from Pexels

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