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産業は融解していく

日本に真っ先に訪れるパラダイムシフト

日本の各産業は、各々の領域で「事業のやり方」や「働き方」を最適化している。しかし、「人口減少・高齢化社会」により国内の人的リソースの争奪戦が激化するため、産業を超えたこれらの再定義を余儀無くされるはずだ。


また一方で、日本人の寿命が延びていることにより「人生100年時代」も迎えて、上記の動きに拍車をかけることになる。
つまり、日本社会のあり方や生活や価値観が変わる可能性が高く、日本は世界でいち早く、パラダイムシフトを迎えることになる。


今後の日本を把握するためのキーフレーズは4つ

正直、ワクワク感よりも不安が強いがそんなことを言っても始まらない。
昔の偉い人たちが言っている「唯一不変であるものは、変化することのみ」という格言を拠りどころに頑張るしかない。
自分なりにまとめると、今後の社会の変化を4つの要因で把握すると理解しやすいかもしれない。

1.「仕事がプロジェクト化する」
2.「個人の役割がマルチタスク化する」
3.「事業に充てる人数が少数化される」
4「生涯学習し生涯現役であること」

以下、それぞれについて持論を書く。

1.「仕事がプロジェクト化する」

日本人の労働生産性について問題視する時に真っ先に挙げられるのが、ルーチンワークの撲滅だ。これらの業務はシステム・AIで効率化・自動化・自律化の対象となり続け、これらに従事する場合は、常にシステム・AIの脅威に晒されるわけだ。

一方で、非ルーチンワーク(クリエイティブ含む)が人の価値を発揮できる領域だと言われている。しかしそれは、人によってはハードルが高くその世界でパフォーマンスを発揮できる人たちにはある一定の才覚が求められるはずだ。
昨今話題になっているAIによる仕事が消失されてしまうかもしれないという不安感は、人々がこちらにシフトできるのか心配だからだ。
そして、非ルーチンワークはその性質上「プロジェクト」として企画されるものがほとんどとなる。

2.「個人の役割がマルチタスク化する」

「仕事のプロジェクト化」と並行して現れるものは、一人の人間が担う仕事がマルチになるということだ。つまり仕事の複職化であり、その人の役割として複数を兼務することが普通になるだろう。
今でも存在しているが、片方では「経営者の役割」を担いつつ、他方では「別の企業の社員」として働くなども出てくるだろう。(フリーランスの人たちはこの形が多いのでは?)
「経営者」は社会的ステータスではなく、そのグループにおける役割の一つに過ぎなくなる

余談だが、その社員の成長を期待して上司が「視座を高く持て」や「経営者と同じように考えよ」と叱咤激励?することがあるが、それを実現する一番手っ取り早い方法は、経営者と同じ情報にアクセスできるようにすることだと思っている。
日本の企業は、「持っている情報の強さが組織でのその人の強さ」というのが常識だが、これでは会社全体のパフォーマンスが上がるのか甚だ疑問だ。これは「情報の非対称性」の問題であり、マルチタスク化の仕事をスムースに進めるためにも検討されるべきことだ。

3.「事業に充てる人数が少数化される」

いわゆるブラック企業一歩手前の状態だが、日本の人口(正確には労働人口)が増加している時に仕組み化された「少品種大量生産型」のビジネスモデルは既に化石であり「多品種少量生産型」を実現できるかが重要なテーマだ。
従業員という面においても、今後の労働人口減少に対して、どれだけ少ない人数(または最適人数で)で事業を営めるかを考えることになるだろう。いわゆる「ローリソースハイスケール」のビジネスモデルへの転換だ。この考えは、WEBサービス・インターネットサービスの第四次産業にはしっくりくる。

//産業の分類
第一次産業(農業)
第二次産業(工業)
第三次産業(サービス業)
第四次産業(情報産業) 

4「生涯学習し生涯現役であること」

現在の第四次産業のトレンドは、GAFAに代表される「デジタルサービス」だ。このトレンドのおかげでテクノロジーに従事する専門職(システムエンジニア)にとってはとてもワクワクする時代になっている。
エンジニアの中で自他共に優秀と認めれている人たちは、学習を欠かさない。テクノロジーの世界のトレンドが早くて激しいことがその理由ではあるが、「学習しないエンジニアはタダの人」に成り下がってしまうからだ。

また、「人生100年時代」と表現される通り、仕事の定年設定は適切ではなくなるだろう。日本人が持つ「仕事」のイメージは、労働は辛いなどのマイナスイメージが強いがその価値観のまま人生100年時代に突入すると(定年が延びると)これはもう苦痛以外の何物でもなくなる。それには思考のシフトが必要で、マズローの欲求5段階説の3段目以上をモチベーションした仕事観にしていかなければならないだろう。

これまた余談だが、定年を75歳に引き上げることができれば、日本の労働人口問題・年金問題・社会福祉問題は、だいぶ解決するらしい。

しかし、この生涯現役思想は負の面もある。
それは「老害」だ。そうでなくても人は老害を嫌う訳だが「上から目線の口だけで実践力のない人たち」は今後の社会においては軽蔑の対象にしかならないだろう。年齢の高い人たちも現役であり続けると老害の影響は増大する。そのため実践力を磨き続けることは必須でありその意味で生涯現役であることが求められる。

日本でパラダイムシフトは起きるか

「人口減少・高齢化社会」と「人生100年時代」は何をしていなくても迫ってくる訳でパラダイムシフトは起きざるを得ない。
また、日本が世界の先進国としてあり続けたいならば引き続き、産業とGDPを高水準に保つ必要がある。

//先進国とは
工業や科学技術で他国より先行しており、生活・健康・教育・インフラ整備などの水準が高く、政治的に自由で安定している国を指す。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

労働人口の増加が見込めないならば一人当たりの労働生産性を上げてGDPの減少を食い止める必要がある。しかし闇雲にがんばっても効果薄であり、それこそ一つの企業・ビジネスに制約を受ける仕事の形態では難しいだろう。(一つの企業に属しなければならないという考え)
なぜならば、一人ができる仕事の幅を広げシナジーを効かせることにより、日本全体として労働生産性が上がれば良い訳なので、一つの属する企業の労働生産性を上げる必要はないはずだからだ。(その人の労働生産性が上がればよい)

これは、「限界効用逓減」の面でも有益な策だ。一つの仕事を突き詰めることでパフォーマンスが上がれば良いが、突き詰め過ぎるとパフォーマンスの増加率が落ちてくるので、そうなった場合には近くのスキル領域にピボットし新たにスキル開拓すると良い。

// 限界効用逓減の法則とは
一般的に、財の消費量が増えるにつれて、財の追加消費分(限界消費分)から得られる効用は次第に小さくなる、とする考え方
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

さて、持論を述べてきたが、このパラダイムシフトは、「明治維新」と「玉音放送」と「高度経済成長」に匹敵またはそれ以上のインパクトがあるが、血が流れずにシフトすることを臨みたい。

Photo by Zaksheuskaya from Pexels

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