イオン浪江店の開店日

7月14日。浪江町にやっと、初めてスーパーが開店した。避難解除から2年。これまではコンビニか、他の自治体まで出かけていた。開店の前の日、浪江の宿の方が『やっとスーパーができるんですよ~』と嬉しそうに話していた。


大きくはないが、店内は多くの人々でにぎわい、レジには長い行列ができていた。
地元の請戸漁港で水揚げされた魚を、漁師の方が売りに来ていた。


福島水揚げのほっき貝を試食した。とってもおいしかった。私はかえなかったが、結構売れていた。『おいしさと放射能は別問題』であるのがやるせない。

イオンの開店はニュースにも取り上げられていた。Twitterには、否定的な意見もあった。驚いた。避難指示解除から二年、やっとスーパーができる。これを良く思わない人がいるなんて。

『復興アピールするな』『原発事故を過去のものにしようとするな』というコメントを見かけた。
スーパーもない中、浪江町に戻ってきて、やっと生活が『普通』に近づく。『やっとスーパーができた』そう喜ぶ人々を前に、同じことが言えるのだろうか。

だれのための浪江町?

避難指示が解除されるときも、一部から非難の声が上がる。『まだ危険なのに、安全アピールをするな』『避難している人々の切り捨てだ』など。
もちろん政府の対応に不備はあるかもしれないけど、こういう意見こそ、避難者に寄り添うと見せかけて、ひどく傷つけていると思う。

これから先の生活がどんなに大変だとしても、戻りたいと願う人々がいる。
避難区域に指定されることは、権力が住民のさまざまな権利を奪っている状態、権力によって自由が制限されている状態だということを、忘れてはいけない。『自分のそだった場所に入るな』って、この上無く強い制限だよ……。

だれのための福島か。反原発を進めるために、安倍政権を糾弾するために、福島の被災者がいるのではない。

どうか、応援できなくてもいいから、町に戻ってきて頑張る人々の足をひっぱらないで。

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