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防具解説

◆鎧(身体につけるもの)

No.135 ローブ / Robes / ?衣類
 魔法使いの詠唱や結印が邪魔にならないよう工夫された丈夫な衣類。AC-1程度は誤差、と装備を省略する頭でっかちな魔法使いも多いが、駆け出しの魔法使いは迷宮自生のコウモリや這いずり回るコインに襲われただけで命を落としかねない。誤差でも何でもそれが生死の境を分けることもある。生き延びるためには必須の装備だ。
No.136 隠れ身のローブ / Displacer Robe / ?衣類
 周囲の景色に溶け込むよう色合いを変える魔法のローブ。野外ではさほどでもないが薄暗い迷宮内では効果抜群で、フードをかぶってじっとしていると本当に周囲の景色と見分けがつかなくなる。非力な魔法使いにとって中盤戦で身を守るための必須アイテムだが、隠れられるのをいいことに盗賊や忍者の真似をして敵に奇襲をしかけようとするお調子者が後を断たない。敵に見つかってうっかり殴られたらダメージ倍化、隠れた意味もまるでなくなる。注意されたし。
No.137 大魔導師のローブ / Robe of Wizard / ?衣類
 旧帝国期に作られたと思しき魔法使い専用のローブ。板金鎧と同等の防御性能を持つだけでも驚きだが、真に驚くべきはこのローブが展開する不可視の魔法のフィールドだろう。敵対者の精神に作用して直接攻撃を躊躇わせるほか、敵の攻撃魔法の発動を阻害する効果も発揮する。
 おまけに、着用者の戒律やマナの固有振動に合わせて色を変えるオサレ機能つき。ガ*ダルフが突然真っ白になった理由もこれ。いや知らんけど。
 ファッションに無頓着な学術の徒もこれで安心。魔法使いにとっては「これ以外にない」と断言してもいいほどの重要な防具である。
No.138 賢者の法衣 / Garb of Reverends / ?衣類
 ビショップになったからにはぜひとも手に入れたい至高の逸品。〔大魔導師のローブ〕と同じく敵対者に直接攻撃を躊躇わせるフィールドを展開するが、こちらには敵攻撃魔法を阻害する効果は無い。しかしその代わり、周囲からマナを引き寄せ着用者の精神を癒し、MPを自然に回復させる効果を発揮する。これを着用した高位のビショップは実質的に「呪文切れ」から開放されるというわけだ。
 余談だがこの法衣、Garbと銘打つだけあって装飾過多かつ絢爛豪華。そのまま着ると「司教様いまからミサですか?」と市民から声をかけられ祈りを捧げられるほどゴージャスな見た目になってしまう。もともと革鎧がユニフォームの質実剛健を地で行く冒険者のビショップにはこれがたいへん苦痛らしく、性能が落ちないよう装飾を外したり上から無地のマントを羽織ったり、ひと手間もふた手間もかけないと実用できないのだとか。
No.140 硬い革鎧 / Padded Leather / ?革鎧
No.141 強靱な革鎧 / Treated Leather / ?革鎧

 革鎧は「鎧」というよりレザー製のジャケットのようなもので、広義においては衣類である。強靱な革鎧も魔法による強化(防腐処理や撥水加工)はおまけのようなもので、使われた素材の強度がほぼそのまま性能を左右している。たとえば牛革ではなくゴーゴンやドラゴンの革などだ。
 旧帝国期の遺跡から見つかる魔法の革鎧の中には、まれに「ライダース」などと呼ばれる様式のものがある。その名前から馬術に用いられたのであろうと推測され、実際に馬上競技などでこれを着用する騎士や貴族は注目の的になるそうだ。かっこいいしね。ライダースジャケット。
No.142 鎖帷子 / Chainmail / ?鎖帷子
 ほんの少し前まで鎖帷子は作るのも手入れするのも大変な貴重品だったのだが、針金をセットしたら勝手に鎖帷子を編んでくれる装置が開発されたことで大幅なコストダウンに成功したようだ。戦場ではもはや使い捨て同然の扱いをされていて、これらを集めて鍛冶屋のドワーフに持っていくと1kg5ゴールド前後で買い取ってくれるという。これはもっぱら子供たちの小遣い稼ぎになっていて、大半のキッズは戦いが終わった戦場に忍び込んだ経験があり、大人に見つかって怒られながら成長するとかしないとか。
No.143 輝きの鎖帷子 / Shiny Chain / ?鎖帷子
 手作業で丁寧に編まれた鎖帷子に品質保護の魔法をかけた上級品。魔法がかかっているから輝いているのではなく、それなりに大切に扱われるから新品時の輝きが持続するということらしい。大量生産大量消費はよくないね。
No.144 妖精郷の鎖帷子 / Elvenmade Chain / ?鎖帷子
 ただの布かと見間違うほど細かく編まれた鎖帷子。一部のエルフ氏族が今も製法を独占している。使用される特殊合金、表面保護の特殊な加工、強度向上のためかけられる魔法の力などの相乗効果で、鎖帷子でありながら板金鎧を超える強度と布のように快適な通気性を両立している。エルフでなくとも装備可能だが、一番似合うのはやはりエルフたちが装備した時だろう。
 なお、まれにミスリル製だと誤解されるのだがこれは誤り。詳しくは〔ミスリルの鎖帷子〕の項目で。
No.145 悪の鎖帷子 / Chain of Evil / ?鎖帷子
 旧帝国期の遺跡からも古代に作られた同等品を発見することがあるが、オード領(というより、自国内にニンジャ・クランを有する国家)においては〔妖精郷の鎖帷子〕をベースに一手間加えて作り出される忍者専用の鎧といった方が正しい。装備者の戒律を限定する呪いをかけることで防御性能を向上、気配や音が拡散するのを防ぐ加工が施されて先制攻撃の機会を得やすくなっている。この鎧を愛用する者が仲間内に出てくると、悪の戒律のパーティは「俺たちも一人前だな」という感を強くするそうだ。
No.146 ミスリルの鎖帷子 / Chain of Mithril / ?鎖帷子
 銀よりも美しく、鋼より強く、さまざまな魔術特性を持つという希少鉱ミスリルは、大陸レベルで見ても年々産出量が減り枯渇の一途を辿っているという。現在発見されるものはほぼ例外なく旧帝国期の骨董品だが、その輝きには今なおいささかの曇りもない。確率的にはごくわずかだが、敵の攻撃呪文を無効化する能力すら備えている。
 ただ、パッと身は〔妖精郷の鎖帷子〕にそっくりだ。ミスリル銀が枯渇して元々の材料が手に入らなくなっただけで、製法は今も一部のエルフの間で脈々と受け継がれている、ということなのだろう。
No.147 板金鎧 / Plate Armor / ?鎧
No.148 武士の鎧 / Samurai Armor / ?鎧

 性能的にはどちらもほとんど変わらない。違うのは見た目だけだ。
 かつて扶桑ノ国の侍鎧は、金属加工技術において西洋に劣るとされてきた。ゆえに皮革や紐などで細かな金属板をつなぎ合わせているのだと。しかし近年の研究では違う。隙間が多いために通気性がよく身体の動きを邪魔しないうえ防御力も充分で、侍たちは優れた鎧を着ているがために盾が必要なかったのだ、というのが定説になりつつある。時代は変わるものである。
 オード領のドワーフ鍛冶師たちは研究熱心で、両方の良いところを踏まえたうえでこの地方に合わせて改良を加え続けている。戦士たちが命を預けるに足る逸品ぞろいだから安心して着るといい。
 なお〔武士の鎧〕はなぜか僧侶が装備できないのだが、戦士やロードはともかく「オリエンタルかぶれの僧侶」はさすがに世間の目が痛いようだ。
No.149 女戦士の鎧 / Female Armor / ?鎧
 かつて女性の戦士・ロード・侍らは男性向けに作られた鎧をどうにかこうにか調整して着ていたというが、胸元は苦しく動きにくく、腰周りの鎧も骨盤の広さ故に装着できなかったり、無理に着用しても痣や擦過傷の原因になるなど大変苦労していたそうである。そもそもオーバーサイズなので最悪の場合作り直しの必要すらあった。
 近年、戦闘技術が高度化し前衛職の動きが速く苛烈になるにつけ、この「フィットしない鎧」が大きな問題となってきた。だったら最初から女性向け鎧の規格を作ればいいじゃないか、と工夫されはじめてすでに四半世紀。近年では爆発的に普及が進んでいる。男性向けの鎧に比べてエッチングや飾り彫刻などが多くデザインが凝っていて実に華やか。武器商店の店先でカンバン代わりに置かれる板金鎧はほぼ女性用のものになっているという。
 当初は「女が戦場に出しゃばるな」「ファッションショーやってるんじゃないんだぞ」と眉をひそめていた男たちもいたというが、女戦士たちのニーズに応えているうち金属加工技術が著しく向上、男性用の武具の性能向上にも一役買っているとか。こうして時代は変わっていくのだ。
No.150 益荒男の鎧 / Sturdy Plate Armor / ?鎧
 現代の技術で量産可能な唯一の魔法鎧として百年以上前から愛用されてきたが、製造元が昔ながらの製法にこだわっていて現代のニーズに対応しようとせず、結果的に同ブランドには今も男性向けの鎧しか存在していないらしい。まあ、うん。そういうこともあるよね。
No.151 希望の胸当て / Breastplate of Boons / ?鎧
 旧帝国期に量産された魔法の鎧のひとつで、今も相当な数が現存し市場に流通している。いわゆる胸当てなので肩や背中側は覆われていないのだが、主な防御効果は物理攻撃をはじく魔法障壁によるものなので心配ご無用。
 最大の特徴は男女の隔てなく装備できること。ユニバーサルデザインとでも言えばいいのか、形状の工夫と魔法による補助でほとんどの者に見事フィットするようになっている。男性用の鎧を無理して着ていたかつての女性冒険者たちにとって、この鎧の存在はまさに「希望」の存在だったのだ。
No.152 ホビットの鎧 / Guard of Hobbits / ?鎧
 戦闘技術の高度化に対応するため、大半の種族の女性たちは自分たちの専用の鎧を作り出すことで当面の解決を見た。しかしホビット族の前衛はそうもいかなかったようだ。
 そもそも人間やエルフやドワーフのために作られた鎧がホビットたちの小さな身体にフィットするはずはなく、旧来はパーツを省略したり強引な幅詰め&溶接などで対応していたのだが、ここ四半世紀はそんなごまかしがいよいよ利かなくなってきた。当然ながらホビットたちも種族戦用の鎧を求めたが、試作品は人間用をベースに小さくされたもの。蝶番はもろく弱く、金属板も薄い。
 「蹴飛ばしたり転んだだけでベコベコ凹む鎧に何の価値があるんだよ!」とホビットたちは憤慨したが、丈夫に作れば作ったで「こんな重いもの着れないよ!」とクレームの嵐。鍛冶師ギルドも我慢の限界に達し「ホビットどもに売る鎧はないし今後作る予定もない!」と宣言して今に至る。
 ただ、旧帝国期の遺跡からは、そんなホビットでも着られる全身鎧がまれに見つかることがある。本品がまさにそれだ。太古にも現代と同じような問題が起きていたのか、それとも、本来はディスプレイ用のオモチャか何かなのか。賢者たちは後者の説を支持しているそうだが、真相はいかに。 
No.153 極上の鎧 / 1st Class Armor / ?鎧
 旧帝国期のマジックアイテムとしてはかなり有名な部類に入る全身鎧。すでに「極上」でも「1st Class」でもなくなって久しく、一時は〔マスタープレート(Plate of Master)〕と呼び直されたこともあったが定着しなかった。相対的にいろいろと中途半端な品になってしまったものの、それでもダンジョンダイバーの戦士たちはこの鎧を手に入れられるようになると「俺もついにここまで来たか」という感慨に浸るものだという。
 防御力向上のために吹き込まれた魔法が強力なため再加工がほぼ不可能で、残念ながらオード領周辺では男性専用の鎧として扱わざるを得なくなったが、王家直属の騎士や近衛隊には今も大人気だという。
No.154 中立の鎧 / Neutral Plate / ?鎧
 基本的には〔極上の鎧〕と同一規格の鎧で、性能的にもほぼ同等。それ故に、なぜこの鎧に装備する者の戒律を制限する呪いがかかっているのか長く謎とされていたのだが、近年になって「異なる戒律の者たちの橋渡しをし、不要な諍いが起こらないよう精神を鎮める」という効果を持つことが判明した。その能力を活用する局面はそう多くないだろうが、戒律に縛られたくない中立の者たちにとっては確実に価値が増したといえる。
No.155 英雄の鎧 / Armor of Heroes / ?鎧
 胴鎧としてはほぼ最上級の保護魔法がかけられていて、その防御力は〔極上の鎧〕クラスの全身鎧にほぼ匹敵する。肩当てや前垂れなどを自由に追加し当代の流行に寄せたデザインを施すことができたが故に、いつからか指揮官クラスのカリスマたちに重用される鎧になっていった。「英雄の~」という名称はそこから来たものだ。
 近年、鑑定時にちょっとした裏コードを使用すると、この鎧に秘められた魔法の力が開放できることが判明した。ヘイスト(ポンティ)の呪文を破損率ゼロで何度でも使用できるという。英雄たちのカリスマ性を支えていたのはもしかするとこのお陰だったのかも?
No.156 戦姫の鎧 / Armor of Heroines / ?鎧
 〔英雄の鎧〕と対になる存在として作られたような名前だが、両者の間には何の関係もない。なぜならこちらは旧帝国時代の技術で作られた女性専用の全身鎧だからだ。
 昨今流行の女性専用鎧のアーキタイプはこの鎧であるらしく、胸元や腰回りをはじめ様々な場所がほぼ自動的にサイズ調整され絶妙にフィットするという大変便利な仕掛けをもっている。さらに破損率ゼロで何度でもメガアーマー(マツ)の呪文が使用できるので、装備した本人だけでなくパーティ全体の戦力向上にも寄与するはずだ。
 強いて難点を上げるなら、旧帝国期で製造された当時の流行とおぼしき極めてシンプルなデザインだろうか。吹き込まれた強力な保護魔法が邪魔をしてエッチングや飾り彫刻など追加の加工をまったく受け付けないので、ほぼそのまま着るより他にないらしい。その飾り気のなさをむしろ評価する声も少なくないが、実際に着用する女性たちは上に羽織るマントやアンダーウェアなどで工夫を凝らして同じ女性冒険者たちにナメられないよう苦慮しているそうだ。女の世界もなかなか大変である。
No.157 黒絲縅 / Kuro-Ito-Odoshi / ?鎧
 旧帝国期に今と同じ意味での侍が存在したかどうかは定かでないが、現代において侍にしか装備できない魔法の鎧が遺跡の奥深くから発見されることがある。この〔黒絲縅〕がまさにそれだ。
 侍(男性)専用ということでいかにも扶桑ノ国らしい名前がつけられているが、実際には旧帝国期の美的感覚に沿って生み出された鎧なので、プレーンな状態では無国籍風というか和洋折衷のような印象になる。逆に言えば、少しばかり飾りを加えるだけで和風にも西洋風にも見えるのだが、そこは入手した冒険者の好み次第である。
 本来この鎧が大陸の西側で発見されることは極めて稀で、最初に発見されたのも「緋蓮」と呼ばれる極東の一国であったという。扶桑ノ国では現在、この鎧の構造を手本に旧来の鎧を進歩させた「南蛮胴」という具足が主流になっているそうだ。
 かなり高い防御力と敵攻撃魔法への抵抗値を備えており、マスターレベルに達していない未熟な侍の装着を鎧自身が拒むことなども相まって、おそらくはインテリジェンスアーマー(知能を持つ鎧)であろうと思われる。
 ただ、鎧が言葉を発するわけではないし、発見された絶対数も少なく研究が進んでいないため、本当のところはわかっていない。 
No.158 紅綾縅 / Beni-Aya-Odoshi / ?鎧
 〔黒絲縅〕のバージョン違いと思われる女性専用の鎧。見た目も性能もほぼ同じで、外見上の違いも各パーツを連結する革や紐(のように見える旧帝国期製の特殊な素材)の色が違うだけのように見える。ちなみに黒絲縅は黒と青、紅綾縅は赤と橙である。
 では紅綾縅の何が違うかと言えば、装着すると〔戦姫の鎧〕のように女性の身体にフィットして胴鎧を中心に形状が大きく変化する点だ。黒絲縅は着用サイズの調整をする程度に留まるため、旧帝国期においても黒絲縅/紅綾縅が男性用/女性用を意識して作られたものであることはほぼ間違いない。
 次いで、封じ込められたSPにも違いがある。しかし黒絲縅・紅綾縅ともにSPを開放すると50%という高確率で跡形もなく崩れ去るので、使用は控えたほうが無難である。
 余談だが、一部の熱烈なファン向けに言うと、女侍ケイヒが鳳凰にもらった鎧がたぶんこれの同等品。つまりそういうランクの鎧である。
No.159 悪の鎧 / Armor of Evil / ?鎧
 旧帝国期に作られたと思われる魔法鎧の中でもトップクラスの防御力を誇る。過去に発見されたものはどれもまったく劣化する兆しを見せないため製造年代の推定すらできず、物理的・魔法的手段での破壊は理論上不可能と言われている。鎧の強度向上と美観の両面に寄与するフリュート(溝)が鎧の全面に施されており、徹底的に磨き込まれて黒光りする地肌と相まって、何ともいえない凄みを感じさせる。
 近年、この鎧に隠されていた能力を引き出す方法が発見され、鎧が立てるカシャカシャという金属音をほぼ消すことで迷宮の闇に隠れられる機能や、攻撃呪文に対する抵抗能力を備えていることが明らかになった。ある賢者によると「まだ何か秘密が隠されている可能性がある」というが、それはもう少し未来の研究を待たねばならないのだろう。
No.160 聖なる鎧 / Armor of Lords / ?鎧
 別名〔Garb of Lords〕とも。魔法の防具としては最高峰に位置するロード戦用の鎧……否、虹を織り込んで編まれた豪奢な衣服(Garb)というべきなのか。現物を目にしたものがほとんどいないため噂ばかりが先行するが、一説によると物質化した魔力そのものだという。
 そもそもロードはその職業名からもわかるとおり、冒険者として一生を終えてよい存在ではない。才覚、人格、胆力すべてにおいて充分であると認められ、いずれは執政者となることを期待される者たちだ。最終的にどこまで出世するかは人の縁や運にも左右されるが、仮に一国の王に近いところまで上り詰めたなら、否応なく権力闘争や政治的かけひきの矢面に立つことになるだろう。もちろん有事の際には軍を率いて戦地にも赴く。執政室でも宮殿でも城でも戦地でも、場所に関係なく命を狙われる可能性がある。それがロードという上級職を選んだ者を待つ運命なのである。
 そんなロードに最適な防具は、衣服であり同時に鎧でもあり、TPOに関係なく常に装備しつづけられる最強の防御力を誇る何かだ。その途方もない要求を十全に満たすため、旧帝国の叡智を結集して作られたのが〔聖なる鎧〕なのだろう。※1
 なお噂によると、現在のオード領の主である大公オーガスⅢ世が〔聖なる鎧〕の所有者のひとりであるらしい。宮中晩餐会の隙を狙って接近した暗殺者が急所への攻撃(クリティカル)を繰り出したものの、大公のお召し物〔Garb〕が自ら意思をもって動き、暗殺者の攻撃を完全に防いで事なきを得たという。
 かつてトレボー城塞の迷宮やリルガミン周辺で確認された〔聖なる鎧〕にクリティカルを防ぐ能力は備わっていなかったが、旧帝国期のマジックアイテムには少しずつ性能の違う同等品がまれに見られる。大公の〔Garb〕もそうした品のひとつだったのかもしれない。 
※1
 つまり聖なる鎧を手に入れたロードは「着たきり雀」になるということになる……?
 和製Wizが中世ヨーロッパをベースにしたハイファンタジーなら文化的にも大正解だけど……。
 (現実の中世ヨーロッパでは種々の事情が重なって入浴の習慣がほぼなかったらしい)

 いや、日本文化が相当入ってるのがWiz世界だから、きっと風呂はみんな入ってるよね。
 聖なる鎧も不定形なら湯船につかってても邪魔になるまいて。頭の上に載せとくとか。
No.303(※2) 守りの鎧 / Armor of Defence / ?鎧
 別名として〔ミスリルの鎧〕とも。ミスリルは強靱かつ軽量で魔法とも親和性が高く、旧帝国期にはあらゆる局面で濫用され続けたのだが、おかげでほとんどの鉱脈が掘り尽くされてしまった。現在はミスリル関連アイテムの価格が高騰する一方。この鎧も例に漏れず凄まじい高額で取引されている。
 名前が示すとおり〔守りの盾〕と同じ制作者の手によるものと目されており、セットで使うと細かい意匠が見事にそろって「あいつ、デキる……」という雰囲気が漂うこと請け合いだ。AC-8もの高い防御力のほか、炎属性と氷属性に対する抵抗、麻痺や石化を誘発する攻撃への耐性も備えている。
 加えてかなり強力なシェイプシフト機能も備えていて、着用者の体型に完全フィットするのはもちろん、ある程度の願望や好みも反映して形を変えるらしい。完全無欠の魔法鎧である。
 強いて欠点を挙げるなら、侍が装備できないことだろうか。どうやら万能すぎるシェイプシフトがかえって仇になり侍の剣技を邪魔してしまうらしく……たとえば刀を鞘におさめた状態から相手を直接切りつける「居合い」を行うと、武器を仕舞ってるから戦闘中ではないと鎧が勝手に判断、通常待機モードから即座に切り替わらず、肩周りや腕の動きを阻害してしまうのだとか。なんでもかんでも「魔法を使って高性能にすればよい」というものではないのだろう。難しい問題である。 
※2
 いきなりアイテム番号が飛んでますが、テストプレイ中にハイスペックな鎧の数が足りない
 ことに気付いて、念のため確保していた空き番号に本品を急遽追加したためです。
 No.302の〔陣羽織〕もこれと同じ事情。


◆盾

No.161 小型の盾 / Small Shield / ?盾
No.162 盾 / Shield / ?盾
No.163 鉄の盾 / Iron Buckler / ?盾
No.164 戦場の盾 / Heater Shield / ?盾

 このあたりの盾が実際にどういうものなのかは、英名を確認したほうが理解しやすいだろう。まるっきり「そのまんま」である。
No.165 決闘の盾 / Dueling Shield / ?盾
 盾の一部が刺突可能なように尖っており、いざとなれば武器にも使えるようになっている。剣の扱いに慣れてくるとかえって邪魔に感じてしまうらしいが、混戦状態で無我夢中になりがちな駆け出しの戦士たちには使い勝手がよく有り難い品のようだ。
No.166 支えの盾 / Shield of Support / ?盾
 旧帝国期には今でいう〔小型の盾〕と似たような位置づけの普及品だったと思われるが、軽く丈夫な謎の合金や木材とも樹脂ともつかない素材を組み合わせて作られており、魔法使いを除くすべての職業とすべての種族が扱うことが可能となっている。〔Support〕の名はその万能性から名付けられたのだろう。
 特筆すべき効果などはないが、品質保持のため吹き込まれた保護の魔法は十全に機能している。製造から数百年、あるいは千年近い時間が経過しているにもかかわらず新品同様の品質である。
No.167 悪の盾 / Shield of Evil / ?盾
 装備可能な者の戒律を限定する強力な魔法により大きく強化された盾。〔悪の鎧〕とペアで使用するべく作られたことはほぼ確実で、黒光りするほど磨き込まれた表面には一点の曇りもない。近年は装着者の意思に応じてブレスダメージを半減する不可視のフィールドを展開する機能が解放できるようになり、より使い勝手がよくなっている。
 余談ながら「黒光り」とは艶のある黒色のことではなく、表面が鏡面状態になるまで磨き込まれ、鉄(≒炭素鋼)本来の色と輝きが引き出された状態のこと。一般的に鉄はキラキラした銀色だと思われがちだが、それは表面が磨き込まれていないため光が乱反射して白く曇っているだけなのだ。
 もっとも悪の鎧にしろ悪の盾にしろ、使用されている素材に鉄が含まれるかどうかまったくわからないのだが。
No.168 抗魔の盾 / Shield of Resist / ?盾
 形状で言うなら少し大きめのラウンドシールド(円形の盾)に見える。大きさや重さも相まって前衛職でしか装備できないが、盾としての性能はさほど高くない。しかし盾の表面積を最大限使って不可視の大きな魔法陣が焼き付けられていて、これが強力な対魔法能力を発揮するのだ。具体的には攻撃呪文によるダメージを常に半減してくれる。
 この魔法陣、より強い魔法を跳ね返そうとするほど強く光り輝くらしい。たとえばニュークリアブラスト(ティルトウェイト)のような強力な魔法の場合、魔法陣が盾本体よりも大きく拡大して装備した者の身体をほとんど覆い隠すという。見た目的に言えば、そう、ちょうどドクターストレ……いや、何でもない。
No.169 星のブレスレット ※3 / Star Bracelet / ?腕輪
 不確定名が「?腕輪」なのに「盾」なのかと不思議に思うかもしれない。確かに見た目の上では何の変哲もない細身の腕輪(バングル)で、ただのアクセサリーだと誤認してしまいそうになる。
 だが実際には、天から降ってきた星のかけらを練り込んだといわれる強力な魔法のアイテムである。使い方もいたって簡単、装着した側の手を大きく開いて突き出すのみ。たったそれだけでブレスと攻撃魔法による被ダメージを半減する巨大な障壁が展開されて使用者を守ってくれるのだ。
 旧帝国期の魔導師たちが愛用していたことはほぼ間違いなく、現代においてもACを大きく下げることができない魔法使いやビショップにとって必須といえる品になるので、ぜひとも入手しておきたい。
 ちなみにこのブレスレット、宝石が埋め込まれていることもあれば、特に飾りのないチェーンの時もあり、凝った彫刻が施されている個体もある。使用された素材と込められた魔法が同じなら形状そのものは自由にできたのだろうが、旧帝国の魔導師たちは実は相当なオシャレさんだったとか……?
※3
 本作は本家Wizへのオマージュとして作られたシナリオでして、登場するアイテムの多くは
 本家からの引用、あるいは名前だけお借りして性能をアレンジしたものが主なのですが、
 この〔星のブレスレット〕だけはどこから引用したものなのかまるで思い出せない……。

 記憶では〔戦闘の監獄〕からと思ってたけど、調べても同名のアイテム名が出てこない。
 ヒットするのはむしろ本シナリオ〔平和への妄執〕関連のものばかり!
 もしやプレイ中に排出されたランダム生成アイテムに感激、自分のアイデアと掛け合わせ
 捻り出したのか。それとも「五つの試練」で過去にプレイしたユーザーシナリオから……?
 (もし後者だったらどなたかご教示ください。すっかり忘れてるとかけっこう失礼だから!)

 ただ「こういうアイテムであろう」という使用イメージだけははっきり記憶していたという。
 憶えておくべきはそっちじゃないだろう、自分。
No.170 守りの盾 / Shield of Defence / ?盾
 旧帝国期のマジックアイテムの中でも最高峰の防御力を誇る強力な盾。かなり古くから存在を認知されていたが、これも近年になって秘められた力を引き出す方法が発見され再評価されることになった。そしてその後も「最高峰の防御力を誇る強力な盾」という地位が揺らぐことはなかったようだ。
 盾としての本来の性能の高さや使い勝手の良さはもちろん、敵対者の攻撃呪文やブレスの威力を半減する。前衛職にとってはまさに理想の盾となるだろう。極めて貴重な品ゆえ実物を目にするだけでも奇跡的だが、できれば数を揃えて装備可能な味方すべてに行き渡らせたいものである。
 蛇足ながら、この盾の最大の特徴として「膠、漆、タール等を用いた接着・塗装を受け付ける」というものがある。一般に魔法の防具は(強力な保護魔法が吹き込まれているために)一切の加工を拒むものなのだが、本品に限っては「一族の家紋を描いた彫刻を貼り付ける」「可愛らしいピンク色に染める」などのアレンジが可能なのだ。もちろん盾そのものは一切侵されず傷一つ付けられないので、砥石やヤスリで磨けばすぐ元通りになる。
 現代における盾は、その表面積の広さを活かして持ち主が何らかの主張を行うキャンバスに利用されることが多い。これまで打ち倒した相手の数を星にして描き込む者、敵を威嚇するため髑髏や悪魔の絵を描く者、あるいはパーティの団結を示すべく統一した絵柄を描く者……。旧帝国期においても盾は同じような使い方をされていた可能性を示唆しているが、何だかんだで人間というのは今も昔も変わらない、ということか。


◆兜(頭に被るもの)

No.171 サークレット / Circlet / ?頭に被るもの
 頭にはめ込むようにして使う金属製の輪っか。防御効果は無いに等しく基本的には飾りも同然だが、何もないよりマシ。少しだけHPを上方補正する。
No.173 忍耐の兜 / Helm of Hardiness / ?兜
 旧帝国期の普及品とみられている兜。基本的には開放型(顔が出ている兜)だが、面頬を商店で追加する戦士も多い。
 見た目の上では現代も使用される兜と大差ないが、旧帝国期のものは兜の内側に張られた中敷きやパッドの性能が段違いで、通気性もよく長時間被っていてもあまり苦にならないという。さらに人体から出る汗や油も蓄積しないから、変な汚れや嫌なにおいが染みつくこともない。より強い打撃に耐えうる「忍耐(Hardiness)」は性能以外の快適性に裏打ちされたものなのだ。
 ダンジョンの深部で発見したら現代製の鉄兜などポイッと投げ捨てて、すぐにでも交換・装備してしまおう。 
No.174 アーメット / Armet / ?兜
 こちらも旧帝国期の兜で、首元から顔まですっぽり包んで防御するようにできている。見た目通り普及品ではなく高級な鎧と合わせる前提で作られたものと思われ、デザインは多種多様。かつて発見された同等品で全く同じ形をしたものは一つもなかったと言われている。
 この兜のユニークなところは、旧帝国期の魔法鎧と一緒に装備するさい、微妙に地金の色合いが変化して鎧にマッチすることだろう。特に〔極上の鎧〕〔中立の鎧〕などと相性がいい。使い始めて二、三日ほど経てば「最初からセットで拾ったんだっけ?」と感じるほど違和感がなくなるそうだ。
No.175 侍大将の兜 / Shogun Kabuto / ?兜
 扶桑ノ国で作られた兜。先述のアーメットを参考に開発されたようで、東洋の兜としては珍しく面頬(仮面?)があり、喉元の防御にも配慮が行き届いている。西欧で言う+1相当の保護魔法も吹き込まれ、防御力は充分だ。
 ただしこの兜、いくら性能がよくても旧帝国期のものではないので、兜の裏側の中敷きは硬く綿を詰めたパッドなどを用いるしかない。女性の侍はかなり頻繁にこれらを取り替え、あるいは拭き取って天日に干すなどして工夫しているようだが、男性の侍たちは「道場で切磋琢磨していた頃を思い出す」「練習用の革の小手が臭かったんだよなァ」「新しい防具だと藍の色が顔や手に移ったりするんだよな」などと言うばかりで、同じ中敷きを年単位で使い続けるのが常だとか。ほんとやめろ臭いから。
No.176 転移の頭環 / Circlet of Movement / ?頭に被るもの
 別名〔転移の兜(Ring of Movement)〕とも。テレポーテーション(マロール)の呪文が封じ込められていほか、頭部周辺に魔法の兜とほぼ同等の防御力を持つ物理防御フィールドを展開する機能を持っている。
 ただ、封じ込められた呪文を開放すると100%の確率でただのサークレットになってしまい、フィールドを展開する機能も失われる。緊急時以外の呪文力の使用は避けた方が無難だ。
No.177 僧侶の帽子 / Zucchetto / ?頭に被るもの
 別称として「カロッタ(Calotta)」とも。現在では高位聖職者のシンボルだが、旧帝国期にもほぼ同じ意味で用いられていたと考えられる。
 かつて男性の聖職者は、叙階(聖職者の中で責任者になり役目を与えられること)を受ける際に頭頂部付近を円く剃髪していた。神の使徒のシンボルとして天使の輪を模したと思われるが、天使は階級が上がっていくたびに象徴とする色が変わっていく。たとえば、最上位は純白。それに次ぐのが黒と灰。そして赤と青、黄(黄金)などと続く。
 それと同じ変化を表現するため、最上位の高僧は剃髪した場所を覆うように色つきの帽子を用いるようになった……と考えられるが実際のところは不明である。古くからの風習なのでもはや起源が判然としないからだ。
 現在は剃髪の儀式はほとんど行われなくなり、ズチェット/カロッタだけが残って大司教や教皇の象徴となった。冒険者の僧侶がこれを身につけるのは本来おこがましいことなのだが(特に迷宮最深部で発見される同品は、現代において教皇を意味する純白のものがとても多い!)あくまで防具、兜の一種、戦闘時に頭部を保護する防具なのだという態で装着を許可されているそうだ。現代のものとはちょっとだけ様式も違うしね。
 ただ、パーティの仲間にとっては「苦楽を共にし何度となく命を救ってくれた僧侶のほうが、大聖堂でふんぞり返ってる高僧よりよほど天使に近い」と思っているに違いない。もし仲間の僧侶がこの帽を戴くことを躊躇っているようなら、どうか笑顔で装備を促してあげて欲しい。
No.178 尼僧の頭巾 / Veil of Priestess / ?頭に被るもの
 別称として〔ウィンプル(Wimple)〕あるいは〔コルネット(Cornette)〕とも。旧帝国期の尼僧らが用いていたと考えられている。
 現代では修道女のシンボルになっている頭巾と見た目の上では大差ないが、外からは見えないよう内側に華やかなレースがあしらわれていたり、頭巾が乱れないよう髪に留めるピンがとてもお洒落にできていたり、当時の尼僧たちの密やかな楽しみが窺い知れるようで実に微笑ましい……などと考えるのは早計で、実はこれら全てに頭部を守るための神術的な意味があるのだという。単なるファッションではないので男性諸氏は勘違いしないように。
 これを装備した女性僧侶に「お前も色気があったんだなwwww」なんて無神経にからかおうものなら、メイスのフルスイングが頭に直撃することになる。侮辱や嘲りは信仰上で忌むべき大罪だ。もし死んだとしても天罰ないし神の思し召しとしてまず罪には問われまい。覚悟されたし。エイメン。
No.179 大魔導師の帽子 / Wizard Hat / ?頭に被るもの
 〔大魔導師のローブ〕と対になる帽子。帽子を手に入れてローブがないとか、またはその逆というのはどうにもしまらない。ぜひとも両方揃えたいものである。
 なお、魔法使いの帽子というと、とんでもなく鐔が広い三角帽で、帽子の頂点がくしゃくしゃっと潰れるように歪んでいるものを想像すると思うが、そんなわかりやすいイメージだと思っているなら大正解である。
 そもそも魔法使いにとって三角は魔術的シンボルであり、三角帽子のシルエットは巨大な角を持つ悪魔の頭部を模しているとも言われる。オカルト的に見てもかなり重い意味を持っているので、童話に出てくるような面白みのないステレオタイプという印象の方が実は間違いなのだ。
No.180 司教の冠 / Mitra / ?頭に被るもの
 〔賢者の法衣〕と対になる冠。鑑定の成功率が向上する加護が得られるなど司教にとってはぜひとも入手しておきたい品だが、装着した際の外見には賢者の法衣と同じ難点を抱えている。装飾過多かつ絢爛豪華なのだ。冒険者の普段使いにはまったく向いていないのである。
 女性のビショップであればまだいい。性能に直接影響しない装飾を可能な限り取り外せば「美しい髪飾り」として使えなくもないし、それでも華美だと思うなら聖職者らしく髪を隠すベールをつけることもできる。しかし男性のビショップはそうもいかない。男が金銀宝石をちりばめた髪飾りをつける習慣は(少なくともオード領の周辺には)ないし、布を巻き付けて隠そうとすると砂漠の民のターバンのようになって逆に目立ってしまう。
 ただ、対処方が全くないわけではない。この冠は吹き込まれた魔力を失うと形すら維持できなくなってガラクタになってしまうが、それすなわち大半の性能が吹き込まれた魔力や祝福によるという証拠。扶桑ノ国から伝来した「御霊写し」なる手法を使って別の装備(たとえば呪文の力を使用したあとの転移の頭環など)にこの宝冠の持つ能力を移せば、見た目はシンプルだが性能はほぼ同等の新たな装備ができあがるわけだ。
 しかし、それはそれで「ビショップにとって象徴ともいうべき豪奢な冠がこの世からひとつ失われる」ことになる。生涯冒険者として終える覚悟をしたなら話は別だが、大半のビショップは将来的に自派の寺院に戻るものだ。そこでいつか大司教に就く日を夢見るのであれば、迷宮の奥深くで奇跡的な出会いをした宝冠を礼拝でも使いたいと考えるはず。そもそもこの宝冠は、そうした儀式のために作られたものに違いないのだから。
 結局、彼らは街中では冠をつけず、人目のない迷宮に入ってから冠を麻袋から取り出し装備する等の手間をかけるしかないらしい。いやはや、ビショップも楽じゃないな。
No.181 悪の兜 / Helm of Evil / ?兜
 〔悪の鎧〕や〔悪の盾〕とセットで作られたと見られる兜。装備としてはアーメットの同等品だが、少なくとも悪の鎧や悪の盾と合わせるならばこちらの方がデザインは馴染むし格好もいい。男女ともに装備可能ではあるものの、本体になる悪の鎧が事実上男性専用の装備なので、この兜だけ使用する女性はかなり珍しいと思われる。
 もう一つ特筆すべきこととして、パニッシュ(バディオス)の呪文が封じられていて、破損率0%で何度でも使える機能が備わっているのだが……まあ、これを装備する戦士が使うことはおそらく一度もないだろう。いっそ拳で殴った方が早いもんな。
No.182 優美なティアラ / Graceful Tiara / ?頭に被るもの
 王族が式典で使うような豪奢なものではないが、貴族や富豪の夜会などフォーマルな席に招かれた時は躊躇わず身につけられる。そういうクラスの立派な宝飾品である。サイズや形に一つとして同じものはなく(ハンドメイドの宝飾品だから当然だ)時には普段使い可能なシックでシンプルなものが見つかることもある。女性冒険者にとっては辛く苦しい迷宮生活の疲れを一瞬で吹き飛ばす瞬間になるだろう。
 なぜそんな宝飾品にACが低下するほどの防御力が付与されているのかといえば、宝飾品の輝きを維持しようとして保護の魔法を吹き込んだためだ。頭部用の防具として使うなら男性も装備可能なはずなのだが、現在はなんと「法律で」男性がティアラを装備することが禁止されている。
 かつて古都リルガミンにおいて、これの同等品である〔金のティアラ〕が数多く見つかったことがあった。装備品に不自由していた当時の男性冒険者、特に忍者たちがこれを冗談半分実用半分でこぞって装備。おかげで女王ベイキほか貴族の婦人らが着用するティアラの印象が著しく悪化したのだ。サーカス団の喜劇でも「半裸の覆面男が女性モノのティアラを頭に乗せる」だけで笑いのネタとして成立するようになってしまい、とうとう最後には、代々受け継いだ貴重なティアラを身につけて結婚式に臨んだ花嫁が観覧の市民から失笑されるという事件が起きて社会問題化。その結果、冒険者がティアラを身につけること自体が禁止されてしまった。
 なにぶんリルガミンは西洋における経済と文化の中心地。この法律は瞬く間に周辺国でも踏襲されて、遠路はるばるオード領にまで伝わった。後に女性冒険者らが嘆願して「女性用の宝飾品を女性が使うことは身分にかかわらず適法」と改められたが、今も男性たちには解禁されていない。
 何も考えてなかった当時の忍者どもは海より深く猛省されたし。
No.183 君主の宝冠 / Crown of Lieges / ?頭に被るもの
 実はLiegesと表記すると「貴族の、特権階級の」といった意味合いが含まれるようになるので、和名の通りに「君主の宝冠」という意味にしたければ「Crown of Liege」とすべきなのだが実はこれだと同名の品が実在する。聖王ルイ9世の……いや、これ以上はとめどなく長くなるだけなので止しておこう。
 この世界において、Lordが(Holy)KnightやPaladinとほぼ同じ意味を指すようになった経緯は判然としないのだが、実は聖騎士などと訳されるPaladinも最初から(Holy)Knightの意味で用いられていた言葉ではないらしい。言葉の持つ意味合いは時代につれて変化するのが自然ということだが、それにしてもLordがKnightに近しい意味になるのは相当な文化的事件であろう。
 さらにこの世界のLordの立場をややこしくしているのが、Samuraiの存在だ。この世界においてLordに比する存在と言えばSamuraiなのは言及するまでもないが、侍とはもともと英語圏で言うWarrior、Soldier、Fencerなどと大差ない。Lordと肩を並べる上級職としてかなり無理が……いや、この話も長くなるだけだから止めておいた方がいいな。うん。
 とにかく、ロードという「職業」のイメージにしっくり来る装備というのはなかなか難しい。戦士のように全身を金属製の鎧や兜でガチガチに固めると「何ビビってんすか君主のくせに」となりかねず、かといってGarbやら錫杖やらクロークで固めると「恐れながら我が君に申し上げます、戦場は我々に任せて宮殿へお戻り下さい」となりかねない。
 共通認識としては、聖なるArmorに身を包みながらも頭にはHelmやArmetではなくCrownを戴いて、戦闘においては指揮や決断を担当。背後のビショップや魔法使いを守りつつ突出する侍や忍者が討ち漏らした敵を叩いていく……といった具合なのだろう。
 いかん、このアイテムの話ぜんぜんしてないな。えーとえーと、つまりそんなロードたちによくお似合いの魔法の冠です。以上。※4
※4
 ロードの装備について真面目に考え始めると、ロードとはつまり何か、という問いかけから
 目を逸らすことが難しくなってきますよね。頭上に宝冠戴いた君主の仕事が迷宮の奥深くで
 グレーターデーモン養殖しながら経験値稼ぎやアイテム掘りってのも相当アレだし……。

 当方では「いずれ執政者となることが期待される者(ガチで君主になる者もいる)」
 という風に定義し、彼らにとっての冒険者稼業は一種のGrand Tourと位置づけました。
 実際は家柄や血筋も転職の条件として吟味されるんでしょう。例外は多々あるだろうけど。

 ていうか英語ネイティブの人からすると、この辺のアバウトな命名がすでにジョークっぽい
 というか、ハイファンタジー的な真面目さをwizに感じない一因なのかも。


◆籠手・手袋

No.186 鉄の籠手 / Iron Gauntlets / ?籠手
 英名を読んで字のごとくの防具。特にヒネリなどはない。
 なおトレボー城塞だと〔銅の籠手〕が同等品として流通していたが、あれはなぜ銅製だったのだろう。柔らかくて加工しやすかったから?
No.187 絹の手袋 / Silky Gloves / ?手袋
 これも英名を読んだ方が実像に近い。「Silky=絹のような」であって、本物の絹ではない。高度な魔法的処理を施された合成繊維による手袋である。
 ただ、現代の染色加工や脱色加工は受け付けるので、腕のいい染色職人に任せると本物の絹手袋より上質な手袋になるそうだ。盗賊あたりはヒマな時に自分で真っ黒に染めてそうだけども。
No.188 ミスリルグローブ / Gloves of Mithril / ?手袋
 〔ミスリルの鎖帷子〕と同じ材質・同じ技術で編まれた手袋。掌の部分には鹿革によく似た素材が使われているが、保護魔法が吹き込まれているので擦り切れたり破れたり汚れたりしない。
 一説によると「こうした魔法素材は実は生きていて、自らダメージを修復しているのでは」という見方もあるらしい。実際に使用する冒険者にはどちらでも同じことなのだが。
No.189 蟷螂の籠手 / Mantis Cannon / ?籠手
 「Groves」でもなく「Gauntlets」でもなく「Cannon(腕甲)」であるところがミソ。基本的には旧帝国期に作られた実用本位の魔法の籠手なのだが、肘鉄を食らわせる要領で二の腕を覆う腕甲を敵に叩き付けると、蟷螂の腕に似た鋭い刃が飛び出し敵を切り裂くユニークな仕掛けをもっている。
 対人戦においては鍔迫り合いの際の不意打ちとして使い勝手がよく、モンスター相手には大口をあけて噛み付いてきたところでわざと二の腕を噛ませてやると口の中をズタズタにしてやれるわけだ。いささか卑怯技っぽい感があることは否めないが、原則として「勝てばよかろうなのだ」が信条の冒険者の籠手としては間違いなく最上級品のひとつである。
 なお、本品はジャイアントマンティスとは基本的に無関係。昆虫系の攻撃対象になる可能性が減る魔法がかけられていることや、仕掛け刃が飛び出した際のビジュアルから「あの首刈りカマキリの外殻を加工して作られたのではないか」という説が信じられていた時期もあったのだが、少なくともオード領の賢者たちは否定している。ミスリルなどの魔法合金をばんばん使ってた旧帝国の職人がなんでわざわざ「虫の外殻のような扱い辛く品質も揃わない素材」を使って、籠手みたいな繊細な細工物を作るのかと。
No.190 銀の籠手 / Gauntlets of Silver / ?籠手
 籠手としては最高クラスの防御力を誇る美しい逸品である……が、ACが-3下がる以外に特筆すべき機能を備えておらず、オード領ではあまり有り難がられていないらしい。いずれ研究が進んで隠された能力や機能が見つかったなら話は違ってくるのだが。


◆ブーツ・脚甲

No.191 補強入りブーツ / Safety Boots / ?ブーツ
 爪先を鋼鉄で保護し、靴底には耐油性のある特殊な革を使用した安全靴。「巨人族に踏まれても大丈夫」「耐荷重1t以上」「油をぶちまけた石畳でもすべらない」「釘を踏んでも足までは貫けない」などと宣伝されているが、実際それだけの性能を持つ靴らしい。現代の職人も侮れない。
No.194 翼のブーツ / Wing Boots / ?ブーツ
 現代の安全靴がなかなかの性能を持っているといっても、やはり旧帝国期に作られた魔法の品とは勝負にならない。このブーツは着用者の足を保護するばかりでなく、ダッシュ時は絶妙な加減で瞬間的に重力の軛を断ち切って人間離れした凄まじい敏捷性を与える機能を持つうえ、さらにレビテイト(リトフェイト)の呪文まで封じ込められている。
 しかもレビテイトの呪文はいくら使っても大丈夫。靴は絶対に壊れない。至れり尽くせりとは正にこのことである。
 なお、本品は迫水真次郎や「リーンの翼」とは何の関係もない。
No.195 静寂の靴 / Silent Shoes / ?靴
 こちらも旧帝国期に作られた魔法の靴。足を保護する機能は当然備えているが、注目すべきなのは着用者の足音や衣擦れをほぼ完全に消してしまうことだ。板金鎧を着た戦士のガチャガチャという金属音すら聞き取れなくなるというから相当なものである。
 これにより先制攻撃確率が向上するだけでなく、盗賊や忍者が装備すると「隠れ続ける」ことができるようになる。
 迷宮での戦闘は、不意打ちを仕掛けて先制を取るとおそろしく有利になる。可能な限り多くのパーティメンバーに装備させたいものだ。
No.196 赤いパンプス / Red Pumps / ?靴
 これも旧帝国期に作られた魔法の靴。赤色というより揺らめく炎のような不思議な艶を放つ。炎の精霊の加護によって炎属性の魔法ダメージが向上するほか、ACを-2も低下させる物理障壁を足元に展開することができる。
 ただ問題なのは、対応できる足のサイズが小さめで女性にしか装備できないことと、高めの硬いヒールがあるために「カツン、カツン」とかなり特徴的な足音が立つことだ。そのためモンスターに対し先制攻撃が仕掛けにくくなってしまうのである。
 いやまあ、全身鎧を着た戦士と一緒に歩いてるんだとしたら、ヒールと石畳が立てる音くらいどうってことないような気もするのだが。
No.197 ガラスの靴 / Glass Slippers / ?靴
 善の女性にしか装備できず、睡眠攻撃に耐性をもたらす……ということは、午前零時を越えるギリギリまで舞踏会に参加するため用意された灰被り姫専用のアレなのだろう。よく考えたら未婚女性を集めて深夜遅くまでパーティやるとか相当アレな王子様だよね。
 残念ながらダンジョンダイバーの女性たちにはあまり有用なアイテムではないし、どちらかと言えば街中で履きたい靴なので、コレクションとして手に入れるのみで終わるだろう。残念。
 なお、この靴の素材は本当にガラスというわけではなく、今風に言えばビニールのような伸縮性を持つ謎の素材を主材料として効果的に使った婦人靴だと考えてもらった方が実像に近いはずだ。ペディキュアを併用するとすっごいお洒落になるやつね。
No.198 蟷螂の脚甲 / Mantis Greave / ?脚甲
 〔蟷螂の籠手〕と同じ制作者による魔法の脛当て。籠手とセットの品であろうという意味で蟷螂の脚甲と呼ばれているが、こちらは籠手のように凝ったギミックは仕込まれていない。足元をしっかり保護しつつ、前衛職の体捌きを補助して素早さを向上させる魔法が吹き込まれた優秀な防具である。
No.199 銀の脚甲 / Legs of Silver / ?脚甲
 〔銀の籠手〕と同じ制作者による脚甲。下半身を守る防具としては最高級品。落とし穴など床に仕掛けられた脅威からほぼ完全に足元を守ってくれる。それ以外の特徴を特に持っていない点も銀の籠手と同じ。


◆衣類

No.200 冒険者のマント / Adventurer's Cloak / ?大きな布
 ぶっちゃけ迷宮は寒い。陽の光の届かない地下空間だから当然なのだが、体温管理はダンジョンダイバーのQOLに直結する重要な要素である。防寒具としてのマントは大変有効なのでなるべく装備しておこう。
No.201 重ね鎧 / Armor Applique / 防具
 ぶっちゃけ迷宮は湿度が高い。地下空間の建造は地下水脈との戦いだと言っても過言ではないくらいだ。ジメジメした場所に通気性の悪い全身鎧を着ていって命懸けで戦ったりした日には、したたるほどかいた汗がいつまで経っても乾かなくて往生することになる。
 なので、冒険者用に販売されている鎧は一部パーツが省略されるか簡素版になっている場合が多い。肩当てや前垂れがそれに該当するが、これはその「省略されたパーツ」を補って鎧本来の防御力を取り戻すものだ。
 つまり、これをつけていると重くなって素早さが低下するうえにジメジメしまくって気持ち悪いのだ。しかし駆け出しの前衛職にとってAC-2の差は生死を分けかねない。背に腹は代えられないよね。
No.202 戦場のコート / Armored Coat / ?衣類
 昔ながらのマントも悪くはないが、最近は鎧を着込んだまま袖を通せるコート状の防寒着が主流になってきている。前身頃はボタンがついていて開閉も可能だし、腰のところに革のベルトもついているから戦闘時にヒラヒラして邪魔になることもない。さらに肩や肘など関節部に革製のパッドが入っているのでACも少しだけ下げられる。いいことずくしだ。
 え、なに? キリト? セフィロス? うーんまあだいたいそんな感じの見た目になるんちゃうかな。知らんけど。
No.203 軽業師の拵え / Pads of Acrobatics / ?衣類
 和名を見ると意味不明だが、英名を見れば一目瞭然である。ニーパッドやエルボーパッド、アンクルガードなどのセットで、これさえあれば大胆な身体の使い方ができるし、少々無茶をして転んでもノーダメージで済むというわけだ。結果的に素早さが+2されるのと同等の効果を得られる。
 足が短く低重心なはずなのに、それよりも上半身の筋肉が多すぎてトップヘビーで転びやすいドワーフ男性にとって、これはもはや必需品……って、どこが軽業師の拵えなんだよドワーフの拵えちゃうんかい。
 これも発明者は参謀だった頃の魔人エイドゥであるらしく、企画・設計・発注も彼の部下たちが行っていたそうだ。近衛隊のドワーフ戦士が彼の配下となった現在、オード城塞のストックは尽きたままになっている。運が良ければ試練場地下五階などでデッドストックが見つかるかもしれない。
No.204 清らかなマント / Mantle of Chastity / ?大きな布
 寺院で時間をかけて清められ祝福をうけた布で作ったマント。パッと見では純白に見えるが、実際は実用性を考えて薄いグレーやベージュに染められている。従軍する僧侶たちにとっては必需品といっていい品だったが、これも魔人エイドゥの騒動でストックがなくなってしまっている。
 信仰心を実質+2も向上させられるので、種族基本値からほとんど成長していない人間男性はなるべく装備しておいた方が無難。
No.205 智者のケープ / Mage's Cape / ?大きな布
 旧帝国期の魔法のアイテムを参考に作られたオード軍魔法使いの専用装備。このケープは着用者の精神を落ち着かせる魔法が吹き込まれており、結果的に知恵が+2されるのと同じ効果を得られるという。
 商店の在庫が尽きている理由は、先述までとほぼ同じ。
No.206 ベルベットクローク / Velvet Cloak / ?大きな布
 クローク(上半身だけを覆う短いマント)という名前がついているが、身体と下半身を保護するコートも付属する。いわゆるインバネスコートだ。
 上質なベルベット生地を用いているため体温保護は申し分なく、着用者の体型や姿勢をわかりにくくする効果なども相まってHPを1割ほども向上させる効果がある。というか、そんな実用面などどうでもよくなるくらいとにかくかっこいいので超オススメ。
 オード軍では士官向けの装備で、欲しければ自分で発注しオーダーメイドするのが習わしだった。これでは仕上がるまで何ヶ月も待たされてしまうので、今は魔人エイドゥの部下から巻き上げた方が手っ取り早い。ああ無常。
No.207 力のベルト / Strength Belt / ?衣類
 かつては腰に締めるだけで巨人族と同等の力(STR30以上)を得られる魔法のベルトがあったという。これはそこまで強力なものではないが、着用者の身体を活性化し力を+2する魔法を秘めている。膂力でどうしても男性に遅れを取りがちな女性前衛職はなるべく早く手に入れておきたい。
 ちなみにこのベルト、オードの賢者たちが古代魔法の文献を調べ上げ、長年の研究の末ようやく再現に成功したらしい。まさに快挙と言いたいところだが、市民は「まさか大公閣下は女子にも分け隔て無く徴兵の義務を負わせるつもりなのか」と戦々恐々なのだとか……。
 おっと、最後にもう一言。いつもの理由で商店では品切れ中です。
No.208 聖十字の装束 / Garb of Crusaders / ?衣類
 元々はオード軍所属のロードたちが使用する前提で開発されたものだが、前衛を務める僧侶たちにも好評らしい。力と信仰心をそれぞれ+1ずつ強化してくれる。商店に在庫がない理由はもう言わなくても大丈夫だよね? 
No.209 黒装束 / Black Garb / ?衣類
 オード領のニンジャ・クランが開発したもの。黒装束という名前だが実際は濃紺だったりダークグレイだったり黒に近い焦茶だったりする。特に隠れようと思わなくても迷宮の闇に自然と溶け込むので、敵にグンと奇襲を仕掛けやすくなる。
 忍者と盗賊にとって〔黒装束〕と〔静寂の靴〕はほぼ必須アイテムと言っていいだろう。いやまあ、忍者と盗賊以外が着る意味ないし装備すらできないのだが。
 商店に置いてないのはニンジャ・クランが開発したため。一般に流通させられるほど大量に作っているワケがないのだった。エイドゥに恭順した忍者部隊が混沌の魔窟に持ち込んだ可能性大なので探してみよう。まれに試練場地下5階でもデッドストックが見つかるかもしれない。
No.210 紅玉のマント / Cloak of Ruby / ?大きな布
No.211 青玉のマント / Cloak of Sapphire / ?大きな布
No.212 緑玉のマント / Cloak of Emerald / ?大きな布
No.213 黄玉のマント / Cloak of Topaz / ?大きな布
No.214 黒輝のマント / Cloak of Obsidian / ?大きな布
No.215 白虹のマント / Cloak of Opal / ?大きな布

 ここからようやく旧帝国期の魔法の品になる。性能的にはほとんど同一なのでまとめて紹介しよう。
 これらは全て、特定属性の攻撃に耐性があり、かつ、特定属性による魔法攻撃を増強する機能を備えている。「紅玉=炎属性」「青玉=氷属性」といった具合である。
 外見的にはマントの留め具に大きな宝石(宝玉)が用いられているのが特徴で、魔法効果はこの宝玉から発生しているらしい。自分好みに仕立ててもらったオーダーメイドのマントの宝玉をくっつけて、古代の魔法効果とモダンファッションのいいとこどりを実現させることも可能なのだとか。……いや、元々のマントも質感が独特でかなり格好良いしオーダーメイドとか面倒臭いので、大半の冒険者はそのまま使ってるみたいだけど。
 どれも性能は同じに感じるかもしれないが、攻撃魔法の性質上もっとも強い効果が出るのは〔黄玉のマント〕である。これを着て〔エナジーボルト(ツザリク)〕系統の魔法を使ってみよう。ダメージも増加具合に驚くこと請け合いだ。頻繁に使う呪文じゃないから使いどころは難しいけどね。
No.216 バリアクローク / Cloak of Barriering / ?大きな布
 中途半端なマントなんてあってもなくても変わらない、ブレスも魔法も物理攻撃も何もかも防御する最高のマントを作るのだ、カネに糸目はつけないから絶対に実現させろ! ……と旧帝国の偉い人が言ったかどうかは知らないが、現実にこのバリアクロークは存在する。
 物理ダメージ半減、魔法ダメージ半減、ブレスダメージ半減。
 これぞまさにバリア! 完璧な絶対防御障壁! 死角なし!
 ただし力-10、素早さ-10、最大攻撃回数-5回を許せるならば、だが。
 神経質な大金持ちが自衛のために使うなら有用なのかもしれないが、戦う集団である冒険者パーティにとってはデメリットの方が大きくて使いものにならない。複数のアイテムを組み合わせてデメリットを軽減させたのち、後衛のスペルキャスターに使わせるならまあギリギリ……ってそこまでやるなら星のブレスレットがあるよな。残念でした。
No.302 陣羽織 / Samurai Jacket / ?衣類
 半世紀ほど前、扶桑ノ国からやってきた使節団が当時の大公オーガスⅠ世に献上した品の一つとされている。東洋の武術に強い興味を持っていた大公は、他の刀や鎧などと共に百着近い陣羽織を受け取ったのだとか。オリエンタルな雰囲気が溢れる昇り龍や雷神風神の刺繍が施された裏地は絵画のように見事だが、付与される能力は力+1と知恵+1のみ。洋の東西を問わず今の人類が持つマジックアイテム製造能力はそのくらいなのだろう。鍛え抜かれた侍の剣技とそれに完全対応する一部の銘刀が異常なだけなのだ。
 なお、この陣羽織は〔銘入りの刀〕など扶桑ノ国の武具と共に、混沌の魔窟で数多く発見されているという。かの魔人が大公家の宝物庫にまで手を出したという話はないのだが……もしやオーガスⅠ世は〔混沌の魔窟〕の大規模調査を過去に命じたことがあったのだろうか?


◆呪われた防具

No.228 悪魔の鎧 / Devil's Plate / ?鎧
 この世界には、呪いのアイテムだと知っていても装備したくなるような有用なアイテムが少数ながら存在する。本品がまさにそれだ。
 AC補正はなんと驚きの-8。呪いのアイテムとして+1されるため実質は-7だが、それでも黒絲縅や赤綾縅と同クラス。これより防御力の高い鎧は「悪の鎧」「守りの鎧」「聖なる鎧」のような超貴重品しか存在しない。
 いやいやそうは言うけど呪いのアイテムだしデメリットあるんでしょ? と思うだろうし実際あるが、それも「負の奇跡」のみ。シックスブーンズやセブンスブーン(ハマン&マハマン)をほとんど使用しないリセット派には痛くも痒くもない。おまけに強力なシェイプシフト能力を備えているので男性にも女性にも装備可能。まさに至れり尽くせりである。
 もしもあなたが攻略効率最優先でイメージなんてどうでもいいというタイプなら、この鎧を装備せずにスルーする手はない。いや、イメージ重視派にとっても禍々しくて超かっこいい全身鎧は魅力的だろう。特に悪の戒律の僧侶がこれ着込んでると最高に似合いそうだよね。
No.229 狂戦士の鎧 / Berserker Armor / ?鎧
 悪魔の鎧については「こんな呪いの鎧を装備しなくてもまともなヤツのほうが性能も使い勝手も上だしなあ」と言い訳することもできた。しかしこの狂戦士の鎧は違う。こんな凶悪な性能を持つまともな鎧は存在しない。
 まずACは実質-8。これだけで相当な代物なのだが、問題なのは最大攻撃ダメージ+8という「作ったヤツ頭おかしいんちゃう?!」と言いたくなる強烈な補正だ。たとえばシナリオ中最強の両手剣である〔ベルダンの大剣〕を持つ戦士がこの鎧を装備すると攻撃ダメージダイスは2d12+10となり、期待値22は〔村正と小太刀(P)〕にほぼ匹敵。これが〔エクスカリバー〕なら3d12+8、期待値26以上で村正を超える。ならいっそ〔妖刀村正〕なら、なんなら〔村正と小太刀(P)〕ならば――。
 しかし、何の犠牲もなしにはその圧倒的な戦闘力は手に入らない。戦闘では常に先頭、ランダムエンカウントの確率+30%、そしてヒーリング-3。通常の手段で入手可能な最強のヒーリングアイテムは〔命の指輪〕の+2までなので、これを併用したとしても狂戦士の鎧は装備した者の命を確実に奪っていく。実用不能とは言わないが、使うにはかなりの覚悟と仲間たちの手厚いサポートが必要となるだろう。
 厳密に言えば、実用可能な条件がそろうチャンスが一度だけあるのだが……この時を待っていたと考えるか、こんな時こそ狂気の力に頼ることなく戦うかは、あなたの判断次第である。
 ちなみに世界的に有名な狂戦士が身につけているアレとは何の関係もないので悪しからず。ないったらない。ないということにしておいて。
No.232 禁断の盾 / Shield of Taboo / ?盾
 着用者の体型に合わせて金属の形を瞬時に変えるシェイプシフト、知能を持つとしか考えられない武器や防具……。それらを可能にする技術が確立した時、旧帝国期の鍛冶師や技術者たちはこう思ったに違いない。
「装備するだけで攻撃も防御も勝手にやってくれたら最強じゃね?」
 おそらくはその成果がこの盾だ。実質的にAC-5という防御力は〔守りの盾〕と同等、最低攻撃回数は中堅クラスの戦士に迫り、最大攻撃ダメージ+2という恩恵すら与えてくれる。非戦闘時は籠手のような形に偽装し、着用者の腕とほぼ一体化してまったく邪魔にならない。まさに理想の盾だ。着用者の意思に反し勝手に動き回って回避の邪魔をしたり、苦手なブレスから真っ先に逃げたりしなければ。
 旧帝国の人たちも「とんでもない失敗作を作ってしまった」と思ったのだろう。この盾に呪いをかけたのは間違っても装備するなよという警告であると考えていい。なお非戦闘時の見た目はどこかで見たことあるような感じになるらしいのだが、この盾と心が通じ合って相棒になってくれたりすることは絶対ないので肝に銘じておいてほしい。

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