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種族と男女差

 ウィザードリィに登場する種族はおなじみの5つ。
 人間・エルフ・ドワーフ・ノーム・ホビット
 ですが、〔五つの試練〕のシナリオエディタでは基礎パラメーターを男女別に設定できるので、この機能をフル活用させていただきました。

 本シナリオ〔平和への妄執〕においては、人間(男/女)・エルフ(男/女)・ドワーフ(男/女)・ノーム(男/女)・ホビット(男/女)で、この5種族×2性別はみんな基礎パラメーターが違います。

 数値だけ見れば10種族が存在するといってもいい。

 可能だったら性別:なしとか、肉体的には男(女)だけど心は女(男)とか、元は人間男性の侍だったけど禁呪に手を染めた悪の魔道士に敗北し女エルフの身体に変えられて奴隷として売り飛ばされた過去があるとかも追加設定できれば良かったんでしょうけど、これらはボーナスポイントの割り振りや脳内イメージで各自対応・補完してください。

初期設定1

 基本的な傾向としては「男は一芸に特化し、女は欠点を均す」ということになっているんですが……うん。数値だけ見ても何がなんだかよくわかりませんね!
 イメージを含めて個別に紹介していきましょう。


人間:HUMAN

男【STR 9 / IQ 8 /  PIE 5 / VIT 9 / AGI 8 / LUC 9 】
女【STR 8 / IQ 8 /  PIE 7 / VIT 7 / AGI 8 / LUC 10 】

 この世界において最も数が多い種族であり、何でもこなせる万能な種族……というのが人間という種族のお決まりの説明ですけど、このシナリオにおいて本当に万能なのは人間女性です。ほんのちょっとだけ男性よりHPが低めになりますが、極端に死にやすいというほどではありません。
 いっぽう、人間男性は信仰心(PIE)が全種族最低値という致命的な欠点を抱えているので、僧侶呪文の使い手にはまったく向いていません。また、信仰心が低いと敵の魔法攻撃に余計な追加ダメージが上乗せされちゃうのですが、この要素が序盤においては相当痛い。人間男性は序盤において全種族トップクラスに死にやすいと言っても過言ではないのです。
 ただし人間男性は体格・筋力・生命力・素早さのバランスがよく前衛職としてはほぼ理想的。女性との差はほんのちょっとなんだけどそのちょっとが戦闘で輝き始めるのです。それなりに成長して欠点が見えづらくなると、否応なく物理攻撃の中核になっていくのです。前衛に配置して殴り合いを担当させるのが適切でしょう。

 蛇足ですが、海外、特にウィザードリィのモデルになっている欧米の文化圏において「信心深い」というのは、「思いやりがあって優しく謙虚」という意味とほぼイコールらしいですね。
 つまり人間男性は女よりちょっと力と体格がいいからってすぐ威張り散らして俺SUGEEEEしたがる困ったヤツだということになる。お人好しほど損をしがちなのが世の常ですから、ある程度は横柄なほうが結果を残しやすいという側面もありそう。運も高めだしマグレも多そうよね。
 反面、そんな男に対して人間女性は若干イラッとしながらも仕方なく顔を立ててやっているという構図が目に浮かぶようですね。本当に社会を支えてんのは別におまえらじゃねえからな、と内心で悪態をつきながら。……あくまでこのファンタジー世界の話ですよ? 現実の話はしてませんよ?
 結果、人間社会はだいたい男性中心に回りがち。そんな男たちのせいで、人間ってのは挑発的かつ好戦的だと他種族からも思われてるんでしょうね。やれやれ。

エルフ:ELF

男【STR 8 / IQ 10 /  PIE 10 / VIT 7 / AGI 9 / LUC 6 】
女【STR 7 / IQ 10 /  PIE 10 / VIT 6 / AGI 9 / LUC 8 】

 森の妖精を始祖とする、容姿端麗で頭脳明晰、あらゆるファンタジー作品で大人気な種族です。背丈は人間と大差ありませんが、総じて細身なため一回り小柄に見えます。能力値全体を見ると明確に知恵と信仰心が高いので、男女ともに僧侶・魔法使い・司教に向いています。
 ただし、エルフ男性は運の強さに難があります。盗賊や忍者になろうものなら罠の識別を失敗しまくること請け合い……とまでヒドくはないにしても、残念ながらあまり向いてはいません。侍や君主のように魔法が使えてなおかつ前戦でも力より技を重視して華麗に戦う、そういう職業が一番向いてそうです。ロードオ*ザリングのレ*ラスとかもそんなイメージですね。
 反面、エルフ女性はエルフ男性ほど荒事に向いていません(全く務まらないわけではないが少々厳しい)が、盗賊や忍者などエルフ男性が苦手とする分野で活躍できる可能性が高いです。生命力が男性より低いといっても最大値17と16はゲームシステム的にHP補正値が同じなので、前衛向きの男性と後衛向きの女性という役割分担はあれど総じてそれほど差がありません。エルフはエルフだよね、という感じになるはずです。

 余談ながら、エルフ男性のフィジカルを左右する数値(STRとVIT)を見ると人間女性とほぼ同じになっています。人間目線から見るとエルフ男性というのは女のように華奢な優男に見えることでしょう。
 そしてエルフ女性のフィジカルは、人間女性をほんの少しだけ下回ります。人間男性からすると、華奢な手足に高い教養と礼儀正しい立ち振る舞いを兼ね備えた理想の女性に見えがちなのが数値でもよくわかりますね。
 いやまあ、エルフ女性の側は人間男性のことを「なんてガサツで根拠のない自信を振りかざす人たちなのかしら」とドン引きしてそうですけど。理知的な彼女らは他者依存をよしとせず自立心旺盛であろうと思われますから、支配的にふるまいがちな相手に好意的な感情を抱くことはなさそうですしね。おそらくメンタル的には都市部のキャリアウーマンに近いんじゃないかしらん。
 ちなみにエルフという種族は「プライドが高く傲慢で……」などと言われがちですしそういう連中も実際いなくはないんでしょうが、種族の傾向として「傲慢」という傾向は薄そうです。なにせ信仰心の基礎値10ですからね。つまりこの俗説、おおむね他の種族からのやっかみである可能性大。頭が良くて礼儀正しい山の手のヤツらなんてどうせ俺たち庶民を見下してるに決まってるっていうアレね。アレ。

ドワーフ:DWARF

男【STR 10 / IQ 7 /  PIE 9 / VIT 10 / AGI 5 / LUC 7 】
女【STR 9 / IQ 8 /  PIE 9 / VIT 8 / AGI 7 / LUC 7 】

 エルフと並んでファンタジーRPGには不可欠な存在のドワーフ。山の妖精を出自とする彼らは肉体労働派の代表格。背丈こそ人間の肩ほどしかありませんが、手や足は筋骨隆々で丸太のように太く、攻撃力もHPも飛び抜けて高い。力こそパワー! 殴り合いは俺たちに任せろ!
 と、短絡的に思ってしまいがちですが、種族基本値を見ると一概にそうとも言えません。ドワーフ男性は素早さが致命的に低いので、行動順がパーティの生死を分ける混戦ではむしろお荷物になりかねない。敵魔術師の攻撃呪文をもろともせず前進し敵を斧のサビにしたはいいが、満面の笑顔で振り返ったら仲間がみんな死んでいた……なんてこともありうる。前衛をドワーフ男性だけで固めてしまうのは戦術的観点から見て自殺行為です。
 その点、ドワーフ女性は違います。そもそも男はパワーにこだわりすぎなのよせっかくの攻撃も相手より先に当たらなかったら何にもならないじゃない! といわんばかりになかなか良い感じでバランスが取れている
 素早さを犠牲にしてでも圧倒的なパワーと耐久力をとったドワーフ男性と、フィジカルに優れ信仰心が高いというメリットを残しながらも欠点をカバーしたドワーフ女性。どちらを選択するかは指揮官の采配次第でしょう。

 しかし、数値上で見る限り、ドワーフ社会はなかなか複雑そうです。
 信仰心の高さを鑑みれば、互いに思いやりながら上手に社会生活を営んでいるのでしょうが、ドワーフ男性は総じて論理的な話が苦手っぽい。ドワーフ女性は何かと手を焼いていそうですよね。
 昔気質の頑固親父と肝っ玉母ちゃん、というのが典型的なドワーフの家庭像ですが、ドワーフ女性と本当に話が合うのはむしろ人間男性や人間女性なのかもしれません。特に、人間男性から見たドワーフ女性は体育会系で性格のさっぱりしたトランジスタグラマーのようになるはず。「ママー!」とか甘えたい手合いにはマジでたまらんのではないでしょうか。
 ドワーフ社会はかつて、女性にもヒゲが生えていると誤解されるくらい同族の女性を他種族と引き合わせなかったそうですけど、その理由は「うちの女どもはすぐヨソのヤツらに色目を使いやがる!」と誤解されたからだったりして?

ノーム:GNOME

男【STR 7 / IQ 7 /  PIE 10 / VIT 8 / AGI 8 / LUC 8 】
女【STR 6 / IQ 9 /  PIE 8 / VIT 8 / AGI 9 / LUC 8 】

 大地の精霊を祖とするノームは、起源においてドワーフと同じ種族であったとも。ただ、ドワーフが山で穴を掘り鉱山運営や冶金を生業としてきたのに対し、ノームの生業は酪農や農業。草花の栽培や読書を好むといいます。褐色肌で髪の色も焦げ茶か黒のドワーフに対し、色白で白髪や銀髪が多いノーム。見た目も性質も体育会系と文化系くらい差があるわけです。
 その「明確な差」は、そのまま基礎能力値にも反映されています。大地の精霊をルーツに持つだけあって生命力は充分なものの、腕力にものを言わせる局面は得意と言い難い。
 そんなノーム男性の適職はやはり僧侶でしょう。一方、ノーム女性は魔法使いやビショップに向いています。エルフと違って生命力が高い点も見逃せません。
 ただ、前衛職としてのノームは、能力値以外の部分で大きな欠点を抱えています。人間やエルフと比較すると一回り小柄なドワーフよりさらに頭一つぶん小柄なため、両手剣やポールアームなど大型の両手武器を扱うことができないのです。手足が短いとどうしようもないよね……。

 穏やかな性質や植物を愛でる気質なども相まって、ノームの氏族が長くエルフと同盟関係にあったことは間違いなさそうです。ドワーフともそれなりに交流はあったんじゃないかな。同源の親戚筋みたいなもんだし。
 さらに、ノームは男女でフィジカルにさほど差がないこと、互いにリスペクトし合いながら苦手分野を補い合う良好な関係であろうことなどが種族基本値からも察しがつきます。森の近くの丘陵地でヤギや羊を飼いながら穏やかに生きてきた、争い事を好まない童話の世界の住民たち……そんなイメージでしょうか。
 そのせいで争い事が大好きな人間たちからはすこぶる印象が薄く、エルフのおまけとかドワーフの変わり種とか不等な扱いを受けがちなのですが、当のノームたちは思慮深くかつ信仰心に篤いので「まァいいでしょう」と目くじらを立ててこなかった。そして人間はますます調子に乗って「不人気種族」だのとレッテルを貼るわけだ。ほんとろくでもねえな人間どもめ。
 なお、ノーム女性のビジュアルは「小柄で銀髪で色白でほっそりしていながら大地母神由来の母性により巨乳でフェミニン系しかも性格は温和で優しい」というほとんど無敵に近い条件が揃っていると考えられます。人間やエルフの基準では顔立ちに多少クセがありそうですが、顔立ちほど個人差の大きなものはありません。ノーム女性からは奇跡的なほど美しい少女が誕生する可能性があるのです。
 ノームといえば基本的には男性、白くて柔らかな口ひげをあふれんばかりにたたえた老爺ばかりというイメージが強いのですが、これはもしや他の種族から同族の若い女性が狙われるのを避けるために種族一丸となって守っていただけなのかも。これをノーム女性箱入り娘仮説として提唱します。

ホビット:HOBBIT

男【STR 6 / IQ 7 /  PIE 6 / VIT 6 / AGI 11 / LUC 13 】
女【STR 5 / IQ 8 /  PIE 7 / VIT 5 / AGI 10 / LUC 15 】

 いいから黙ってロード・オブ・ザ・リングを見ろ。そうでなければドラゴンランス戦記を読んでもいいぞ。ホビット(≒Halfling)の説明はそれで終わり! ……というわけにもいかないので一応駄文を連ねましょう。
 平均身長は100cmをちょっと超えたくらい。人間の基準で言えば幼稚園の年長組とか小学一年生くらいの体格です。顔も童顔なので本当に子供にしか見えません。ただ子供にしては考え方も物言いもしっかり大人。さらには耳も尖ってる。ホビットと人間の子供を見分けるのは比較的簡単でしょうね。だからといってホビットを合法ショタとかロリババアとか言うのはやめろ。
 でも実際、ホビットが一番仲良しなのは人間のようです。すばしっこくて子供みたいに可愛いから人間側の印象は悪くなりようがないですしね。ホビット側から見た人間も自分より大きくて知恵もあって頼りになるし信仰心が低いおかげで礼儀がどうの配慮がこうのとウザい説教をかましてこないから一緒にいても居心地がいいんでしょう。
 ドワーフともそれなりに仲はいいと俗に言われますが、ホビット側からするとあいつらは万一怒らせても適当に嘘ついて騙すか走って逃げりゃいいとナメてかかっている可能性大。エルフやノームにとっては信仰心が低するゆえ人を平気で裏切ったり、頻繁にくだらないイタズラをしかけてくる迷惑なヤツらだという認識の方が強い模様。さすがインテリ連中は見た目に騙されません。

 かつてホビットは足の裏に剛毛がびっしり生えててどこへ行くにも裸足でOKだったそうですが、ウィザードリィの世界では長寿のはずのエルフも老衰で死ぬし、ドワーフも鉱山で穴掘ってばっかじゃありません。社会を形成する一種族となったホビットも“広義での人類の一翼”として変化しているはずなので、靴くらい普通に履いてると考えた方がいいのでしょう。実際にゲーム中でもブーツは普通に装備できます。迷宮の中なんて落とし穴だらけで危ないもんね。
 ただしホビットは板金鎧を装備できません。両手剣もポールアームも無理。そのほかにも様々な装備制限が山盛りです。普通のロングソードを持つとすでに両手剣に近い形で装備することになるので、防御力の高い大きな盾も装備不可。籠手の類も軒並みアウト。小柄なホビットに合わせて無理矢理作ったところで、お子様向けのオモチャみたいなサイズにしかなりませんからね……。
 なので、武器を手にして前衛で殴り合いする職業に就くのはやめたほうが無難です。そもそも基礎能力値が前衛職に就くことを全力で拒否してるけどね。全種族最高を誇る素早さと運の強さを最大限に活かすよりほかになし。
 そんな彼らの適職はやはり盗賊、あるいは忍者でしょう。戦闘はあくまでお手伝い。ホビットの本当の戦いは宝箱と罠に向き合うところから!
 ホビット女性に限れば、魔法使いになるのも悪くない選択なんですけど、魔法使いはただでさえ職業的にHPが少ないのです。ホビットの低すぎる生命力がさらに足を引っ張ることになるのが目に見えているので、序盤はともかく敵が魔法攻撃やブレスなどで後列攻撃を頻繁に仕掛けてくる中盤が相当キツくなります。盗賊のまま高い知力を活かしてマジックアイテムの類を上手に使いこなしてもらう、という局面を期待するほうが健全でしょう。
 最初から過度な期待をせずに罠や鍵の解除に特化したスペシャリストがちょっとだけ戦闘も手伝ってくれると認識しておくべきでしょうね。

などとアレコレ語ってはきたが

 このシナリオにおいては、種族による差も性別の差も最終的にはほとんど無視できるようになります。

 強力な魔法のアイテムが次から次にドロップして当たり前、という状況になれば、いずれ〔神願の宝珠:Orb of Prodigy〕も手に入る……はず。
 僧侶がこれを使うと、レベルアップでは憶えられない7レベルの禁呪〔プロディジー(イハロン)〕を習得し、種族:性別の限界値を超えた能力値強化を行えるのです。ドワーフ男性の素早さやホビット女性の生命力の本当の限界値は18だと考えていただいて差し支えありません。

 さらにこの禁呪、これ以上能力値を強化できない限界まで高めた状態で使用すると性別を変えることができます。「あーやっぱりこのキャラは男(女)が良かったなあ~」と心の中でしっくりきてなかった場合もどうかご安心を。この世界において性同一性障害は存在しないのです!

 いやまあ、そこまで出来るようになるのは当分先の話ですけどね。

 それに、禁呪は欠点を是正するのではなく長所を伸ばす方にも使えるんです。たとえばドワーフ男性のSTRとVITの限界強化値は23、ホビット女性のLUCなんて28まで伸びるのです。数値を見ただけでも圧倒的ですよね。
 欠点を潰すか長所を伸ばすか。その判断は悩ましいものになることでしょう。禁呪は1度唱えたら忘れちゃうので無限には使えませんしね。宝珠も10%くらいの確率で壊れちゃうから。

 だからといって、有利不利を考えすぎてカリカリしすぎることはオススメしません。
 どうせ悩むなら戦闘効率ではなく愛と思い入れで悩みましょう。特性値なんてそもそもMAX15ありゃゲームシステム的にプラスもマイナスもかからんのです。それで充分という見方もできるわけだ。攻撃の命中率や行動順番なんて魔法の武器や防具やお守りなんぼでもカバーできる。それでもHP足りないとか簡単に死んじゃうとか敵に勝てないとか思っているなら特性値ではなくレベルを上げる方が先ですよ?
 実はいま動画配信主やってますただいまRTA挑戦中! なんて言うなら別だけど、そんな最大効率を追いかけるカリカリしたプレイなんて別に楽しくは……いや、楽しいな。それはそれで。間違いなく。

 とにかく。
 思い入れたっぷりに大事にキャラを育てていけば、必ず最後に愛が勝つ。
 キャラクターは長時間一緒に過ごす自分の分身なんだから、何より自分の気持ちが一番納得するように作っていただきたいなと。そう願います。
 

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