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武器解説

 本シナリオにはさまざまな武器が登場しますが、むやみやたらに強そうなものを装備すれば良いというものではありません。
 大切なのは「どういう局面でどう運用するか」を想定して取捨選択すること。それによってパーティの戦闘能力は見違えるように向上します。場合によっては手に入った強力なアイテムを使用するためだけに転職するとか、やがて手に入るであろうアイテムとの相性を見越してキャラクター作成時の種族や性別を選択するとか、そんなことも検討にすべきほどなのです。

 って、歴戦のWizホリックには常識以前の話ですけどもね!

 本稿では、130種以上の武器の中から特筆に値するものをピックアップ。中には物語や迷宮の攻略そっちのけで「これを手に入れるためにダンジョンへ潜るのだ!」と戦い続けるくらい魅力的な逸品が存在する……かも?
 

◆剣

No.3 一対の剣(P) / Rapier + Dagger(P) / ?一対の剣
 刀剣工廠の新米鍛冶師が作る〔オード式西洋二刀流〕専用のペアリングソード。メタ的には「武器合成のシステムをプレイヤーに理解してもらうための練習台」でしかないが、これがなければ訓練場の駆け出し戦士は基礎的な剣技の習得もおぼつかない。実はオード軍を影で支えている大事な武器。
No.4 切り裂きの剣 / Sword of Slicing / ?剣
 ご存じLong Sword +1。人間が生来持つ魔力や生命力を魔法の刃に変換、切れ味を向上させる魔法剣。現在の鍛冶技術でもこれくらいなら鍛造できるので普通に流通しているが、昨今の騎士や貴族は細身の剣がお好みの様子。
No.5 撃破の大剣 / Great Sword / ?剣
 Two-Handed Sword +1。大陸中央の傭兵部隊が好んで使っているらしい。狭い迷宮で比較的自由に使えるギリギリのサイズがこのくらいだとか。
No.6 貴族の双剣(P) / Epees of Nobles(P) / ?一対の剣
 この名前を見ていけすかないシルクハットの紳士が脳裏に思い浮かんだら、あなたはもう立派な〔平和への妄執〕フリーク。刀剣工廠解放直後に入手できる剣の中ではかなり使える部類なので、しぶしぶ愛用していた戦士も多いはず。英名に「Epees」とあるとおりほぼ同じ長さのレイピアの二刀流。これを思い通り使いこなせばイケメン度3割向上間違いなし。
No.7 真っ二つの剣 / Sword of Slashing / ?剣
 WIzフリークにはおなじみのLong Sword +2。これも現在の技術で鍛造可能だがかなり希少なので、近衛隊に直接納品されるか、あるいは大富豪の邸宅の暖炉上に飾られるので、商店の店先ではまず売っていない。混沌の魔窟ではるかに強力な武器がゴロゴロ出てくるため、残念ながら影は薄い。
No.8 フランベルジェ / Flamberge / ?剣
 刀身が炎のように波打った両手剣。込められた魔法は+1相当なのだが、刀身の形状が切りつけた対象の被害を拡大し傷口をズタズタにするので+2相当の威力になる。さすがラ=マルセイエーズ生まれ、なかなかエグい代物だ。
No.9 正義の双剣(P) / Blade of Paladins(P) / ?一対の剣
No.10 勇士の双剣(P) / Blade of Braves(P) / ?一対の剣
No.11 修羅の双剣(P) / Blade of Avengers(P) / ?一対の剣

 オード軍近衛隊に採用されている正式な装備。試練場B1の刀剣工廠はこの剣を生み出すために作られたといわれ、近衛隊の象徴にもなっている。これを腰に下げて城塞都市を歩くと民衆から尊敬の眼差しを独占すること請け合いだが、混沌の魔窟で剣呑なバケモノ相手に戦うには性能不足か。
No.12 ドラゴンスレイヤー / Slayer of Dragon / ?剣
No.13 ワースレイヤー(P) / Slayer of Weres(P) / ?一対の剣

 これらも混沌の魔窟で使うにはいまいちだが、おとぎ話や童話の勇者が使う魔法剣として一般の人気はかなり高い。特にワースレイヤーは別格だ。地方では今も人狼や蝙蝠男など獣人がらみの事件が多発していて、大半の冒険者はゴブリン退治や獣人退治で糊口をしのいでいるからだ。もしもダンジョンダイバーという生き方を選択しなかったら、どちらかがキャラクターたちの最強&最後の愛剣になっていた可能性は高いだろう。
No.14 炎の剣 / Flame Tongue / ?剣
No.15 氷の剣 / Frost Brand / ?剣
No.16 雷の剣 / Lightning Edge / ?剣

 魔法属性武器三兄弟。英名がやたらとカッコイイ。この剣での打撃は物理属性ではなく、それぞれ炎属性、氷属性、雷属性の魔法攻撃扱いになる。三本同時に腰にぶらさげて敵に合わせて使い分けられたら最高なのだが。
 なお、この剣に封じられている呪文をいくら使っても剣が破損することはないのでバンバン使っていこう。パーティ構成次第ではカシナートの剣より重宝することもある……かも?
No.17 悪のサーベル / Saber of Evil / ?剣
 終盤まで使える強力な魔法剣。ゆるやかに弧を描く曲刀で、刃は漆黒、不思議な波模様が焼き付いている。一見すると呪いの武器だが邪悪な波動は一切なく、鑑定は比較的容易らしい。実は一種のインテリジェンスソード(知能のある剣)らしく、剣のほうが持ち主を選んでいるのだとか。
No.18 カシナートの剣 / Blade Cusinart' / ?剣
 さまざまな意味でWIZARDRYを代表する強力な魔法剣。オード領の近辺で稀に見つかる同種の剣は、見た目のうえではあくまでシンプルかつ上質な両刃の片手剣である。ただ、使用時に形成される不可視の魔法の刃が……。
 これ以上はどこかのマニアがシナリオ中で説明してくれるはず。省略。
No.19 ベルダンの大剣 / Great Verdun' / ?剣
 稀代の天才鍛冶師(自称)が作り出した究極の両手剣。その威力は岩をも砕き海さえも割る……わけはないが、両手剣としてはかなり強力な部類。そういや突然話は変わるし本稿とは全然関係ないんだけど、フードプロセッサーはフランスのピエール・ベルダンさんが発明したものらしいですよ?
No.20 名も無き聖剣(P) / Holy Rapiers(P) / ?一対の剣
 由来も前歴も一切謎の魔法剣。わずかに透き通る白い刃を持った美しいレイピアで、いったい何を材料としてどう作ったのか現代では見当もつかないらしい。聖なる鎧と魔法的な共振現象を起こすことがあり、鍛造の過程で何らかの関わりがあったのではないかと目されているが定かではない。わかっているのは三種の神器と同レベルの貴重品であることと、そして、おそろしく強力な魔法剣であるということだけだ。※1
※1
 メタ的に言うと、戦闘バランスと職業ごとの役割分担を鑑みて「聖なる鎧」から悪魔攻撃2倍等の
 攻撃ブースト要素を分離した結果がこの剣だということになります。
 原典のままの性能だとあんまり聖なる鎧の防御効果を実感できなかった(特に最終戦とその手前)
 のでクリティカルヒット耐性をつけて、その代償として排除せざるを得なかった攻撃要素は
 このレイピアの方に託してみた、というわけです。
No.21 エクスカリバー / Excalibur / ?伝説の剣
 「貪るもの」の異名を持つ強力な魔法剣。由来については本シナリオの世界設定のベースになっているノベライズ作品を参照されたし。ゆえに英国の伝承に登場するアーサー王の御佩刀とは無関係。戦士とロードが装備可能な片手剣としては間違いなく最高峰の逸品である。※2
 言うまでもなく、カシナートの剣より数段優れた魔法剣だが……さて、どこかのバカ、もとい自称天才に見せてやれば、どんな顔をするのやら。
※2
 武器として見るといささか物足りないエクスカリバーですが、本作では終盤に入手可能な
 「守りの盾」がとんでもなく強力なので、これと併用することが前提になっています。
 高レベルのロードにとっては、レイピアの二刀流で侍と一緒に敵陣のど真ん中へ切り込むか、
 ガッツリ守りを固めて「ザ・タンク」として存在感を示すか、悩ましい選択になるはずです。


◆メイス

No.28 防毒のメイス / Mace of Pro-Poison / ?棒状のもの
 別名として「毒のメイス」あるいは「蛇のメイス」とも。柄の部分から螺旋状に彫刻された蛇がメイスヘッドに絡みつく形になっており、いわゆるアスクレピオスの杖にそっくり。装備した者を毒や麻痺の影響から守ってくれるうえ、思い切り振ると彫刻の蛇が伸びて3~4mほど先の敵を攻撃できるユニークな仕掛けをもっている。後列の僧侶やビショップに愛用者が多い。
No.29 使徒のメイス / Apostle's Mace / ?棒状のもの
 最上位の熾天使が祝福した強力なメイス。下手な刀剣よりも高いダメージを叩き出すが、さらに悪魔系だと2倍ダメージ、不死系には3倍ダメージという信じがたい威力を発揮する。前衛をつとめる僧侶にとって最良の武器であることはもちろん、エクスカリバーなど強力な剣に出会えなかったロードにも愛用者が多くいるらしい。ただし属性武器(聖)なので、もしも天使たちと袂を分かって戦うことになれば、ほぼ無力となるだろう。


◆戦斧

No.33 兜割りの斧 / Axe of Spliting / ?斧
 やはりドワーフ戦士には剣ではなく斧を持たせたい、そんなイメージプレイ重視派にとっては愛用するに足るBattle Axe +2。ちなみに英名を直訳すると「真っ二つの斧」。……いっそその方がわかりやすかったかも?
No.34 銀色の斧 / Silver Axe / ?斧
 バトルアックス版のワースレイヤー。ただし獣人に対するダメージ倍化ではなくクリティカル能力が付与されている。もともと混沌の魔窟に眠っていたマジックアイテムではなく、魔人エイドゥの配下だったドワーフ隊が愛用していたものらしい。ダンジョンダイバーにはあまり関係のない話だが、獣人がらみの事件への対処は為政者や軍にとって悩みのタネなのだ。
No.35 黄金の斧 / Gold Axe / ?斧
 あなたが探しているのは銀の斧ですか? それとも金の斧? ってやかましいわ両方よこせ! 武器としてはまったく役立たずだが売りさばくと高値がつく。ただ、これが手に入る頃になってもお金の心配をしている冒険者は少数派だろう。宿屋のスペシャルルームくらいしか使い途ないもんな……。
No.36 漆黒の斧 / Black Axe / ?斧
 かつて悪のサーベルに憧れたドワーフの戦士兼鍛冶師が、手に馴染んだ戦斧に同等の威力を吹き込んだもの。知能を持たない普通の武器なのだが、敵に対して斧を振るうことを躊躇うものには災いをもたらす強力かつ厄介な呪いがかけられていて、それが悪のサーベルに肉薄する威力の源になっているらしい。
No.37 バルクカザド / Baruk Khazad / ?斧
 ドワーフ専用のおそろしく強力な斧。オード領近辺に古くから根を下ろしているドワーフ氏族にとっては文字通りの至宝だが、住居であった洞窟がオード領へ併合される際のどさくさで失われたらしい。ドワーフの中には一生をかけてこの斧を探し求めている者すらいるという。
 言い伝えによると、ミスリル銀の鉱脈を深く深く掘り進めた先にこの斧がこの形のまま埋まっていたのだとか。かつては一振りで山を真っ二つにする絶大な威力を誇ったというが、現在はそこまでの神通力を持っていない。それでも図抜けて強力な武器であることに変わりはないが。


◆短剣

No.40 鋭い短剣 / Blade of Biting / ?剣
 いわゆるソードブレイカー型の魔法剣。剣から伸びた魔法の刃が獣のようにみずから噛み付く姿を幻視する者もいるという。が、市場に流通している+1クラスの短剣にそこまで強力な魔力が秘められているはずもない。単なる噂であろうが、変な噂が立つくらい愛用している者が多い、という証か。
No.41 名匠の短剣 / Epee of Excellence / ?剣
 和名では短剣、英名ではEpee、いったいどっちなんだよ?! と混乱しそうになるが、つまりはショートソードとレイピアの中間を取ったような姿だと思っていい。かなり古い様式の剣で、鍛造されたのは軽く千年以上昔と推測されるものの、刀身には錆も刃こぼれも全く見られず、盗賊たちが錠前や蝶番を破壊するために「こじる」ような使い方をしてもびくともしない。
 かつて同型の魔法剣は〔最強の短剣〕とも呼ばれていたが、それは戦闘力を指した名称ではなかったのである。
No.42 ソウルスレイヤー / Soul Slayer / ?剣
 外見はいわゆるチンクエディア(五指剣)に似ており、武器としての性能は一般的な短剣に毛が生えた程度でさほど高くはない。が、切りつけた相手の魂を傷つけて麻痺を誘発する強力な魔法効果が付与されている。ただその魔法効果が発動するときに「他人の魂を傷つける実感」が使い手にフィードバックされてしまうため、敵がどうなろうと知ったことかと割り切れる悪の戒律でなければ、呪いの剣にしか感じないのだとか。
No.43 メイジマッシャー / Masher of Mages  / ?剣
 大魔導師ワードナが魔法の魔除けを奪って姿をくらました際、狂王トレボーが配下に命じて大量に作らせたといわれる。これを装備したトレボー軍は残念ながら大魔導師の討伐に失敗、後に国内外から冒険者を募ることになるが、同剣は皮肉にもその大半がワードナの手に渡ってしまった。そして配下の悪魔や竜に「ワシの言うこと聞いてくれたお駄賃」として気前よく配られ、世界中に散逸することになったそうな。


◆短刀

No.46 切り裂きの短刀 / Dagger of Slicing / ?短刀
 古くからある魔法剣の一種で、現在も鍛造が可能なため相当な数が流通している。オード領の貴族の間では、これを刺突に特化したレイピアの刃の材料として打ち直し、〔鋭い短剣〕を寸詰めして防御用ソードブレイカーに仕立て直してペアにした〔貴族の双剣〕が大人気らしい。あの魔人エイドゥも、まだ参謀だったころにはプライベートで愛用していたのだとか。
No.47 早業の短刀 / Dagger of Speed / ?短刀
 加速の魔法に近い効果を恒久的に封じ込めた魔法の短刀。市井では護身用として人気があり、特に行商人や旅芸人でそれなりの成功を収めたものに愛用者が多い。もっとも冒険者にとってはまるで使い途がないのだが。
No.48 象牙の短刀 / Ivory Dagger / ?短刀
No.49 琥珀の短刀 / Amber Dagger / ?短刀
No.50 黒檀の短刀 / Evony Dagger / ?短刀

 均衡の守護者たる古都の聖龍が住まう高峰〔梯子山(スケイル)〕から大量に見つかった高度な魔法の短刀は、ここオード領の近辺にある古代遺跡からも続々と発見されている。賢者らの間には〔スケイル〕と〔混沌の魔窟〕の関連性を指摘する者もいるが、具体的な証拠はまだ見つかっていない。
No.51 盗賊の短刀 / Dagger of Thieves / ?短刀
 盗賊を忍者へクラスチェンジさせる強力な魔法が封じられた短刀。冒険者なら誰もが知るきわめて有名な品だが、発見されると大半が即座に使用され消滅してしまうので現物を見た者はほとんどいない。おかげで研究がまったく進んでおらず、どんな魔法が込められていてどうやったら現代の技術で再現できるのか、その手がかりすら掴めていないらしい。


◆杖

No.54 八角棍 / Octagon Rod / ?棒状のもの
 東洋の僧侶が愛用する杖……というより武器。2mほどの長さの棒を断面が8角形になるよう形を整え、先端とその付近に金属片を打ち込んで強化したもの。オード領ではむしろ駆け出しの忍者たちが好んで使っているようだ。
No.55 鉄の魔杖 / Rod of Iron / ?棒状のもの
No.56 沈黙の魔杖 / Rod of Silence / ?棒状のもの
No.57 炎の魔杖 / Rod of Flame / ?棒状のもの
No.58 氷の魔杖 / Rod of Ice / ?棒状のもの
 60cmほどの長さの杖の一端に宝玉がはめこまれた魔法の杖。呪文の力がひとつだけ封じ込められていて、MP、詠唱、結印などを必要とせず誰でも魔法を発動させることができる。使いすぎると必ず壊れる消耗品(破損確率はどれも5%)なのだが、どこかの竜族ないし不死者が旧帝国期の製法を今も記憶しているともっぱらの噂で、彼らが暇潰しに作り続けているおかげで一向に供給が途絶えないらしい。またこれは余談だが、これらの魔法の杖は外見上ほとんど見分けがつかず、これを正確に識別することがビショップの力量をはかるひとつの基準になっているのだとか。
No.59 召喚の魔杖 / Rod of Summoning / ?棒状のもの
 「Rod」というより、どちからといえば「Stick(ステッキ)」に近い。王侯貴族が式典の際に用いる錫杖にも似た立派なつくりをしているのは、この杖を使って召喚した悪魔たちに侮られないよう配慮した結果なのだろう。
 なお、この杖それ自体はほかの魔杖同様、どんな職業の誰でも装備できて呪文も発動させられるらしい。ただ召喚した悪魔や魔獣と契約を結んで使役するには一定以上の知識と交渉術が必要で、それらに失敗すると最悪の場合命を落とし、魔界へ魂を引きずり込まれる。そのため安全装置として、魔法使い以外の者には使えない呪いがかけられている、というわけだ。
 破損確率は他の魔杖と同じく5%となっている。
No.60 光の杖 / Staff of Light / ?棒状のもの
 人の背丈ほどもある長い杖の上端に、放射状の彫刻と宝玉が備えられたもの。元は太陽を神として崇めていた古代文明の祭器だったと言われている。迷宮内を明々と照らすのみならず厄介なダークゾーンすら無効化するため、ダンジョンダイバーにとっては喉から手が出るほど欲しい品の一つだ。
No.61 大地の杖 / Staff of Earth / ?棒状のもの
 これも典型的な魔法の杖だが、他の「Rod」と比較するといささか長く、宝玉のある側と反対側の末端が鋭く尖っていて地面に突き立てられるようになっている。そして、愚鈍な敵を地獄へ引きずり込むデッドリーカズム(ロカラ)の呪文を発動させるのである。
 なお蛇足ながら、この杖はたとえ迷宮の石畳だろうと御影石だろうと床や地面と見なせる場所ならどこでも関係なく突き立てられるそうだ。その感触は一度経験するとクセになるとか、ならないとか。
 破損確率は他の魔杖と同じく5%となっている。
No.62 羊飼いの杖 / Shepherd Crook / ?棒状のもの
 一見すると魔法のアイテムにはとても見えず、そのあたりの牧場で働く羊飼いたちが普通に使っている鈎状の杖である。
 しかしこれは、ノームの敬虔な僧侶たちが何十世代数百年にわたって大切に使い続けてきたもの。命と生活の全てを神への祈りとみなして捧げてきた末、偶発的に……否、必然として生まれた〔聖なる祝福の杖〕なのだ。
 前衛に出ない僧侶にとっては最良の逸品となるが、この杖を手にした僧侶たちが無邪気に喜ぶことはない。運命に選ばれたゆえの巡り会いであるとしても、はたして己にこの杖を手にする資格が本当にあるのか、聖なる杖を毀損することなく次世代へ手渡していけるのか。僧籍を離れるまで、この杖を手放すまで、あるいは神に与えられた命を全うするその時まで、自らの信仰と日々の行いが厳しく問われ続けるのである。
No.63 大魔導師の杖 / Staff of Wizard / ?棒状のもの
 全ての魔法の杖の頂点に位置する〔正真正銘、本物の魔法の杖〕である。
 見た目は個体ごとに千差万別、ひとまず杖に見えるという以外にこれといった共通点はない。旧帝国期の魔法使いたちの学閥に関係しているとか、マナの導きでこの杖を自作することが真の魔法使いになるための最後の試験だったとか、さまざまな説があるものの、どれも眉唾だ。
 本来は学術の徒であり、読書と研究の日々を送ることを最上の喜びとする魔法使いがなぜ冒険者になるのかと言えば、究極、この杖を手に入れたいがためである。なぜならこの杖の本質は、この世の全てを蓄えているという〔世界の記憶〕――アカシックレコードへのアクセス権。悪魔たちの絶対防壁・強力な呪文抵抗能力をかいくぐり殲滅しうる能力は、むしろこの杖の「おまけ」に過ぎないのである。
 だが、この杖を手に入れれば本当に全ての知識が手に入るのか。実のところ何もわかっていないらしい。実際にこの杖を手にした魔導師たちは例外なく口を閉ざし、多くを語ろうとしなくなるために。


◆刀

No.64 刀 / Katana / ?刀
No.65 脇差 / Wakizashi / ?刀
No.66 大小の刀(P) / Paired Katanas(P) / ?一対の刀
No.67 太刀 / Tachi / ?刀
No.68 薙刀 / Naginata / ?刀

 特に説明の必要もないだろう。特に日本語ネイティブにとっては、字面から受ける印象がそのままこの武器の姿である。
 ただ、刀と脇差が侍や忍者以外にも使用できることを意外に感じる者もいるかもしれない。
 シナリオの中でも刀鍛冶の千午が説明しているが、刀は本来ただの道具である。誰でも扱えて当然なのだ。西洋剣より細身で下手に扱うとすぐ折れるというのもまったく誤解(あの時のスカルダの台詞、今なら※個人の感想です※というテロップがついたことだろうね!)で、刀身の幅はロングソードと大差なく、しかも徹底的に鍛え上げられた玉鋼は鋳造された西洋剣より重く丈夫である。一時は幅広のブロードソードを「段平(≒日本刀)」と呼ぶのが流行したこともあったというが、それも別に不思議なことではない。
 ただ太刀については、背中に背負うほど大きな両手持ちの刀は侍以外に使いこなせない(下手に切れ味がいいせいで抜き身のままでは扱えず、西洋流の剣術ではどうしても持てあます)らしい。薙刀も同じくで、ポールウェポンというよりは極端に柄の長い刀というべきものだから、勝手が違いすぎてしっくりこないのだろう。
 なお忍者については、長物は身体の動きを著しく妨げるので他に選択肢があるならなるべく使用を避けたい、ということのようだ。
No.69 銘入りの刀 / Master Katana / ?刀
No.70 銘入りの脇差 / Fine Wakizashi / ?刀
No.71 武士の差料(P) / Bushido Blade(P) / ?一対の刀

 侍発祥の地である扶桑ノ国においては、まともな刀といえばこのクラス以上のものを指す。特に魔法などは込められていないのに恐るべき切れ味で、西洋剣に喩えると+2相当の威力を誇る。
 西欧の常識では考えられないことで、日本刀のマイスターが心血注いで作った刀には魂が宿るとか実質的に魔法剣だとか様々な噂が飛び交っていたが、オード城塞の鍛冶職人である千午に言わせると「鍛刀のあらゆる工程で手を抜かず丁寧に作る、それ以外の秘訣はござりませぬ」らしい。
 恐るべき過剰品質、さすがメイドインジャパン。
No.72 五ツ胴の太刀 / Nodachi / ?刀
 東洋にはいろいろと奇妙な習慣があるという。それは作刀の過程においても同じらしい。名工の手による刀は完成後に箔付けをかねてまず試し切りを行うらしいが、その時に何を使うかと言えば罪人の遺体である。これを重ねて積み上げて腕に覚えのある剣士に遣わせ、一撃でどれだけバッサリ斬れたかを競うのだという。
 つまり、二ツ胴なら人体二つぶんを一撃で切り捨てたということ。三ツ胴なら人体三つぶん。そして五ツ胴は……いややっぱ東洋おかしいわこんなことしてたら執念やら怨念やら勝手に刀が吸い込んでいろいろ妖しい感じになるやろ絶対に! 下手したら魔法剣よりタチ悪いわ!
 由来はとにかく、強力なツーハンドウェポンには変わりない。そのまま使って村正が手に入るまで耐え凌ぐもよし。刀鍛冶の千午に頼んで打ち直してもらい、小太刀にして女性の侍に預けるか忍者に譲るもよし。込められた魔法のせいで融通のきかない西洋剣とはひと味違う、柔軟な運用が可能な逸品である。
No.73 巴御前 / Tomoe's Naginata / ?刀
 東洋の刀剣にしては珍しく、特定個人の名を冠した「ネームドウェポン」である。巴御前は武士の開祖のひとりとして記憶される女武者で、厳密に言えば彼女が愛用した薙刀の“写し”なのだとか。
 装備すると力とHPが上方補正され、男性の侍と互角以上に戦えるようになる。最近の研究によると、戦国の世が長かった扶桑ノ国では女たちも兵として戦場に出るのが当たり前だったらしい。女性用の武器にもかなりの需要があったのだろう。
No.74 村正 / Muramasa Katana / ?刀
No.75 小太刀 / Kodachi / ?刀
No.76 村正と小太刀(P) / MURAMASA BLADE!(P) / ?東洋の武器

 これを手に入れんがために侍になった者も多いだろう。WIZARDRYを象徴するアイテムのひとつである。作中での設定説明は刀鍛冶の千午に譲るとして、ここではメタ的な説明をしておきたい……といっても、英名を見れば一部の者には一目瞭然か。
 ぶっちゃけるなら、刀鍛冶の千午も、この村正関連のアイテム群も、Bladeという言葉の解釈も、本家の歴代シリーズにおける村正の性能のブレを独自解釈によって矛盾無く纏めんがために考え出したもの。異論は様々あるだろうが、ここオード領においては「そうなっている」ということでどうかご理解頂きたい。
 なお、忍者にとって最強の武器は、専用に作られた〔忍具〕を除けばペアにする前の村正である。そうそう入手できるものではないが、BLADEとKatanaという二本の村正に襲いかかられる敵には憐憫の情を禁じ得ない。
 最後になるが、〔村正〕および〔村正と小太刀(P)〕が持つスペシャルパワー使用時の破損率は50%となる。1/2の確率で村正が消えてなくなるようなものを使用したがるものはいないだろうが、逆に言えばこの武器に込められている魔法の力はせいぜいその程度で、いわば〔膂力の石〕に毛が生えた程度というわけだ。どうやったらあんな威力が叩き出せるんだよ謎すぎる。


◆ポールアーム

No.80 ホーリーバッシャー / Holy Basher / ?竿状の武器
 槍やグレイブやハルバードはいいとして、こいつは一体何なんだ? と思った方も多いのではないだろうか。ぶっちゃけ私にもよくわかりません。本家#5で初出のころからずっと謎。誰かご存じなら教えて下さい。
 少なくともオード領とその周辺においては、2~3mほどの長柄の先にフレイルの穂先を結びつけた武器のことを指す。僧侶でも扱えるよう聖水をふりかけて清めてあり、それなりに使い勝手がよく愛用者も多いとか。
 ただこれ、見た目はもう脱穀用の唐棹そのものなのだ。おかげで昨今はオード領の僧の間で「脱穀してくる(≒ダンジョンに潜る、戦う、等の意味)」がスラングとして通じるようになっているらしい。Oh,my God. 
No.81 十文字槍 / Cross-Shaped Spear / ?竿状の武器
 この槍を持って「我は宝蔵院胤舜! 天下無双である!」と叫ぶと鬼のように強くなったり……はしない。もちろん僧侶は装備不可。ていうかこの槍を使った時の胤舜、なんだかんだ武蔵に負けちゃったんだよね。
 あ、連載再開とシリーズ完結、僕は今でも待ってます。
No.82 ファウストハルバード / Faust Halberd / ?竿状の武器
 ファウストは伝説上の人物で、悪魔メフィストフェレスと契約し後に地獄へ落ちたとされる。やがて彼の名前は一種の成句として通用するに至り、すなわち「野心的な人物が力を得て、一定期間の成功のために倫理的な無欠さを手放す」ことを意味するようになったそうだ。from:Wikipedia
 では、この武器が「ファウスト的」かというとそうでもなく、性能を見る限りでは純粋に対悪魔特効持ちのミドルレンジウェポンである。装備中は一時的に信仰心が下がるものの、もともと信仰心の高いドワーフの戦士たちには大して影響はない。人間にとっても(この武器が入手できる頃には)この程度の信仰心へのマイナス補正は無視できるだろう。
No.83 メナードのランス / Maenad's Lance / ?聖なる槍
 きわめて強力な女性専用武器。最大ダメージはさほどでもないが、敵の心臓を射貫く魔属性のクリティカル攻撃をミドルレンジまで繰り出せるのはこの武器だけだ。また、このランスが真に持ち主と認めた者であれば、仮に投擲しても即座に手元へ引き戻すことが可能だとか。
 麻痺と石化に対する耐性を付与する能力も相まって、このランスを携えて敵陣へ飛び込む女戦士は戦女神もかくやの大活躍を見せることだろう。その姿はまさに「メナード≒熱狂」の名に相応しい。
 ただ、この武器の起源については謎が多い。当初は北部の伝承にある女戦士バルキリーに由来する武器だと思われていたが、先述のとおりメナードは南部の異教に登場する女神の名だ。しかも「ランス」は馬上で使う武器の名称。地上の戦いで用いる武器に付することは通常ありえない。
 この世界で作られた武器ではない(メナードもランスも我々の知る言葉とは意味が違う)という説のほか、正体不明の異教の武器をイメージ優先で名付けたものが定着してしまったという説もある。しかしどれも決定打に欠け、定説と呼べるほどには膾炙していない。
 だがそれでも、メナードのランスは確かに存在する。「女性にしか扱えない武器」という神秘性も相まって人気も高く、この武器を愛用する女戦士は増えこそすれ減ることはないのだろう。


◆弓矢

No.84 短弓と矢 / Short Bow + Arrows / ?弓矢
No.85 長弓と矢 / Long Bow + Arrows / ?弓矢
No.86 クロスボウ / Crossbow + Arrows / ?奇妙な武器
No.87 強力な弓矢 / Comp Bow + Arrows / ?弓矢

 東西を問わず戦場における主武器は弓矢だ。発明されて間もないクロスボウも近年は攻城戦で威力を発揮し、急速に普及しつつあるという。
 ただ、ダンジョンダイバーにとってはまったく使えないゴミである。
 弓矢の利点は一にも二にも射程にある。ものによっては両手剣で思い切り殴るのと同等のダメージを数十メートル先の標的に与えることすら可能だが、狭く暗く見通しの悪いダンジョンの戦闘は「いきなり超接近戦」がデフォなのだ。前衛にいるなら矢に手を伸ばし弓をつがえる時間すら致命的な隙になりかねないし、後衛に下がって使うとしても、戦闘中で混戦状態の味方の背中に当てないよう矢を射るのは至難の業である。
 交易所の在庫は豊富だが、まさかこんなに売れないとは想定外だったようだ。大量の在庫がバックヤードで腐りつつあるという。南無。
No.88 盗賊の弓 / Thieves Bow + Arrows / ?弓矢
 魔法で強化した小型弓をベースにオード軍が改修を施したもの。発案者は参謀だった頃の魔人エイドゥである。斥候を務める配下の盗賊たちを見て、弓矢のバランサーやグリップの一部に〔盗賊の七つ道具〕を簡素化したものを組み込むアイデアを思いついたとか。おかげで部下たちは〔七つ道具〕を常時持ち歩かず済み、代わりに魔法の指輪などが装備可能になったという。
 かなり便利な品ではあるが、残念ながら現在はオード軍に余剰の在庫がなく、欲しければ〔混沌の魔窟〕で入手するしかない。
 ただ、エイドゥに恭順した者から奪い取ったものはともかく、なぜか魔獣の類からも手に入る。魔人の配下のうち相当数がモンスターにやられていて、戦利品として持ち去られたものなのだろう。不憫というか何と言うか。
No.89 魔法使いの弓 / Mages Yew Bow / ?弓矢
 魔法の杖に最適なイチイの木(Yew)を使って作られた、魔法使い専用の弓。矢はない。弓弦も張られていない。しかし間違いなく弓矢である。
 魔法使いがこの弓を持つと、魔法使い本人の魔力を用いて作られたかりそめの弦と矢が形成され、それを使って敵を射ることになる。攻撃は魔属性となるがMPは消耗しない。優秀なコンデンサーが埋め込まれていて持ち主から常時少しずつ魔力を吸収、プールしていると思われるが、旧帝国期の品であるため完全には解明されていない。
 SPを開放するとプールした魔力が持ち主に戻り、呪文数と同じだけのMPが即座に回復するが、もともとのMPが呪文数より多い場合はかえって消耗してしまうので注意が必要。万一のための保険と考えよう。
No.90 森の精霊の弓 / Sylvan Bow + Arrows / ?弓矢
 エルフ氏族の森がオード領に組み込まれた際、ミスリル製の貴重な品々や魔法の武器防具が軍に接収されたが、大半が魔人エイドゥの騒動のどさくさで失われてしまった。これもそのうちのひとつと目されている。
 弓矢の中では最強格の逸品で、その名の示すとおりエルフにしか扱えない。獣人系、動物系、幻獣系など、森の平和を及ぼす脅威に対しダメージ倍化の加護があるうえ、戒律で縛られた僧侶とビショップ以外すべての職業で使用できる。相当なハイスペックである。
 もっとも、迷宮では弓矢が真価を発揮できないのは先に述べた通り。襲いかかる敵の種類も悪魔、竜、巨人や精霊など多岐にわたる。残念ながら主力武器にはなりえないだろう。


◆その他

No.91 ヌンチャク / Nunchaku / ?奇妙な武器
 なぜか忍者の武器だと誤解されがちなヌンチャクだが、実際には琉球という扶桑ノ国の一地方(あるいは同盟国)に固有の武器で、それが西方に広まったのは扶桑ノ国とも琉球とも忍者とも関係がなく、なんと〔小龍〕の名を持つ旅芸人の一座の格闘家であったという。
 オード領ではまず僧侶が日頃の鍛錬のために使い始めた(刃物ではないから)とされ、続いて忍者が興味を持ち習得、さらにはなぜか戦士たちも扱うようになったとか。半世紀ほど前には驚くような大流行を見せ、なんと子供ですら小龍を真似てヌンチャクのおもちゃを振り回していたらしい。
「小龍なら1ターン20回攻撃は当たり前、30回でクリティカルもいける」
 そんな噂すら囁かれていたとか。小龍とは一体何者なのか……?
No.92 忍者刀 / Katana of Ninja / ?刀
No.93 苦無 / Ninja's Dagger / ?短刀
No.94 手裏剣 / Shurikens / ?星型の物体

 言わずと知れた忍者専用の武器。しかし個々の性能は決して高くはない。忍者に言わせれば「これで充分」らしいのだが。
 一般には知られていないが、これらの武器は単体で使うものではなく、忍者の間で伝えられる〔秘伝〕を用いて初めて意味が生じるのだとか。
No.102 手裏剣と忍具(P) / Ninja Weapons(P) / ?東洋の武器
 〔秘伝〕を用いて作られた忍者専用の武器をこう呼称するらしいが、その詳細は不明。そもそも秘伝とは何なのか、一体誰が作るのか、威力は、効果は。何一つ明らかになっていないのである。
 ただ、オード領はかつて扶桑ノ国と国交があったこと、その縁で密かにニンジャ・クランが結成されたこと、そして、クランを統べるマスターが存在すること……などは確からしい。それ以上のことは、忍者となった者が自ら解明するしかないのだろう。
 あと、これは忍者たちに命を狙われかねない超極秘情報だが、スペシャルパワー使用時の破損率は50%らしい。


◆呪われた武器

No.106 暗黒の刃 / Black Blade / ?剣
 〔切り裂きの剣〕や〔真っ二つの剣〕に込められた魔法が変質し、持ち主に災いをもたらすようになったもの。刃が若干黒ずんで見えるが素人目には区別がつかない。使い始めた当初はそれなりにいい剣だと思えるが、防御のための体捌きをいちいち邪魔するため隙だらけになり、受けるダメージが倍増する。
No.107 ルーンブレイド / Rune Blade / ?剣
 刀身に魔法の文字「ルーン」が刻まれた魔法剣。魔の属性武器で剣としての性能はなかなかのものだが、他者の悪意と敵意を引き寄せる呪いがかけられており、敵との遭遇率がグンと跳ね上がる。性能面を鑑みると、炎・氷・雷の魔法属性武器の系譜であった可能性も考えられる。もしや本当は属性武器四兄弟になるはずで、これはそのうちの失敗作なのかも。
No.108 吸血の剣 / Blood Sword / ?剣
 鈍く輝く赤黒い不気味な刀身を持つ両刃の西洋剣。切りつけた相手の生命力を吸い取って自分のものにする強力な魔法が込められている。善と中立の者は触ろうともしないが、悪の戒律にある者の一部はあえて装備し、この剣を愛用する者もいるという。
No.118 介錯刀 / Tachi of Criminal / ?刀
 「介錯」とは扶桑ノ国の言葉で斬首にほぼ等しい。刑場において無実の罪を着せられた者の首を落とし続けるうち、負の想念を帯びて呪いの刀になったという。威力は普通の太刀より高く、戦士系の相手に対し無類の強さを発揮するが、少しでも侍の矜持があるなら装備すべきではない。本来なら〔神主〕や〔巫女〕といった東洋の僧侶が解呪・供養すべきものである。
No.119 切腹の脇差 / Harakiri / ?刀
 扶桑ノ国には奇妙な慣習がさまざまあるが、その中でも有名なのが切腹(ハラキリ)だろう。戦場で追い詰められた侍大将が無念を噛みしめながら愛刀で自らの腹を切り、その際に強力な呪いを帯びてしまったようだ。持っているだけでみるみる生命力を奪っていくので、なるべく早く手放すべき。
No.120 抜け忍の手裏剣 / Shurikens of Immoral / ?星型の物体
 不確定名に騙されて識別せずに装備すると大変な目に遭う典型例。武器としての価値はないに等しいが、手裏剣のような消耗品にどうしてこんな強い呪いがかかっているのか。忍者でなければ想像もつかないだろうが、「抜け忍」とはそれほど過酷なものなのだ。
No.122 惨劇の斧 / Axe of Tragedy / ?斧
 湖のほとりにあるコテージに仮面をつけた巨漢の男があらわれて、次から次に宿泊客を惨殺して回った凄惨な事件があったという。これはその時に用いられた斧で、本来は戦斧ではなく薪割りや樹木の伐採に使うものらしい。
 呪いのアイテムは悪魔召喚におあつらえ向きなので、宝箱にこれが利用されていること自体はわからなくもないのだが、同じような斧が何本も出てくるのがどうにも解せない。まさか凄惨な連続殺人が何度も何度も、しかも同じ者の手で繰り返し起こされたとでも言うのだろうか……?
No.123 穢れた斧 / Unholy Axe / ?斧
 傷つき病んだ人々を救うのが僧侶の仕事だが、時には救えないこともある。あるドワーフは家族を目の前で喪った哀しみで正常な判断ができなくなった。すべては治療にあたった僧侶のせいだと逆恨みし、原形を留めなくなるまで僧侶に向かって斧を叩きつけ続けたという。
 この事件に用いられた戦斧は溶鉱炉に投げ入れられて処分されたが、悪いことに溶鉱炉の中にあった鉄すべてに呪いが伝播。後に作られた百本以上の斧すべてが「穢れ」をまとってしまった。僧侶系に大ダメージを与える特効持ちだが、謂れを知っていればとうてい使う気にはなれないだろう。
No.124 死神の大鎌 / Death's Scythe / ?斧
 不確定名は斧となっているがどうみても鎌である。小麦を刈るときに使う農業用の大鎌がベースに違いなく、武器として作られたものではないのだろうが、なぜかヒューマノイドタイプの敵に対しことごとくクリティカル特効を示す。まさか本当に死神の落とし物だとでも言うのだろうか……。
No.132 悪魔の弓 / Demon's Bow / ?弓矢
 悪魔が「契約」のためにこの世にもたらしたとされる弓。弓矢としてはトップクラスの威力を誇るうえ、魅力的な彫刻や可愛らしい花の飾りが添えられていることもある。いささか威力が安定しないという欠点はあるが、呪われてでも使いたいと思う者は少なからずいることだろう。
 ただし、その代償として獲得経験点20%を悪魔に常時捧げ続ける価値はない。最終的には魂をまるごと捧げるハメになる。くれぐれも目先の利益に騙されてヤツらと「契約」することのないように。
No.133 妖刀村正 / Cursed Muramasa / ?刀
 恐るべき切れ味。凄まじい破壊力。神も悪魔も一刀のもとに切り捨てる。これぞ村正、これぞ妖刀。そして我が生涯最高の刀……と思ってしまう侍がいつの世にも必ずいるから困る。おまえら強けりゃなんでもええんかと。少しは落ち着けと。正気を失って鬼になってもいいことないぞと。
「装備しても大丈夫っしょ、SPが村正と同じだし使えば壊れるんでしょ?」
 などと思っているなら甘すぎる。妖刀村正のSP使用時の破損率は驚きの0%である。逆に言えば、これを装備した時点で所有者は命尽きるその時まで攻撃力の低下から逃れられるということ。しかしそうなったとき、所有者ははたして妖刀を「振っている」のだろうか。否、妖刀に「振らされている」のではないのだろうか……?
 そんな危うさまでこの刀の魅力に感じてしまうというなら、装備することを止めたりはしない。妖刀が妖刀たりえるのは圧倒的な威力があってこそ。そして人は、ときに己の心も命も捨てて、ただ力のみを求めてしまうことがあるものだ。欲でもなく、執着でもなく、ましてや邪心など一片もなく。
 そうして侍は「羅刹」になるのだろう。避けられぬ運命に押し潰されて。

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