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迷宮攻略1:オード軍の試練場

 数年前、オード軍は魔人エイドゥ率いる闇の軍勢と交戦。ひとまず勝利をおさめ魔人を領外へ追放しましたが、そのために多大な犠牲を払うことになりました。
 敵の主力は魔法で召喚された魔獣であったといわれますが、元は軍の参謀だった魔人エイドゥに恭順し道を誤った者も多数いたそうです。特に、騎士、侍、忍者、高僧や宮廷魔導師などの実力者がことごとく悪魔や淫魔によって籠絡。魔人に取り込まれてしまったのだとか。
 具体的な被害の度合いは公にされていませんが、オード軍の疲弊が甚だしいのは確かなようです。噂によると、現在まともに機能しているのは国境警備隊のみ。近衛隊に至ってはほぼ壊滅状態だとか。

 オード軍の目下の課題は二つ。
 近衛隊を中心とする兵員の補充と軍の再建。そして、魔人エイドゥが潜伏しているとされる〔混沌の魔窟〕を調査・攻略し、今度こそ討伐すること。

 その両方を同時に解決すべく設置されたのが、この国営試練場です。

 ここは、かつてトレボー城塞に存在していた〔狂王の試練場〕を参考に作り上げられました。
 国内外から腕におぼえのある者を集め、鍛錬の場を提供。資格ありと認めたものを正規軍の兵と同等に扱い、そこからさらに傑出した者を近衛隊に取り立てる……。今のオード軍が必要としているものは、狂王トレボーが血眼になって追い求めていたものと、奇しくも一致していたのです。
 ここにはダンジョンマスターである大魔導師はおらず、大迷宮を支える膨大な魔力を供給していた魔除けもありませんが、賢者たちが知恵を絞ってその代替となる機関を建造、最深部に設置しているのだとか。
 国営の迷宮なので、それほど剣呑な罠や凶暴な魔獣は配置されておりません。軽挙妄動を慎み充分な準備をすれば、誰もが迷宮探索の基礎を学び、順調に経験を重ね、ステップアップしていけるようになっています。

 とはいえこの試練場、誰もが生き残れる保証まではしていません。

 才能と適性が無かった、実力に乏しかった。敗者にはそういう烙印が押されるのみ。遺体もわざわざ回収されず、迷宮の闇に放置されます。運が悪ければ練習相手として召喚された魔獣たちのエサになってしまう……。
 オード軍が求めているのは、命がけで功を上げる覚悟をし、結果を出した者のみ。近衛隊への道は決して平坦なものではないと肝に銘じてください。

試練場B1

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 西半分と東半分でまったく役割の違うフロアです。

 西半分は、ルーキーのための練習場。出現するのはオーク、コボルドといった低級の邪鬼や、バブリースライムのような最下級のモンスター、大した力を持たない悪霊・ポルターガイスト。まれに登場するクリーピングコインは対して強くもないのにイキってブレスを吐きまくり仲間を呼びまくりますが、獲得EXPがたいへんおいしいので経験値稼ぎにうってつけです。
 さらに、危うく死にかけても、このフロアにはランダムエンカウントの敵が出現しないので安全に城まで帰ることができます。
 注意すべきなのは、ここへ勝手に棲み着いた野盗の類だけでしょう。冒険者のフリをして迷宮に侵入し、まだ未熟な冒険者を狩って金銭や装備品を奪おうとする不届きな輩です。もしヤツらに遭遇したら一片の慈悲もなく返り討ちにして構いませんが、徒党を組んで襲ってくるため実力が伴わないうちは敗北することもありえます。充分に注意してください。
 なお、北西部にターンテーブルが密集しているフロアを踏破するのはかなり面倒ですが、ここには駆け出し冒険者に稽古をつけてくれる有り難い師匠(マスター)がいて、しかも、彼のところへ通じる道は一度把握したら二度と間違えないくらい簡単にできています。
 お供え物が途切れたことのない整った祭壇を見つけたら、まずはマスターに祈りを捧げてみましょう。

 東半分は「正規兵と同じ待遇を与えてもよい」と認定されたパーティのための〔刀剣工廠〕です。B2をクリアして手に入れた〔正規兵の認識票〕を提示すると、フロア中央の扉を行き来できるようになります。
 工廠には腕利きの鍛冶師が多数勤めているので、長く冒険者たちの助けとなることでしょう。特に侍にとっては、東の果てにある扶桑ノ国から渡ってきた腕利きの刀剣鍛冶師〔千午〕の存在が戦力向上のための決定打となります。彼が語ることにはよくよく耳を傾け、出来る限り仲良くなっておくことをオススメします。
 ただ、ここの通行許可証である認識票は、いわゆるドッグタグのような無骨な見た目がいまいち不人気のもよう。これを誇りとする真面目な兵は大勢いますが、冒険者あがりの近衛兵候補にとっては「ほかのマジックアイテムを装備するとき邪魔にしかならん」という不満ばかりが募りがち。刀剣工廠の鍛冶師たちはわりとすぐに顔を覚えてくれますから、マスターレベルに達したパーティは認識票を使わず転移呪文で出入りするのが常だそうな。
 そのおかげで、西半分で修練を積む初心者と歴戦の勇士たちはほとんど顔を合わせることがなく、試練場の入り口が混雑することは滅多にありません。そこまで計算して迷宮を設計したなら、オードの賢者たちも大したものですね。

試練場B2

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 冒険者たちの最初の関門になるフロアです。
 毒や麻痺など状態異常をもたらす敵が多数いるため、解毒や治療の呪文を習得する前に攻略を挑むのは避けた方が無難でしょう。城塞都市の公営交易所でも解毒薬は売っていますが、駆け出し冒険者の懐事情を考えるとオススメはできません。充分にパーティを育成してから臨んでください。

 このフロアをほぼ踏破すると、オード軍が冒険者らのやる気と才覚を認めて正規軍の兵と同じ待遇をしてくれます。具体的には〔正規兵の認識票〕というIDタグが支給されて、B1東半分の刀剣工廠へ自由に出入りできるようになるのです。
 さらには、疲れを癒す魔法の温泉の特別な利用許可に加え、+1相当のマジックアイテムまで貸与してくれるという大盤振る舞いをしてくれます。
 貸与されるアイテムの種類は宝箱を仕込む担当者の気分次第ですが、中身を確認しても受け取らずにシレッと元通りにしておけばじきに中身が入れ替わるため、ここで宝箱リセマラ……もとい、担当者との交渉を繰り返して、少しでもいい武器防具の貸与を受けることが冒険者間の常識となっているようです。

試練場B3

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 このB3は攻略の必要がないフロアです。
 正規兵の認識票をゲットして刀剣工廠を開放したら、工廠長のオフィス裏にあるエレベーターを使ってB5まで一気に下りるのがセオリーになっています。
 なので、ここB3の推奨攻略レベルは11以上。最低でも低レベルのザコを一掃できる窒息の呪文は憶えておきたいところです。

 なぜそんなことになっているのか。

 メタ的でない説明については、門番を務めるオード兵が一通り話してくれます。この階ではなぜかゴブリンが大量発生し、もともと管理の任についていた正規兵らを駆逐して占拠してしまったのだと。完全にアウト・オブ・コントロールとなっており、フロアごと閉鎖するしかなかったのです。
 下手をするとゴブリンたちがエレベーターを使って地上へ押し寄せ、刀剣工廠も城下町も危なくなるところでしたが、ミゼル小隊の活躍によって最悪の事態は回避されました。が、この勇敢なミゼル小隊のメンバーが最終的にどうなったのかは軍も把握していません。このフロアに足を踏み入れるなら、ゴブリンの群れを蹴散らしながら異常繁殖の原因を突き止め、解決し、ミゼル小隊の消息を追うことになるでしょう。
 実は刀剣工廠にはミゼル小隊の身内が勤務しており、今も日夜無事を祈り続けているそうです。私的なことなので自分から説明はしてくれませんが、もし小隊の消息がわかったら、ぜひその人に伝えてあげてください。

 そして、メタ的に言うなら。
「ここは狂王トレボーの試練場をモチーフに作られてる」
 と、最初に提示した通りなのです。
 エレベーターがあったらとにかく一番下まで直行、それが常に最適解。エレベーター最上階と最下階の間にあるフロアは攻略と関係ないお遊び階なので、充分に強くなってから戻ってきましょうねと。そういう構成です。
 ただ、これまでこのシナリオをプレイした人の大半は、なぜか上から順々に攻略していったようなのです。有形無形で設置したヒントが伝わらなかったのか、それとも、ダンジョンとは上層階から順番に攻略するものだという固定観念に縛られているのか……あるいは、マップに未踏破地点を残したまま先に進むことは許されないというダンジョンダイバーの誇りがそうさせたのか。
 残念ながら制作者には知り得ないことですが、ある程度装備がそろってレベルが上がってからだと割とサクサクいけるはずなので、かつて匙を投げた人もいったんB5へ下りてじゅうぶんにレベルを上げてから再挑戦してみて下さい。

試練場B4

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 このB4も、B3と同様に無視して構いません。最初に警告文があるとおりフロアまるごと転移呪文も座標呪文も使用禁止なので、オートマッピングに慣れきった人には攻略不能の可能性もあります。

 ただこのフロア、固有種のモンスターがけっこう存在しているのですよね。モンスターリストの完全制覇を目論むなら避けて通れない。
 そして、のちのち再登場することになるとあるNPCが最初に登場するのもこのフロアなのニャ。できれば勇気を出して挑戦していただきたい。

 とはいえこのフロア、方眼紙でマッピングするのが当たり前だった生粋のウィズフリークにとってはさほど難しくもないんですよね。閉じ込められるスリルと、攻略法を自力で解き明かす手応え。その双方を久々に感じてもらえること請け合いです。
 それに、一応攻略のヒントも置いてあるので、そこに運良く辿り着けばマッピングしなくても空でマップ構造を覚えて脱出可能な親切設計だニャ。安心していいニャ。

試練場B5

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 最初の称号を獲得し、オード軍近衛隊の一員になるための最終試験がこのフロアの中央で行われます。推奨レベルは11以上。確実に試験を突破したければ、パーティ全員を13レベル(マスターレベル)まで育成すれば大丈夫なはずです。
 まだ試験に挑むには早いという場合は、フロア外周に配置された玄室をぐるぐるぐるぐる回り続けてひたすら戦い続けるのがオススメです。一周回ってエレベーターのフロアまで戻ってくると、ひとつ上に行くか迷宮内でゲームを中断するかして、またこのフロアに戻ってくれば、玄室内のモンスターがすべて復活しています。
 そこで出てくるモンスターを楽に蹴散らせるようになれば、最終試験で躓くようなことはまず考えられません。

 狙い目は、魔法のアイテムが詰まった宝箱を持っている可能性が高い幻獣や魔法生物たちです。すなわち「ガスドラゴン」「メデューサリザード」「ブレードベア」「バジリスク」「コカトリス」そして、高い経験値を持つ「ウィルオーウィスプ」です。
 彼らを異世界あるいは秘境から召喚して一つの場所へ縛り付けておくには、宝箱――すなわち、旧帝国機に製造されたマジックアイテムが放つ恒常的魔力を利用した召喚装置――が必須となります。オード軍の魔術師や賢者たちが国の宝物庫からアイテムを持ち出し、冒険者たちの訓練目的で宝箱として設置したものですから、もし使えそうなものをゲットした時はありがたくいただいておきましょう。運が良ければ+2相当の魔法の武具がゲットできるはず。それは命がけの戦闘訓練に参加し見事勝利したあなたに対する正当な報酬です。
 だったらモンスター関係なしに配給してくれよ
と言いたくなることもあるでしょうが、すでに関連法は議会を通過して成立した後なのです。そういう制度になっているのだからもう仕方がない。

「そんなことやってて大丈夫なのかこの国……。マジックアイテム買う予算とかどっから出てんだよ、民衆から巻き上げた税金なんじゃねえの……?」

 などと思ったあなたは実に鋭い。
 ただ、その疑問はもうしばらく先までとっておきましょう。

 なお、このフロアには他にもヘビやら虫やらカエルやらヒポポタマスやらが出てきますが、ヤツらはくたばったモンスターの死骸目当てに湧いてきたウジみたいなものなので、苦労して斃したところでマジックアイテムなどは持っていません。
 楽に勝てるようになってきたら戦わずにとっとと逃げ出して、幻獣や魔法生物の類が出るまで粘ったほうが得策でしょう。それもまた冒険者の生きる知恵というものです。

そして戦いは本番へ…

 最終試験に合格した証を城に持ち帰ると、騎士の称号・経験点・お金そしてゴールドカード(公営交易所の販売価格が10%OFFになる)を得ることになります。どこの馬の骨とも知れない冒険者が、オード公直属の近衛兵になったのです。めでたい!
 そして、オード公から命じられる最初の任務は……言うまでもありませんね。いよいよ〔混沌の魔窟〕の調査と〔魔人エイドゥ〕の討伐です……!

 というわけで次回につづく!

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