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この坂道登れ:乃木坂46 9thバースデーライブ(三、四期生ライブ)

 乃木坂46の9thバースデーライブの一環として、三、四期生ライブがありました。
 全体ライブも、一、二期生ライブも見ましたが感想を書き損ねていたので、鉄は熱いうちに打てで、感想を書きます。

 四期生は、先輩達に比べてパフォーマンスが劣っている、と自ら度々発言していますが、言うほど劣っているとは思いません。このライブでも、立派にやれていました。
 しかし、三期生の方が余裕がある、という印象は受けました。これは二期生ライブと比べた時の一期生ライブでも感じたことです。堀の卒業ライブだった二期生と、自由に企画して楽しんでいた一期生との差だったかも知れません。

 熱い系のパフォーマンスなら、四期生もあまり変わらない気がしますが、柔らかさ、楽しさと言った面を強く出したい時は、三期生の方が余裕が生むしなやかさがあり、そこが差になっているように、私には感じられました。
 それでも、加入からの期間を考えれば四期生の成長スピードは素晴らしく、期待しかないですし、三期生には風格が備わって来て、大満足の両ライブとなりました。

・四期生ライブ

 『夜明けまで強がらなくても良い』はともかく、『逃げ水』、『バレッタ』は、各期がお披露目センターを務めた、いわば始まりの曲になります。それを経て『ぐるぐるカーテン』と歴史を遡る構成は、バースデーライブの一環としての四期生ライブ、ということを強く感じさせてくれました。

 唯一、一期生プロデュース?の、昔の企画掘り起こしコーナーは、微妙でした。
 終演後ツイッターを見たら、いつも誉め言葉しかツイートしないアカウントが、控えめながらも苦言を呈していたのが印象的でした。

 一番酷かったのは下駄ップで、盛り上がらないし意味不明だし魅力的でもないし、そりゃ封印されるよな、と思いました。
 齋藤飛鳥が二、三年前に、ライブの企画について、
「昔は色々よく分からない企画をやったけど、結局メンバーが考える形に落ち着きました」
 と苦笑しながら語っていたのを思い出します。
 ちなみに飛鳥がやらせていたUV手袋での『サイコキネシスの可能性』と、『世界で一番孤独なラバー』は、私は良かったと思っています。
 バラエティのお約束の体で、嫌がることを無理矢理やらされてオッサンだけが笑っている状況に対し、時折辟易した様子を見せる彼女だからこそ、ライブとして成り立つように厳選したのだろうと勝手に思っています。

 そんな残念な時間もあったものの、その後は『狼に口笛を』『日常』のようなアンダーの名曲を、加入よりずっと前の名曲『悲しみの忘れ方』『今、話したい誰かがいる』をやったりと、選曲の幅の広がりが四期生の成長を表しているように思いました。

 ユニットコーナーでは、私の大好きな『雲になればいい』をやってくれたのが嬉しかったです。ゆったりした曲調と穏やかな歌詞、生田、桜井、衛藤の歌うまトリオの絡みが最高な、私的には最高ランクの名曲です。
 最もハードルが高い生田パートを務めた柴田は、さすがにしんどそうな時もあったものの見事な歌いっぷりでしたし、弓木、林もしっかりと歌ってくれました。
 明るく笑顔で話すようになって魅力が増している柴田、バラエティ向けの強烈なキャラを持つ弓木と林が、これから存在感を増して行ければ、グループの歌にも確かな厚みが加わりますので、期待したいです。

 終盤に四期生曲で盛り上げていくのは、12月の四期生ライブと似た構成でした。
 16人で『4番目の光』を歌えて、本当に良かったです。
 そして新曲の『猫舌カモミールティー』、無垢さや底抜けの明るさを感じさせるこれまでの曲とは若干曲調が違い、オッサンの私にはこうしたちょっと渋い方が好みです。MVが楽しみです。
 センター田村は堅実な選択ながら、弓木、松尾と後発組の四期生をフロントに持って来たのは、英断だと思います。

 坂道研修生制度は、二期生の研究生制度の失敗を思い起こさせ、同じ轍は絶対に踏まないで欲しいと思っていました。そのため、16名の一体感も醸成されたであろうタイミングで抜擢を始めたのは、ベストタイミングだと思います。また四期で歌番組に出て、弓木がポンコツトークを炸裂させるのが楽しみです。

・三期生ライブ

 三期生ライブは、四期生とは全く逆に、最初に期別曲を一気に披露しました。
 この始まりの時点で、「三期生の曲」でなくても、「乃木坂46の曲」で終盤を盛り上げる自信があるんだ、と思って胸が熱くなりました。

 オッサンの私がほぼ確実に泣いてしまう曲『帰り道は遠回りしたくなる』。乃木坂工事中での初披露時、終盤のペアダンス?で西野のペアを務めたのは、卒業直前だった若月でした。曲披露で泣きそうになったのはこの時が初めてでした。
 あれから二年半、その二人と縁が深い与田と山下がペアで踊るのを見ることになるとは、感慨もひとしおです。

 過去の様々な衣装を来て歌うコーナー、最後を締めたのは『サヨナラの意味』でした。
 この曲は、伊藤純奈が2期生ライブでも披露していました。名を出すことすら憚るほどにリスペクトしている先輩(既に芸能界引退していることもあると思いますが)の卒業センター曲に対して、曲終わりに流した一筋の涙は、本当に感動的でした。
 今回、センターを務めた山下も、曲終わりに涙を流していました。純奈とはまた違う想いだったと思います。活動期間がほぼ重ならなかった山下に、直接的な思い入れがどれほどあるのかは正直よく分かりませんが、軽々な想いではなかったでしょう。

 衣装により過去を振り返るコーナーの最後に『サヨナラの意味』を持って来たのは、ちょっと意味深なものを感じます。衣装に象徴される歴史や思い出を捨てる必要は無いにしても、それに引きずられることなく新たな一歩を踏み出そうとしている。その中核を担うのは自分達なんだと、そう表現しているようにも思えました。
 嫌な言い方をすれば、「懐古オタクはサヨナラ」という風にもとれる気がします。

 このライブでは、ユニットコーナーです、というはっきりした色分けは希薄で、もともとユニット曲だった『言霊砲』や『平行線』があっただけで、基本12人で、というスタンスに見えました。これがまた、厚みを感じさせて良かったです。

そして、他の期の期別曲コーナー。久保のVTRを見た時点で察せられましたが、『アナスターシャ』をやってくれたのは、本当に、本当に嬉しかったです。
 私にとって『アナスターシャ』は、最高のMVと最高級の音楽であり、長く歌い継いで行くべきグループの財産です。そのため、二期生の披露のみに変に限定することなく、早い段階で三期生に機会を与えてくれたのは、曲を活かすための素晴らしい判断だったと思います。
 中村の安定の歌声もセンターに相応しいもので、見事なパフォーマンスでした。

 その後は、『インフルエンサー』『シンクロニシティ』『きっかけ』とグループを代表する曲を披露した上で、最後に全員が好きだと公言する『思い出ファースト』と来る流れは、貫禄と物語性、歴史を感じさせるもの。パフォーマンスも文句無しです。
 彼女達が、「三期生」であることよりも、「乃木坂46」であること、を強く示したライブでした。

 アンコールで披露された三期生の新曲は、反抗期の中学生みたいな歌詞で私の好みではないのですが、秋元康流の『うっせえわ』なのでしょうか。あまりにもステレオタイプ過ぎて、今の中高生に刺さるとは思えませんが。
ただこの曲では、フロントに中村が配されています。
 握手売上の序列を死守するかのような今までのフォーメーション決めから、少し変化が生まれているのか、よく分かりませんが、身長が伸びてスタイルの良さも際立って来たうえ、大人っぽくなったビジュアル、歌のうまさ、中村がフロントに立つのに何の不足もありません。固まってしまった序列に風穴を開けてくれることを期待します。

・最後に

 とまあ、長々と振り返りましたが、乃木坂46の今後は安泰、と思えるライブでした。
 もちろんそれは私がファンだからであって、実際に安泰になるかどうかは分かりません。ただ、メンバーはこれからもグループの歴史を繋いで行くために、やれることを全力でやってくれています。運営に関しても、詳細が見えないので断言は出来ないものの、出来ることをやってくれていると思います。
 これで駄目になったなら、それはそれで仕方ない。私はそう思って、これからもささやかながら、応援し続けます。

 メンバー、スタッフの皆さん、お疲れ様でした。

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