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乃木坂46 『Never say never』のこと

 乃木坂46 32枚目シングルのカップリング曲『Never say never』。野球関係で賑わう世間を狙うかのように、野球好きを集めたユニットです。
 
 メンバーは以下の5名。
 久保史緒里、向井葉月、金川紗耶、黒見明香、柴田柚菜

 私の推しの金川さんは、この中では野球との縁は一番薄いのは確かです。実際の縁は、昨年夏のきつねダンスから。しかしその後、プロスピAリーグのゲストの仕事もしていますし、熱心に野球の勉強をしています。
 彼女のことなので麻雀と同様に、あっという間に知識を得てくれることと思います。

・期待感

 それはさておき、金川さん、そして私の知る限りでは柴田さんも、解禁前からこの曲について、
「凄くいい曲!」
 と熱弁して、強く薦めてくれていました。当然私の期待も高まっていましたが、不安も感じていました。
 応援ソングと聞いてはいたものの、自分の好みに合うかどうかは分かりません。歌詞だけ読めば応援っぽくもある『Do my bestじゃ意味は無い』は、個人的には乃木坂の曲では数少ない、大嫌いな曲です。「結果出さなきゃ意味ない」という歌詞は、本当に最悪だと思います。

 その点『Never say never』では、そうした理不尽な押し付けは感じません。もちろん、「ド根性で耐え抜け!」的な要素は含まれていますし、「応援しろ」という押し付けだ!と感じる人もいるかも知れませんが、個人的には許容範囲内です。

・歌詞

 ラスト部分の歌詞は、金川さんを応援して来た日々を思い出し、目頭が熱くなりました。

君がどん底の時もずっと応援をして来てよかった
どんなに苦しくたって君なら這い上がると信じていた
Never say never 一億回
仲間は決して見捨てないよ
夢 挫折 希望 絶望 繰り返しながら 試合は続く

『Never say never』最後の一節

 私がモバメを取り始めたのが2021年2月。本格的にミーグリに参加し始めたのは、29枚目シングル期間からの2022年4月。浅過ぎると言われれば返す言葉もないですが、波乱万丈の時期であったため、どうしても重ねてしまいます。
 特に、たくさんあったであろうメンバーやスタッフの支えのことを思うと、「仲間は決して見捨てないよ」の言葉は、涙モノです。

 彼女の道のりについての記事も書きましたので、よろしければ。


・これまでの道のりへの賛辞として

 私はそのように金川さんを経た感情移入しましたが、ユニットの各メンバーを推しているファンで、熱くなった人は多いと思います。

 未だに選抜経験はない向井さんと黒見さん。正直、ここからの『逆転』の可能性が相当低いことぐらい、乃木坂ファンを数年続けていれば、容易に理解出来るはずです。それでも応援を続けるファンの気持ちはいかばかりか。
 金川さん推しの私ですが、選抜入りなど到底見えない段階であった時期も知っているので、ある程度想像は出来ます。

 4作連続選抜中の柴田さんとて、順風満帆だったわけではありません。お見立て会でセンターを務めたものの、その後のポジションは人気メンバーとは言えないものでした。雌伏の時の後、『乃木坂スター誕生』をきっかけに徐々に人気を伸ばして選抜を掴み取って行った日々を、思い出した方も多いことでしょう。

 ユニットメンバー中、人気という面では盤石な久保さんですが、重圧に苦しんで休業した時期がありました。歌や演技の実力はトップクラスでありながらも、だからこそ『縁の下の力持ち』的ポジションのまま終わるかも、と思っていたファンもいたのではないでしょうか。今回のWセンターは、大きな喜びだったことでしょう。

・メンバーの未来へのエールとして

 そうした過去に加え、彼女達自身の未来に関しても、この歌詞は当て嵌まります。

 選抜を目指す向井さんや黒見さんは、野球で言えば、かなりの点差をリードされている状態です。彼女達の内心までは私には分かりませんが、諦めと熱意の間で揺れ動いていたとしても、無理はありません。その状態でも笑顔であり続ける彼女達の努力と姿勢には、頭が下がります

 連続選抜となっている金川さんや柴田さんとて、五期生の台頭によって、その地位は盤石とは到底言えません。野球で言えば、逆転される可能性が十分にある、ということ。
 アンダーと選抜を行き来するのは大きな精神的ストレスになることは、北野さんや樋口さんが度々語って来たことです。選抜を維持出来たとしても、常に新規メンバーの人気を気にしながら、自己を高めて行かねばならない。楽な道ではありません。

 久保さんが選抜から外れることはもう無い(個別免除組のため)ですが、彼女にはグループの外で己とグループの存在感を高めて行く、という険しい道が待っています。金川さんや柴田さんのような『グループ内人気争い』という局面は終わり、スコアがリセットされた状態で試合を再開しているのが、久保さんです。むしろずっと大変な戦いであり、その過程で挫折を味わうことも、当然あるでしょう。

 何にせよ、彼女達の試合は、これからも続きます。乃木坂46である間はもちろん、その後の芸能界でも、あるいは芸能界に残らず一般社会に移ることになったとしても、試合は終わらないのです。

・応援の歌として

 それぞれの人生を歩むファンや世の人々に対しての応援の歌は、乃木坂46は何度も出してきました。
 私にとっては、
『シンクロニシティ』
『Sing Out!』
『僕は僕を好きになる』
 あたりが代表例です。 

 しかし彼女達自身に対しても『応援』として送られている、という面が特に強いのが、『Never say never』の特徴でないかと思います。

・メロディ構成

 とは言え、歌詞やメロディの力強さ自体は、これまでの乃木坂の曲とかけ離れてはいません。それ以上に特徴的なのは、メロディのバリエーション、 出て来るメロディのパターンが非常に多いことです。
 調性(コード)については私は全然分からないので、メロディの構成と書きました。

・表題曲との比較

 曲でよく言われるのは、Aメロ、Bメロ、サビ、などと分類されて、それらの組み合わせ、繰り返しで出来ています。そしてその構成は、比較的シンプルなことが多いです。
 表題曲である『人は夢を二度見る』について、私になりに構成を分類すると、以下のようになります。
 イントロや間奏を除くと、3種類。3色に分かれています。

『人は夢を二度見る』メロディ構成

 それに対して『Never say never』は、下のようになります。明らかに色が多いことが分かります。

『Never say never』メロディ構成

 Fメロまで、私は勝手に名付けました。これが正しいかは分かりませんし、中には共通に分類されるものもあるでしょう。しかし間違いなく、パターンは多いです。

・特徴

 他の特徴としては、イントロとアウトロが無いこと。
 そしてラストの、サビを引き継ぐ形でこれまで全く出てこなかったメロディが出て来て、音程無しのラップ?調の言葉を重ねた後で、一気に最後を言い切る(歌い切る)のが、独特の構成だと感じます。

 こうした構成は一つの実験だろうと思います。
 かねてから言われている通り、世間に広く知られるヒット曲を求めていることは、間違いありません。MVもないカップリング曲がバズるとは考え難いですが、何がきっかけになるか分からない以上、色々とやってみること自体はポジティブに捉えるべきことだと思います。

・まとめ

 私は『Actually…』(29枚目シングル)は曲として好きではなかったですが、ああした挑戦は、今後もやって行くべきだと思います。
 『Never say never』は所詮はカップリング曲であって、大冒険とは言えませんが、こうした挑戦は是非続けて欲しいです。
 秋元康には、引っかき回すしか能のないプロデュース面での冒険(現在は乃木坂の運営にはほぼ関わっていないと思いますが)よりも、楽曲面での冒険を期待したいです。

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