あらゆるオタクの声を代弁『まんが 浪費図鑑』


『まんが 浪費図鑑』(原作/劇団雌猫 まんが/朝陽 昇)

マンガ度 ★★★

リアリティ度 ★★★

オカネ・経済がわかる度 ★★★

メガネ度 ★★

【あらすじ】

ソーシャルゲーム、舞台、同人誌とあらゆる「沼」にはまって消費をする人たちの実態を描いたエッセイ「浪費図鑑」のコミカライズ版。これを読めば、「なぜあの人はあの分野にお金を使うのか」がわかります。

【オカネポイント】

最大のポイントは、浪費=愛として、浪費にまとわりつく罪悪感を取り除いたことです。エッセイで読むと、何かしらの沼を持っている人は「ああ、わかる」となりますが、没頭する分野がない人には、浪費というと無駄にように思えます。

しかしコミカライズされると、浪費をしているキャラクターたちのなんと幸せそうなことか。そうなんです、浪費は対象に愛を注いでいる過程であり、注いている本人はとても幸せなのです。親を含め周りの人に「こんなことにお金を使って・・・」といわれる人は、そっとこのマンガをその人の目のつくところに置いておくといいかもしれません。

もちろんオカネを出す以外にも、「感想を伝える」「周りに広める」など愛を示す方法はあります。オカネの多さだけが愛を図る基準ではありません。でも、オカネはいまのところ世界の多くの地域で交換ツールとして使えるもの。感謝の気持ちを示すのに、ほかの手段を踏まえつつも、やはりオカネは強力なのです。

私自身はいろいろな沼にいるのですが、この沼の中からみていると「別にはまっているものはないよ」という人も「いえいえ、あなたのそれは十分”沼”ですよ」といいたいことがあります。それは恋人だったりお連れ合いだったり、子供だったり自分だったり。女性で、自分の洋服や化粧品を買う人は、きっと自分が「推し」なのでしょう。子供やペットが「推し」になることもあります。夫婦でお互いを「押し」にできたら幸せですよね。

ではこうした浪費は個人のためなのかーーいいえ違います。立派に経済社会を支えています。某ソーシャルゲームへの課金は、ソニーという国内有数の企業の業績を支え、ファッションの推しはアパレルメーカーや百貨店、通販会社の収益になっているのです。舞台への課金は松竹などの業績に貢献しております。

まあ自分を破綻させない範囲で沼を大きく深くできればいいのではないでしょうか。

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