naoki(suiden)

*文化人類学研究室 ⇒ メーカー ⇒ コンサル ⇒HR⇒ITベンチャー *1991年…

naoki(suiden)

*文化人類学研究室 ⇒ メーカー ⇒ コンサル ⇒HR⇒ITベンチャー *1991年生 *好きなものはアルピーのラジオ

最近の記事

舌を慕って

記念日に、少し良いレストランに妻と行った。 一皿が出されるごとに、地図を使いながら発祥の地を解説してくれて、素材や調理法の美味しいポイントもしっかり伝えてくれる。 コース料理ならではだが、大きな皿に盛られた分量はちょこんとしていてつつましい。 事前の解説で期待が膨らんでいる分、あまりにも頼りない量に思える。 「何皿も出てくるのだからこのくらいの量が丁度いい」と分かってはいるのだが、一口食べた美味しさにどうしても思ってしまう。   もっと食べていたい。  この一口を食べ終わ

    • ひとにレキシコンあり

      朱鷺色(ときいろ)という色があることは、中学の美術の先生から教えてもらった。 水彩画の講義中に、その聞きなれない色名が出てきたのだ。 ”オレンジの中でも、もっとピンクに寄った淡い色のものを朱鷺色と呼ぶことがある。ちょうど〇〇が来ているシャツのここの色だ。「トキ」とは鳥の朱鷺のことで、その羽の色だな。” そう言いながら先生は私の席にやってきて、私が着ていたシャツの袖の部分を指さして見せた。トキという鳥の羽の色と言われても、当時は実物のトキの姿がそのものピンとこない。 ともか

      • 歩く会話~自動運転車いすに乗って感じたこと~

        先日、出張で羽田空港を訪れた。 昔から、空港にはとにかく早く着く派で、だいぶ時間に余裕をもって手荷物検査を終えた。 本でも読みながら搭乗を待つつもりでゲートに向かっていると、長い長い通路の途中、壁際にメカニカルな車いす的なものが4台ほど置かれているのを見つけた。 近づいているとWHILLという乗り物で、「着席して目的地を入力すると、自動運転で勝手にそこまで連れて行ってくれる」らしい。 脚が悪い方向けに用意してあるのかな?と最初は思ったものの、乗ってみた感想をハッシュタグ付

        • 二度寝的なシュールレアリスムとシェアオフィスとしての私

          ーーしばしばシーシャを吸うことがある。 ボコボコと泡立つ音がして綺麗な白い煙が上がってくる。 30分おきくらいに店員さんが来て、炭を変えてくれる。 シーシャのお店はだいたい薄暗くて、深く座れるソファが置いてある。 本を読んだり、何もしなかったりするのにシーシャに行くのがわりと好きだ。 良い香りの煙をゆっくり吸っていると、少しずつ頭がぼんやりする感覚がある。吸い過ぎるとクラっとする。 このクラっとくる感じは、要は酸欠ということらしい。 軽い酸欠になりつつ、ソファにどこ

        舌を慕って

          私の群れよりはなれて

          本で自己ハーディングという語に行き当たった。過去の自分が複数回とってきた行動・考え方が自分の中に固着し、「自分はこういう性格で、こういう動き方をする人間である」という自己認識に至ることを指す語らしい。 要は「習慣が性格や自己認知を作る」的な話か?と思いつつ、”ハーディング”という言葉の意味が気になって調べてみた。 ハーディングというのも心理の用語で、要は集団への同調現象のことだ。AとBのいずれが良さそうかを決める会議で、複数名がAを支持していると、あたかもそれだけでAが良さ

          私の群れよりはなれて

          LOVE IS BLIND JAPAN前半戦、なんでこんなに面白いのか

          妻ともどもnetflixの恋愛リアリティショー「LOVE IS BLIND JAPAN」にはまっている。 元々はアメリカの番組を日本に持ってきたもので、複数名の男女が番組の中でパートナーを見つけ、結婚していくまでの人間模様を描いていく。 構成は大きく前半と後半に分かれていて、前半の方にこの番組の特長がある。 男女は、お互いの顔が見えない状態で、一対一の会話を通してでしかお互いのことを知れないのだ。色々な参加者とそれぞれ、一対一の「会話だけのデート」を重ねていって、心が決まった

          LOVE IS BLIND JAPAN前半戦、なんでこんなに面白いのか

          grayish rainbowな多様性を語りだすということ(EUGENE STUDIO展 感想)

          清澄白河でやっていた寒川裕人(EUGENE STUDIO)の展示に会期ギリギリで滑り込んできた。会場の東京都現代美術館は、駅から徒歩15分という攻めた立地にあるけれど、その分広くてどでかい。徒歩15分の"参道"も、古本屋や昔懐かしなお土産屋が立ち並ぶ雰囲気の良い通りで、歩くしんどさよりも散歩の楽しみを感じさせてくれる。 (途中にあるベトナム料理ダイナーがめちゃくちゃ美味しそうだった) 展示物はどれも目に格好良く、色々な意味合いを感じさせてくれるもので、中でも「群像のポートレ

          grayish rainbowな多様性を語りだすということ(EUGENE STUDIO展 感想)

          聞き書きワークライフ~雑誌編集・アニメ宣伝P~

          世の中にある色々な仕事・職種の話を聞くのが好きです。 「営業は会社の顔!」とか「経営企画は社長の参謀!」とかの、印象的だが実際のところよくわからないフレーズでも語られがちな「職種」について、肌身で分かる話を人から聞いて、溜めていくのを細々としたライフワークにしたい。 今回は30代男性から、雑誌の編集とアニメの宣伝プロデューサーについてです。 ――まずは雑誌の編集から聞かせて下さい。どんな仕事なんですか? ■そのまま、雑誌の内容を作っていく仕事ですね。「連載」と「特集」がある

          聞き書きワークライフ~雑誌編集・アニメ宣伝P~

          聞き書きワークライフ~編集~

          世の中にある色々な仕事・職種の話を聞くのが好きです。 「営業は会社の顔!」とか「経営企画は社長の参謀!」とかの、印象的だが実際のところよくわからないフレーズでも語られがちな「職種」について、肌身で分かる話を人から聞いて、溜めていくのを細々としたライフワークにしたい。 今回は20代女性から、出版社2社での編集経験についてです。 ――すごく大掴みの質問ですけど、編集って何をする仕事なんですか? ■本を企画して、文章をもらって、仕上げていく人ですね。 文芸・学術・ビジネスなどのジ

          聞き書きワークライフ~編集~

          聞き書きワークライフ~経理~

          世の中にある色々な仕事・職種の話を聞くのが好きです。 「営業は会社の顔!」とか「経営企画は社長の参謀!」とかの、印象的だが実際のところよくわからないフレーズでも語られがちな「職種」について、肌身で分かる話を人から聞いて、溜めていくのを細々としたライフワークにしたい。 今回は20代女性から、大企業メーカー・ベンチャーそれぞれで経理をした話です。 ――歴史も古く、企業規模も大きなメーカーと、ベンチャー企業のそれぞれで経理を経験されてますね。経理としての働き方も違います? ■同じ

          聞き書きワークライフ~経理~

          聞き書きワークライフ~営業・営業企画~

          世の中にある色々な仕事・職種の話を聞くのが好きです。 「営業は会社の顔!」とか「経営企画は社長の参謀!」とかの、印象的だが実際のところよくわからないフレーズでも語られがちな「職種」について、肌身で分かる話を人から聞いて、溜めていくのを細々としたライフワークにしたい。 今回は30代男性から、広告営業とIT系の営業企画の体験談です ――web広告の営業の話から聞かせてください。アクセス数が多いサイトを自社で運営していて、そのサイトに掲載する広告枠を企業に売る仕事ですよね ■そう

          聞き書きワークライフ~営業・営業企画~

          仕事場がソンクローニ族の集落だとしたときにコーギは何か?~小川哲、『ゲームの王国』

          『ゲームの王国』という小説を読んだ。ポルポト政権下のカンボジアを舞台にしたSFで、ムイタックという天才少年が脳科学を駆使したゲームを作り上げていく話だ。 「書きたいものを楽しんで書いた」という筆者の言葉通り、輪ゴムと意思疎通ができる少年や、綱引きの神髄を究めた男など、変なキャラが色々出てきて楽しい。 そんな騒がしさを含みつつも、作中の一貫したテーマとして「ゲーム」と「ルール」が扱われている。 作中、教授のたとえ話としてモーリタニアのソンクローニ族という架空の民族が出てくる。

          仕事場がソンクローニ族の集落だとしたときにコーギは何か?~小川哲、『ゲームの王国』

          『裁判官も人である』、推論することの怖さ。理解の欲動と賦存効果

          GWが終わった。 人から譲ってもらったWiiUでやるゼルダが面白すぎた、というのが正直な過ごし方であった。プレステ2以降、10年近くゲームをやってこなかったので、たまたま最新のゲームをやってみたら「今ゲームってこんな綺麗なの!?」とカルチャーショックを受けた。 おかげでGWの色々な予定が、ゼルダに置き換わってしまった。が、外出自粛で暇を持て余しそうな気もしていたので、まあまあ良かったことにする。現実世界で外に出られない代わりに、ゲームの中で高原に出かけ、草刈りしてバッタを捕ま

          『裁判官も人である』、推論することの怖さ。理解の欲動と賦存効果

          マインドフルーツ

          遅く起きた休日。 天気が良いし暑くもないので、少し散歩するつもりで外に出る。 夕方あたりに腹が減りそうだから何か買っておこう、という気で近くのスーパーマーケットに向かう。 が、大きな店舗と、店先にこれでもかと並んだ色々な商品を見て、食べ物一つを買うのには大げさな気がして引き返す。 信号を渡った先のまいばすけっとに入り、ケースに入っている果物やパンや弁当を一つ一つ見ていく。 チキンカツはいらない。 おつまみっぽいものも違う。 リンゴが食べたいわけじゃない。 冷やし中華も近いけ

          マインドフルーツ

          仕事の狩人たち

          早川書房から出ている「新薬の狩人たち」という本が面白い。アスピリンのような薬の開発秘話を、短編形式で綴ったノンフィクションだ。 本書では、新薬の研究者たちを「ドラッグハンター」と呼ぶ。最初にその呼び方に触れたときは少し違和感だった。なぜなら「新薬開発」という言葉は、白衣のドクターと清潔なラボ、コンピューターによる計算と論文の山を連想させるからだ。なんとなく、アクティブで原始的な「ハンター」という呼び方とは距離があるように思う。 読み始めてすぐに考えは変わった。新薬開発の世界と

          仕事の狩人たち

          Positive peer-pressureとは?#0to1スタートアップのためのプログラムが面白そう過ぎた #あと、ミドルの孤独

          企画部署の孤独企画の仕事はそれなりに楽しい。定期的にマネージャーに進捗報告をし、レビューさえ受ければ、ある程度自由に仕事ができる。 でも、何だか最近テンションが続かない。悪い意味で仕事に慣れてしまったような気さえしている。なんなんだこの閉塞感は-- きっと「ミドル」とも呼ばれる企画部署の担当社員は孤独になりがちだ。 ①:企画メンバーは、2つか3つのプロジェクトにつき中核メンバーとしてアサインされている ②:中核メンバーがプロジェクト進捗に実質的な責任を持ち、ゴリゴリと進め

          Positive peer-pressureとは?#0to1スタートアップのためのプログラムが面白そう過ぎた #あと、ミドルの孤独