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現代におけるパンクとは~ヴィヴィアン・ウエストウッド 最強のエレガンスを観て

昨年12/28から公開の映画「ヴィヴィアン・ウエストウッド 最強のエレガンス」を観ました。セックス・ピストルズと共にパンクロックが勃興した1970年代から今日まで、そのまさに根底のカウンターカルチャーを軸に、今日まで第一線で尖り続けてきたデザイナー、ヴィヴィアン・ウエストウッド。その彼女へのインタビューを軸としたドキュメンタリー映画です。

映画を観て、現代におけるパンクの意味の変化、そして重要性について考えさせられました。

映画の途中で、ヴィヴィアン・ウエストウッドが1990年に英国のデザイナー・オブ・ザ・イヤーを受賞した際、TVの評論家に「持続性が無い。理念も無い。(だから一過性のものだろう。)」と非難される場面があります。しかし実はこれこそが、まさにパンクの真髄であり、またヴィヴィアン・ウエストウッドの凄まじさだと思います。セックス・ピストルズがアルバム1枚で消滅し、その直後にシド・ヴィシャスが短い人生を終えました。ここで時が止まったので彼らは伝説になり、今でもパンクは1970年代のイメージが強く残っています。一方で、ヴィヴィアン・ウエストウッドのメッセージとデザインは常に形を変えて、今日まで多くの人を虜にしてきました。初期はまさにセックス・ピストルズのヴォーカリスト、ジョン・ライドンの衣装に見られるような派手でDIYなイメージですが、今は中世ヨーロッパ衣装等にインスパイアされたエレガントさを纏っています。常に既存の規範、文化そして自分自身を否定し破壊しながら進化を続けてきたのです。そんな彼女の生き様、そして彼女の作り出すものは心底かっこいいと思います。

パンクは反社会的なものとして眉をひそめられがちですが、ヴィヴィアン・ウエストウッドの功績もあり、現代においてはかっこよく、エレガントで、そして高尚なアイコンになったと感じています。もうこれまでの反社会的イメージではなく、まさに変革・変化をもたらす原動力そのものです。常に変化を続けてきたヴィヴィアンのアイテムを身につければ、自分自身も変われるような気がします。例えば、ビジネスの経営が、先を見通すことの難易度が高さからアートだと言われるようになって久しくなりました。競争が激しく、常に時代の先を行くことを求められるファッション業界の中にあって、常に進化し、ブランドとして拡大を続けてきたヴィヴィアン・ウエストウッドからビジネスの上で学ぶことは多くあるでしょう。

これはかっこいい。これは何か違う。そういう違和感のようなものをうまく言葉にしたり、具体化できる人がこれからも求められ続けるのだろうと感じています。この今世界に漂う違和感を紐解いて次世代に導いてくれるかっこいいヒーロー、ヒロイン。そこにおいて、未だヴィヴィアン・ウエストウッドが第一線で活躍していることは感服であり、同時代に生きていられることに感謝をしています。

彼女の体現してきたパンクに多くの人が生かされ、次の時代を歩もうとしています。


追伸

映画の中のヴィヴィアン・ウエストウッド氏の格好が、当たり前ですが震えるほどかっこいいです。77歳という年齢を全く感じさせない矍鑠とした立ち振る舞いが本当に素敵です。



いつも読んでいただいて大変ありがとうございます。