こしょこしょ話

妻は仕事で出かけるため、朝からバタバタしている。
かまってちゃんの娘の相手をしている余裕はないようだ。
そんなとき、「ママ!ママ!ママー!」と泣き叫ぶ娘をつなぎとめるのが僕の役目。

今日は我が家ではあまり見せることのないテレビを餌に娘を釣ってみる。
「ねえねえ、ちょっと聞いて。ママがお仕事に行ったら、アンパンマン見よう。ママにはないしょだよ」
とこしょこしょ話。
アンパンマンを見ると聞いて娘は泣き止んだ。

「うん、ないしょ」
と娘もこしょこしょ話。

そうこうしているうちに、妻の用意は整ったようだ。
「じゃあ、ママお仕事行ってくるね」

「うん、ばばーい!」

いつもなら玄関まで名残惜しそうに見送るくせに、
この日は部屋の中で手を振るだけ。くるりと背を向けて

「パパ、アンパンマンみよ?」

こら!ママにないしょって言ったじゃーん。
目の前でなぜに秘密を公にするのだ。

見せるよ、見せるけどもさ。
ママが出かけてしまうことよりもアンパンマンなのか、娘よ。
子どもが父との秘密を守れるようになるのは一体何歳からなのでしょうか?
これではないしょで甘い物とか与えられません。

※この内容は2016/4/24に書いたものです。

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