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アンチ・ルッキズム論考

最近、これはおかしいよな、と思うことがあります。はい。ルッキズムです。日本に蔓延る最悪の文化です。
SNSを眺めていると色んなところで見かける、顔面採点大会。なんなんでしょうか。失礼すぎませんか。あなたたちはいつから、人の顔面を採点できる審査員になれたと勘違いし始めちゃったのでしょうか。


「鼻がもうちょい高ければなぁ、、、」「うーん、34点!」「絶対この人磨けば光る笑」「眉毛がちゃんとしてればな〜」「目はイケメン」「横顔ジャニーズ」「髪型ダサすぎだろ」「なんで髭剃らないの?」「デブすぎ、痩せろ」「整形しちゃったかあ、、」「絶対前の方が良かった!笑」「なんで短髪にしたの〜泣」


うるせえよ。
だれもお前らに採点してほしいなんて頼んでない。
褒め言葉を装ったコメントも、ただの悪口も、顔を見て欲しいわけじゃない動画に来る「かわいい」っていうコメントも、全部等しくきもい。

いつからおれたちの顔は、からだは、市場に並べられた商品かのように評価され、星がつけられ、他者の言葉で品定めされるようになってしまったのだろう。おれたちのからだは、おれたちに固有な、おれたち自身が持つ一個限りのものじゃなかったのか。おれたちの身体は、不可侵じゃなかったのか。身体の自由ってなんなんだよ。


でも、じゃあおまえは人の顔を評価した事がないのか?って訊かれたら、ちょっと答えに詰まってしまうのも事実。顔面採点大会にいつの間にか参加していたその事実に、おれは目を背けていただけなのだ。そうだ、誰もかもが、このふざけた大会に参加してしまう可能性を持ってしまっている。誰もかもが、こうした茶番を一方では批判し、一方では参加者になってしまっている。こうした残酷な現実の中で、おれらは板挟みになっているのだ。身動きの取れない、苦しい場所で。

その苦しい空間の中でも、どうにか息をし続けていくためには、まずは黙る事だ。絶対に加害者にはならないこと。思っても言葉に出さなければ、それは現実以前の段階に留まる。だから、アンチ・ルッキズムの第一歩として、おれたちは黙ることをまずは選択してみよう。ルッキズムを殺す第一歩として。世界を変える第一歩として。

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