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サルコペニア(筋力低下)で理想の人生を歩むことができなくなる

こんにちは。「高知。おまちRASHISA」編集長の小川です。

過去10年で1500名以上のジム入会希望者へカウンセリングを行ってきたその経験をふまえ、皆さんに活力あふれる体作りに必要な知識や方法をお伝えしていきたいと思う。

ところでみなさん、サルコペニアという言葉を聞いたことがある人はどれくらいいるだろうか。

おそらく1割に満たないと思う。サルコペニアは「筋力低下」という意味だ。最近、無理なダイエットで大幅に筋肉量を減らしてしまう人々がいる。

おそらく体重が減って大喜びしていることだろう。しかし、ご存知のとおり体重が減ったということは「脂肪と筋肉」が減るということだ。上手にダイエットができるひとは筋肉を減らさずに体重を落とすことができる。しかし、多くのひとは脂肪と一緒に「最も大事な筋肉量」も減らしてしまう。

私が1500人以上カウンセリングをして思ったのは、筋肉を減らすことに危機感を抱かないひとが多いということ。今回は「筋力低下=サルコペニア」がどんな事態を招くのかについて紹介したい。


筋力低下はひとがひとらしく生きていくために最も大事なもの


この記事を読んでいる皆さんがもし30代以下の方であれば日常生活での動作で苦労を感じたことがないと思う。

階段を上り下り、しゃがんで段ボールを持ち上げる、窓をしめる、朝布団から起き上がる。これらの動作は当たり前のようにしている人が多く、30代以下の方なら苦労した経験は少ないだろう。

しかし、筋力低下を放置していると、早い段階でこれら「あたりまえ」と思っている動作が普通に出来なくなる。

筋力低下の3つの原因
ご存知の方は多いとおもうがあえてここで筋力低下の原因をあげる。

1つ目は「不活動」だ。簡単にいうと日常生活で筋肉を使っていないということだ。車通勤で歩かない。スポーツや運動をしない。休みの日は家でゴロゴロ。こういう生活を送っていれば筋肉を使うことは少ない。使わない機能が衰えるのが人間の体の特徴だ。

2つ目は「老化」である。当然だが年をとれば筋肉は次第に衰えていく。だいたい年に1~1.5%の筋力が次第に衰えていくと言われている。いくら優秀なスポーツ選手であろうと30代過ぎから筋力の低下を感じるという。とくに瞬発系の筋力低下が顕著なのだ。

3つ目は「食事制限により起こる筋肉の分解(糖新生)」。極端に食事量を減らした結果、足りなくなったエネルギーを体内でつくるために筋肉を分解するというメカニズムが発生する。

この主な3つの原因により筋力は少しずつじわじわと衰えていく。そして、ある日突然なにげなく出来ていたことが出来なくなってしまう。そのときにはすでに相当筋力量が衰えている状況なのだ。


①筋力低下(サルコペニア)でおこる症状「転倒」

30歳以降、筋肉の密度が低下し筋肉脂肪が増えていく。同時に筋肉の面積も減っていく。この減少はとくに女性がおおい。また、使われない筋肉繊維に神経がかよわなくなる(脱神経)がおこると筋肉がさらに委縮してしまう。

この筋肉の減少および減少は瞬発的な筋肉(速筋繊維)の割合が多い。ちょっと難しくなるが、瞬発的な筋肉が衰えると「転倒を回避するための筋肉の動き」がおこなえなくなってしまうのだ。

まだ筋肉の衰えが始まったばかりの30代であれば、ちょっとした段差でつまづいてもバランスをたもって転倒をふせぐことができる。しかし、瞬発的な筋肉が衰えると、バランスをとれずそのまま転倒してしまう。

いつもならつまづいても転倒するまでには至らないケースでも、速筋繊維の衰えにより、転倒をふせぐことができなくなってしまうのだ。そして、おそろしいことに転倒による怪我には笑えないものもある。

転倒による怪我の例
大腿骨頸部骨折(だいたいこつけいぶこっせつ)
転倒による骨折でもっとも多い。場所は足の付け根のあたりだ。この部分を骨折すると手術が必要になり、症状によっては偽関節が必要になる。完治まで時間がかかることから、その間に更なる筋力低下と骨密度の低下がおこる。高齢者ばかりではなく若い女性にもおこる骨折だ。高齢者の場合はこの骨折が原因で寝たきりになる場合が多い。


②筋力低下(サルコペニア)でおこる症状「ひざの痛み」

年を重ねるごとにひざの痛みに悩むひとがおおくなります。とくに高齢者の方々のひざの痛みは大きな悩みのタネです。テレビのコマーシャルではコンドロイチンなどのサプリメントを連日紹介していますね。

ひざの痛みで日常生活に支障をきたす例
・階段の上り下り
・座っている状態からたちあがるとき(洋式トイレから立ち上がるとき、ベッドから立ち上がるとき)
・歩いていると次第に痛みだす(買い物や散歩などでも痛みだす)。
ひざの痛みというのは、本人にしかわからないものです。普段の生活において激しい痛みをともなうものですから深刻なものです。ひざの痛みが原因で運動不足になり、下半身の筋肉が大きくおとろえ、転倒などから介護が必要なケースもふえてきている。

ひざをサポートしているおもな筋肉は「大腿四頭筋群」である。

これら大腿四頭筋がおとろえることにより、日常生活のおけるひざへの負担がおおきくなる。知らないうちにひざへダメージが蓄積されてしまう。普段の生活で歩く時間がみじかい方などは注意が必要なのだ。


①筋力低下(サルコペニア)でおこる症状「腰痛」

さいきんでは若いひとでも腰痛でこまっている人がおおい。わたしもジムのカウンセリングをしていた頃、20~30代の女性で腰痛の方がおおかったことを覚えている。

腰痛は「筋力不足」だけが原因ではない。しかし、背骨を守っているのは紛れもなく「筋肉」なのだ。筋力不足により腰痛になるリスクは確実にある。

では背骨を守っている筋肉はおもにどんなものがあるのだろうか。

背骨をサポートするための筋肉はほかにもあるが、図で紹介したのは代表的な筋肉群である。よく腰痛をふせぐには腹筋や背筋を鍛えるとよいという話を聞いたことがあると思うが、実際にはさまざまな筋肉が連携して背骨をサポートしている。

したがって、筋力低下によりこれら背骨をサポートする筋力が低下すればさまざまな種類の腰痛になる可能性がふえてくるということになる。ひざ同様ひとが日常生活をおくるためにはとても重要な筋肉となる。

最長筋(さいちょうきん)・棘筋(きょくきん)、腸肋筋(ようろくきん)の筋力低下で起こる問題
・重いものを持ち上げられない。
・靴下がはきにくい
・体が前に曲がらない
・猫背になる
・朝起きる時背中が痛い
・背筋が真っすぐならない
・腰が曲がる


腸骨筋の筋力低下で起こる問題
・長く歩けない
・足が重い
・よくつまずく
・足が手前にこないので靴下がはきにくい
・脇腹に痛み感じる


以上のように低下する筋力の部位によっても症状はかわってくる。もしこれらの症状であてはまるものがあれば、筋力低下を自覚しなければならない。


さいごに:いつまでも活力あふれる体であるためには筋力が必要

筋力低下(サルコペニア)によって多くのひとが日常生活に支障をきたしている。さきほど取り上げた「ひざや腰」に痛みがでると普通にうごくことさえ制限されてしまう。

ひざや腰に痛みをかかえることで満足なうごきが出来ないということになると、肥満のリスクも増え、されに体重増加によるひざや腰への負担が増すという悪循環にもつながる。

そして、さらに恐ろしいのは「骨粗鬆症」だ。日常生活であまり動かなくなると骨の密度が低下し、骨折しやすくなってしまうのだ。筋力低下により転倒し、骨折ともなると、また長期間動けなくなってしまう。高齢者のばあい「寝たきり」になってしまい、介護が必要なケースとなってしまう。

普段からからだを動かす機会のないかたは要注意だ。筋力量低下は年齢と運動不足がさいだいの原因。そして、筋力量は貯金と一緒。貯金をしなければどんどん減っていってしまう。貯金が早ければ早いほどよいと言われるのと同じで、筋肉量も早いほうがよいのだ。

いつまでも活力あふれる体でいるためにぜひアクションを起こそう。


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