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象徴の家

不思議な夢を見た。

遠くからピンポンが鳴った気がしたけど、起きれなかったので無視した。

場所がよくわからない。現住まいと実家と父の実家がガッチャンコしたみたいな家だった。

私が今寝ている部屋から出ると、実家の居間で、右を見ると実家の玄関に進む廊下があるけど、これは本来逆位置だなあと思う。玄関先で、口うるさい上司がなにか言っている。忠告っぽい。わかってるよ、うるさいなと思いつつ。

居間にいるのは、セールスマンっぽい。私はその青年に「朝、ピンポンを鳴らしましたか? そうでないなら、用事はありませんよ」と声を掛ける。ピンポンを無視したことへの申し訳なさで家に上げたらしい。家に上げる前に確認しろよ、私。

青年はピンポンを鳴らしてないらしいけど、折角だからと仏壇に手を合わせてくれるらしい。仏壇は実家にない。現実には長兄がリフォームした、父の実家にある。

いまは夢だから、そこは父の実家になっていて、昔仏壇があった位置に3人の遺影が並んでいた。仏壇はあるのかないのか見えなかった。ほんと不思議なガッチャンコホーム。

誰が入ってるのか聞かれたので「祖父母と母ですよ」と言った瞬間に、父が振り向いた。白いシャツにステテコ。真夏や風呂上がりは、大体この格好だった。振り向いて、私と父の間にある座布団を大きく両手で叩いた。

「あ!ごめん! 個人情報だよね。私は気にならないから言っちゃったけど、父さんはイヤだったんだね! ごめん!」と謝った。

そうこうするうちに場面は変わり、祖父が戦争から帰ってきたときの話を聞いた。パンツを何枚も履いていたとか、臭かったとか誰かが説明しているんだけど、そんなエピソードは一切聞いたことがない笑。パンツなんてないだろうし。なんつー創作。そのときの行李らしいもの(そんなものもないと思うけど)を私は眺めていて、誰が説明しているかわからない。

そんな話を聞いているウチに、時計が気になった。会社に行かなければいけない時間が近付いている。青年に「あなたは会社に行かなくて大丈夫なの?」と慌てて声を掛けて、目が覚めた。また遠くのピンポンの音を聞いた気がするけど、眠かったので起きなかった。

昔から父の実家が夢に出てくることは「一族」を表していたように思う。恋人ができると、この家に男性を招き入れたり、別れたら男性を追い出したり。母を逃して、母が帰ってきた家もここだ。「私」の問題を表すときは実家が出てくる。付き合いたい男性やトラブルの相手は、こちらを訪ねてくる。

父が亡くなってから、少しその様子がおかしい。先日見た夢のなかで、父が帰って来たのは父の実家でなく、父が建てた実家なのだ。この夢も仏壇が見えないのも不思議で、なんとなく「改装中」という雰囲気の家だった。

そう、夢の中で私は忘れていた。遺影はまだ3つ。父の分がない。誰が仏壇に入ってるのかと聞かれたら、父も仲間に入れないといけないのだ。「知らん奴に個人情報を安易に渡すな」と怒っていたわけでなく「俺を忘れてる!」だったのかもしれない。

父が亡くなったことで「一族の象徴」も代替わりしているのかもしれない。

ちなみに甥っ子が夢に出てくると、今度は父の実家と母の実家のハイブリッドみたいな家が出てくる。

深層心理なのか、なにか不思議な世界があるのか皆目見当がつかないけど、夢は不思議だ。

きのうは父の誕生日だった。そう思っただけで、特別何もしなかったので、拗ねてしまったのかもしれない。ごめん。

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