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10年前の棋戦

今夜のこの記事は、全く自分個人の為に作ったようなページです。ただの採録に過ぎません。

来たる5月5日、志 田 達 哉 八 段 の過去の棋戦特集が CS で始まるそうで、それに合わせた…という訳でもないのですが、2014年9月に行われた「新人王戦」三番勝負の記事を自分の為に “読みやすく” このページにまとめたい…と思い立ちました。

自分の応援する棋士の “当時の立ち位置” のようなものが窺えて、自分にはとても興味深いです。それでは…スタート!!


『しんぶん赤旗主催 第39期 囲碁新人王戦    最後のチャンス どちらに』
 決勝三番勝負 11日開幕
  [2014年9月8日(月)]

 第39期囲碁新人王戦(しんぶん赤旗主催)の決勝三番勝負が11日に名古屋市の日本棋院中部総本部で開幕します。今期は、志田達哉七段(23)と一力遼七段(17)という、どちらも優勝候補と目される顔ぶれ。両者とも七段に昇段して今期が新人王獲得のラストチャンスとなるだけに、熱いたたかいが期待されます。


力を出し切って
 昨年ベスト4だった志田七段。今期は、小野田拓弥二段、玉井伸三段、安達利昌三段、鈴木伸二四段を破って念願の決勝進出を果たしました。

 中部総本部所属の実力者で若手のホープ。深い読みをベースに寄せ勝負にも、たたかいの碁でも、なんでもこなすと高い評価を受けています。

 2012年29勝11敗、13年20勝17敗。今年はこれまで19勝7敗と好調で、8月には十段戦最終予選決勝で山下敬吾九段を破って本戦入りを決めています。

 若手棋戦の若鯉戦で、2007年の第2回大会で優勝を果たし、10年の第5回では準優勝。11年の第2回おかげ杯でも準優勝しています。

 昨年は賞金ランキングが六段で1位となり、今年1月七段に昇段しました。

 志田七段は「とにかく自分の力を出し切りたい」と決勝への意気込みを語っています。

しだ・たつや 
1990年12月6日生まれ。福井県出身。2006年入段。



自分らしい碁に
 一力七段は、橋本寛初段、堀本満成三段、許家元二段、村松大樹四段に勝って決勝に進出しました。

 入段前から棋界で注目を集めた逸材です。

 2012年は25勝14敗でしたが、13年は第8回若鯉戦と第4回おかげ杯でダブル優勝し棋道賞の新人賞を受賞しました。

 成績も40勝7敗で今年1月には四段に昇段。3月には張栩九段をくだして史上最年少で棋聖戦リーグ入り(16歳9カ月)を果たし、一挙に七段に昇段しました。また第5回おかげ杯を連覇するとともに、若手世界一を決める第1回グロービス杯でも優勝。勝負強さを発揮しています。

 一力七段は「新人王戦の進行中に七段に昇段して今期が最後になってしまったが、決勝進出を果たせてほっとしている。最後のチャンスなので、(対志田戦2連敗の)過去は気にせず、自分らしい碁を打って絶対にとりたい」と語りました。

いちりき・りょう 
1997年6月10日生まれ。宮城県出身。宋光復九段門下。2010年夏期入段。


過去の対局は
 志田・一力両者の対局はこれまでに2局あります。

 12年の棋聖戦最終予選では志田五段が一力二段を白番3目半勝ちで破り、13年の桐山杯準決勝では志田六段が一力三段に対し、黒番半目勝ちをおさめています。(段位は対局当時)

 1年以上前の対決ですが、ここまで志田2連勝。三番勝負の開幕局をどちらが制するか、注目されます。


■観戦記者の見どころは
歴史的三番勝負 立浪健一さん

 決勝三番勝負の見どころを第1局の観戦記者、立浪健一さんに聞きました。



「優勝候補と目される2人がすんなり勝ちあがってきた。それが今期新人王戦の印象である。

 過去をひもとけば張栩―高尾紳路戦をはじめとして、この新人王戦では数多くの名棋士が名勝負を演じてきた。今期の三番勝負も歴史に名を残す対決になるだろう。

 志田は中部のホープとして早くから注目されてきた。読みの深さと寄せの強さはすでに一流の評価がある。一力は日本囲碁界が長く待ち望んでいたワールドクラスの新鋭だ。先の国際棋戦(グロービス杯)の優勝は日本の若手のレベルアップを世界に示した。下馬評もほとんど互角。それだけに、実力とともに勝負運の強さも試される。優勝者は翌日から井山裕太六冠とタイトル戦をたたかってもおかしくない。今回の決勝はそういう勝負である。」


〈日程〉
9月11日(木)午前10時~
  名古屋 日本棋院中部総本部

9月17日(水)午前10時~
     東京 日本棋院東京本院

9月25日(木)午前10時~
  名古屋 日本棋院中部総本部


『囲碁新人王戦決勝三番勝負第1局』
    一力遼七段が先勝[2014年9月12日(金)]

 志田達哉七段(23)と一力遼七段(17)の“本命”対決となった第39期囲碁新人王戦(しんぶん赤旗主催)決勝三番勝負の第1局は11日、名古屋市東区の日本棋院中部総本部でおこなわれ、午後6時16分、266手まで一力七段が黒番半目勝ちをおさめました。

 握って一力七段の黒番となりました。

 右上隅で流行定石が打たれた後、黒35、白36で左上隅と右上隅の決まりがつき、先手をとった黒が下辺に先行しました。

 左下隅、黒41ツメから競り合いが始まりました。控室では白の模様が良いかといわれていましたが、白60に対して黒が61と切って白の眼を奪ったあたりから白熱の攻防が繰り広げられました。

 黒103以下、黒の攻めと白のシノギの攻防は、白石の生きとなり、黒も153から右辺の白模様を荒らして生き、ヨセ勝負の様相。最後は一力七段が半目勝負を制しました。

 勝った一力七段は「難しい碁を運よく勝てて良かった」と喜びを語りました。

 立ち会いの中野寛也九段は「決勝三番勝負にふさわしい熱闘でした。流れが二転三転、四転五転するなかで、一力七段が辛抱して逆転した、その粘り強さが印象に残りました」と話しました。

 第2局は17日(水)に東京・日本棋院本院でおこなわれます。

(写真)第39期囲碁新人王戦決勝三番勝負第1局で志田達哉七段(左)を下した一力遼七段。奥右端は立会人の中野寛也九段=11日、名古屋市の日本棋院中部総本部


『囲碁新人王戦決勝第2局    志田七段勝ちタイに    145手、中央の白石を取り決着    25日に最終局』[2014年9月18日(木)]

  第39期囲碁新人王戦(しんぶん赤旗主催)決勝三番勝負は、一力遼七段(17)の先勝で迎えた第2局が17日、東京都千代田区の日本棋院でおこなわれ、午後5時13分、145手まで志田達哉七段(23)が黒番中押し勝ちをおさめ、対戦成績を1―1のタイに戻しました。これで決着は25日(木)、名古屋・日本棋院中部総本部での最終第3局に持ち越されました。

 第2局は先後入れ替わり志田達哉七段の先番。序盤、注目されたのが右下の白20。黒に先手を許しながらも手厚く打ちました。このあと地合で黒が先行し白が仕掛ける展開となりました。

 一力七段が34分の長考で上辺を手抜きで左辺に白34。これに対し、志田七段が上辺黒37とハサんでから上辺を黒地に、一力七段が左辺を白地とし、手厚い白20が生きる分かれとなりました。

 その後、争点は下辺に。白54ツケから白70割り込みから黒を切断しては、控室で「白がポイントをあげた」の声があがりました。

 黒は69以下、中央の白模様の消しに回り、白は上辺78のオキから右上隅を大きくえぐりました。

 その後は中央に生じた黒模様をめぐるたたかいが勝敗を決する攻防の様相となりました。白は114と深く打ち込み黒模様を荒らしにいきましたが、白石が取られ、黒中押し勝ちとなりました。

 勝った志田七段は「最後まで勝てた気がしなかった」と振り返り、一力七段は、第3局へ「気持ちを切り替えて臨みたい」と語りました。

(写真)第39期囲碁新人王戦決勝三番勝負第2局で一力遼七段(右)を下した志田達哉七段。奥、右端は立会人の小松英樹九段=17日、東京都千代田区の日本棋院


『第39期囲碁新人王    17歳・一力七段が優勝    最年少記録31年ぶり更新』

 優勝候補同士の決勝戦として大きな注目を集めた囲碁の第39期新人王戦(「しんぶん赤旗」主催)決勝三番勝負第3局が9月25日、名古屋の日本棋院中部総本部でおこなわれ、午後5時14分、145手で黒番の一力遼七段(17)が志田達哉七段(23)に中押し勝ちし、対戦成績2勝1敗で新人王に輝きました。

 一力七段は17歳3カ月の新人王獲得で、1983年の依田紀基五段(当時)の新人王戦の最年少優勝記録(17歳5カ月)を31年ぶりに更新する史上最年少新人王の誕生です。

 六段以下が出場資格の新人王戦は両者とも今期で“卒業”。一力七段は最後のチャンスをものにし、有終の美を飾りました。

 一力七段は、2013年の若鯉戦、今年のグロービス杯(若手世界一を決める国際戦)につづき、若手棋戦を総なめにしました。

 1997年6月10日生まれ。宮城県出身。宋光復九段門下。2010年夏季入段。今年、史上最年少で棋聖戦リーグ入りを果たし七段に昇段しました。

一力七段の話 今期が最後だというプレッシャーがあったが、勝てて良かった。(1勝1敗に持ち込まれて今日まで)長い1週間でしたが、いつもどおり平常心で打つよう心がけた。今後は一般棋戦でもがんばりたい。

(写真)志田達哉七段(左)を破り第39期囲碁新人王に輝いた一力遼七段。奥、右から2人目は立会人の伊藤庸二九段=9月25日、名古屋市の日本棋院中部総本部


⬆ここで取り上げた棋戦の記録。



※[追記]
5月5日から始まる特集 ⬇




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