日記 2023/10/16〜2023/10/22

2023/10/16

島口大樹の「オン・ザ・プラネット」では、過去・現在・未来に対する捉え方が基本は一人称で綴られていくが、その捉え方はとても興味深い。その書かれ方にずいずいと引き込まれていく。

 そう考えると、他社と交わって映画を見て小説を読み音楽を聴いて、事故の中でせは生成されない刺激を受けることで、経験したはずの知らない過去が蘇る。今の地点で過去を再発見する。未来に向かうことはそこに確かにあったはずの過去を掘り起こすことと等しくなるが、その機会はぼくの意志や恣意的な選択とは無関係に世界に偏在していて、だから記憶は、ぼくの皮膜を透過し世界のほうに沁みだしているもいる。

島口大樹『オン・ザ・プラネット』(講談社)、p64

朝は長袖じゃないと寒くて、歩いていて薄手の長袖が肌にあたってくる感じが心地良い。この1週間は天気もいい。いつの間にか金木犀の香りがそこかしこ、10月も半ばになってようやく夏が過ぎ去り、秋になったなぁという感じがする。昼間はまだまだ暑く、半袖で十分なのだけれど。

毎年、この時期になる頃から、年内に読めるだろう本数が残り少なくなってきていることを意識する。2ヶ月半で何冊読めるだろう。もちろん冊数で考えることにあまり意味はないし、それこそ今からボラーニョの2666なんかを読み始めればそれだけで秋が過ぎ去ってしまうだろうから本によるわけだけれども、それでもやはり年内に読める本は限られていることを意識せざるを得ない。今年中に読みたい積ん読本を消化しつつ、新たな本にも手を出していきたいというのはいつものことだが、どのような新しい本に手を出していくか。大江健三郎の本も数冊再読したいところではある。

この読書計画を立てる段階はとても楽しい。他の例に漏れず計画を立てたところでその通りになるわけではないけれど、このタイミングで読みたい本を一旦整理することには意味があるだろう。

さて、昨日ホークスは勝って今日第3戦。先発は和田。40歳を超えてもなおホークスの左腕エースだ。和田が投げて負けるのであれば仕方がないと思えるくらいの信頼がある。昨日打線が繋がったので流れはまだあるはず。和田が踏ん張ることができれば、打線は期待できる。井上もスタメンだ。今日も引き続き勝ちを祈る。

2023/10/17

昨日のクライマックスシリーズのあまりにも劇的な負け方はかなり堪えた。すぐには受け入れることができずに、普段野球の話題をする数少ない友人2人に連絡をした。2人とも試合は観ていなかったが結果は知っていて、スコアボードを見ればわかるその起こり得なさに同情を示しつつも、大補強をしたホークスが負けたことに溜飲が下がるような言い方もしていて僕は何も言い返せず、ただやり過ごすことしかできなかった。

10回表に先制したときには、しかも3点も取ったのだ、冷蔵庫からビールを出して早めの祝杯をあげていた。後から振り返ると何をのんきなと呆れるしかないが、しかしそのときには嬉しくて仕方がなく、3点もあれば1回を抑えることくらい問題ないと思っていたのだ。それが4点取られ、逆転された。

去年の最終戦の負けも辛くて、あれ以上に見ていて辛く悔しい試合はないと思っていたが、今回もそれに比較しうるほどの辛さと悔しさだった。シーズンにあれだけ投げて抑えた津森だったし、新人で大活躍の大津だったから、彼らのピッチングに不満があるわけではない(当然そんな立場でもない)。ただたた悔しかった。1日経った今でもまだ悔しさは消えない。

レギュラーシーズン3位だったから順当と言えば順当だったのだが、短期戦の強さがあると思っていた。実際、昨日の継投はレギュラーシーズンの一時期よりも当たっていたと思うし、10回表の攻撃は素晴らしかった。それでも勝てないのはロッテが強かったというしかない。応援含め、今季のロッテは素晴らしいチームだった。

これで今季のホークス戦は終わってしまった。あとはフェニックスリーグの試合を観て、オフシーズンの話題を楽しむくらいしかできない。幸い、来週にはドラフトがあるから、すぐに楽しみはやってくるのだが、これから来シーズン開幕までは長い。

クライマックスシリーズの残りはタイガースを応援する。

藤本監督の退任が昨夜のうちに公式発表され、報道では次期監督は小久保監督が決定的だという。小久保監督が1軍監督になるのは楽しみだが、気になるのはコーチ陣だ。早速、倉野コーチが復帰するとのニュースもあって、その通りになれば朗報だが、鳥越さんが復帰するかどうかがかなり重要だと思う。小久保監督とも同い年だし、鳥越さんであればチームをさらに良い方向に変えてくれるように思う。あとは熱男がいない今、できればムネリンも帰ってきて欲しい。昨夜のショックが癒えない今、コーチ陣について妄想するくらいしかできない。

2023/10/18

久しぶりに昼間に1時間ほど歩いた。今月入ってからは出勤時と退勤後に歩くくらいで昼間に歩くことはなかった。朝と夕方だったら長袖一枚で少し肌寒いくらいで、30分歩くと少し汗をかくくらいのちょうど良い季候で、ようやく季節は秋だ、なんて思っていたが、甘かった。昼間は日差しも強くて、くそ暑い。30分歩いて図書館へ向かい、図書館着いた頃には汗がしたたり落ちてきて、また30分かけて家へ帰ると全身汗だく、シャワーを浴びずにはいられなかった。せっかく歩いたのに、体ポッポしすぎてアイスクリームを購入。良い運動にはなったが、カロリー的にはプラスだ。

日差しも強いからサングラスは必須、すれ違う人の多くはサングラスをかけていた。半袖の人も多い。もう10月も半ばだぞ。例年こんなに暑かったか、そんなことはなかったはずだ。

金木犀の香りは、我が家の周りが一番強い気がする。図書館までの道を歩いていて、ところどころ金木犀の香りがあるところもあるが、我が家の周りほど強いところはない。朝出かけていくときに金木犀の香りをかいで、仕事が終わってからまた金木犀の香りをかぐ。今だけ我が家の周りが一番季節感がある不思議。

島口大樹「オン・ザ・プラネット」はもう読み終えてしまったけれど、この小説の中にceroの「Obscure Ride」の中の一曲「Orphans」が出てきて、これは僕がceroの中で一番好きな曲でもあるのだけれど、小説を読んで以来、ceroをまた毎日聴いている。知らないうちに最新アルバムの「eo」のインストメンタルバージョンが出ていて、昨夜これを初めて聴いたが、これまた素晴らしい。「Nemesis」のキーボードの音の旋律は美しくも不穏だ。歌が入ったバージョンだと気づかない音の連なりがあって、他の曲も新たな発見があった。また「eo」を聴き込みたくなった。

 むしろ、忘れていくことがあるからこそ、今こうしてここにぼくがいる、というのは言い過ぎだろうか。根拠もメカニズムに似たものも、それを支える言説が何もないけれど、忘れていくことがあるからこそ生まれた新たな想念や、研ぎ澄まされた感覚があるのかもしれない。その忘れていくこと、思い出せないことは、ぼくの意識や思惟が決して辿りつけない記憶かもしれないが、この肉体は覚えていて、そして辿りつけない。そこまで伸びていかない意識や思惟自体が、思い出せない記憶があって、ここにあるのではないか。

 島口大樹『オン・ザ・プラネット』(講談社)、p141

2023/10/19

久しぶりに家で運動をした。
出社頻度が上がって以来、往復の通勤路を早歩きすること運動の代わりとしていたのだが、消費カロリーに対してそれだけでは運動は足りないようで、じわりじわりと体重が増加してきていた。チョコザップを契約してはいるが、行く時間を作ることができていない。

今日は久しぶりの在宅での仕事で、休み時間を使ってリビングで運動をしようと思った。

運動のメニューはYouTubeに保存しているが、どのメニューもなかなかする気が起こらなかった。久しぶりにするには負荷が高すぎるように感じたのである。一旦、その中でも時間が短めのメニューを選んだが、なかやまきんに君の世界一楽な筋トレをしたところでしんどさがやってきて、その後のサーキットメニューは断念。しばらくはなかやまきんに君の筋トレで体を慣れさせたいと考えている。

サーキットのかわりに今日やったのは陰ヨガのようなもので、しかしこれがとても気持ちよかった。体を伸ばしながら、ヨガをやっていたときの呼吸を思い出したりしてヨガをしたくなったし、呼吸に意識を向けること自体久しくなかったことなので、体に意識を向けることそれだけでこんなにも気持ちのいいものかと驚いた。

なかやまきんに君の筋トレは毎日していくことして、その後はヨガフローをしてもいいかもしれない。この時期の気候はヨガをしやすく、ヨガをするととても気持ちがいい。今日体への意識が向きやすかったのも、ちょうどいい季候だったことも関係しているように思う。窓を開ければ金木犀の香りとともにヨガができるわけで贅沢なことだ。

トレーニングをしたあとは体もそうだが、心がリフレッシュされたようで、その後の仕事がとてもしやすかった。

これは2年間の経験によるものだが、宅トレの効果を出すには毎日少しずつでも続けることだ。なかやまきんに君の筋トレだけであっても10分は体を動かすことになるし、それだででもだいぶ違う。

久しぶりの宅トレ、訛りかけの体に刺激を与えるいいきっかけになったし、せっかくだからまた続けていきたいと思う。

2023/10/20

雨。最高気温19℃。

朝、小雨の中、娘を幼稚園に送り届け、11時から文喫へ。飯をどうしようか問題があったのだが、10時から15時まで滞在でき、かつランチを選べるプランがあってそれにした。もともと15時か16時までの利用予定だったからちょうどいい。

文喫に行くときには、文喫に本があると分かりながらも自前の本を持って行く。でも結局、文喫にある本の誘惑に勝てずに、その本を読んでしまう。今日は自前の本も読んだけれど、文喫に本があるのであれば持って行かなければいいものを、とも思うが、なんだろう、やはり鞄の中に本があるというのは一種のお守りみたいなのものなのだ。今日は歩いて文喫まで行ったけれど、電車に乗るのであれば本は必須だし、いくらスマホで本を読めるとは行ってもそれは最終手段だ。Kindleならまだいいけれど、スマホの画面で本を読む気にはなかなかならない。だから、お守りのように、保険のように常に鞄に本を入れるのだ。

今はまた舞城王太郎を読みたいモードになっていて、「私はあなたの瞳の林檎」「されど私の可愛い檸檬」「畏れ入谷の彼女の柘榴」と短編集を立て続けに読んでいる。「畏れ入谷の彼女の柘榴」もすぐに読んでしまうから、その後どうしようとも思ってはいるのだが、図書館でパトリシア・ハイスミスの本を借りているのでそれを読むか、それとも舞城王太郎の他の作品を引き続き読み続けるか。

最高気温19℃で、小雨、風も少しある状況だと、長袖一枚でも少し寒い。ロンTの上にユニクロのナイロン生地の薄手のパーカーを羽織ってちょうどいいくらいだ。

いつものように舞鶴公園を通って天神に向かうが、小雨であっても歩いている人というのはほとんどいない。10時過ぎだったし、それもそうか、とも思うが、小雨の中歩くのは雨による不快指数は低めで、結構気持ちがいいのだけれどなぁと思う。

ホークスの次期監督は小久保さんでほぼ決まりなのだろうけれど、先日も書いたばかりだがコーチ陣がどうなるかなど気になって仕方がない。CSでの劇的な負け方をしたのも気にならなくなっていて、オフシーズンや来シーズンのことに意識が向くようになっている。島口大樹ではないけれど、人間は忘れる生き物だ! とにかく、小久保監督の就任決定のニュースとコーチ陣の発表はまだかと気になって、下手したら数分おきにスポーツニュースを見ている。藤本監督批判のニュースも減ってきて、ネットを見ることのストレスがだいぶ減ってきた。希望としてはやはり鳥越さんが戻ってきて欲しい。そのうえでさらにムネリンがコーチ就任とかなったら胸熱なんだけれどなぁ。

2023/10/21

朝から友人が主催のイベントに呼ばれ、家族で大野城市へ。子どもと一緒に写真入れを作るというもので、工作好きの娘は集中して楽しんでいたようだった。
終わったらランチ時。昨夜どういうわけかビッグボーイに行きたくなって、福岡のビッグボーイの店を調べてみると、西区にあることがわかった。大野城から西区へ。

ビッグボーイは関西に住んでいた頃に行きやすい場所にあって、よく通っていた。ビッグボーイといえば大俵ハンバーグだが、それ以上に印象に残っているのはサラダバーとスープバーだ。特にコーンスープは美味しくて、大学の頃なんか長居して何杯もおかわりした記憶がある。

今回ももちろん大俵ハンバーグにサラダ・スープバー。ライスもライスバーになっていて、カレーも食べられるのには驚いた。

久しぶりに食べた大俵ハンバーグは懐かしくてやはり美味しかった。コーンスープもあの味だ。娘はスパゲッティのお子様セット。僕はコーンスープを今日も何回もおかわりするかと思っていたが、そんなに食べられるわけもなく、一度おかわりしただけでお腹いっぱいになった。何杯もおかわりしていたのは記憶違いではなく、歳をとったことで食べられなくなったんだろう。今のおかわりできる自分の中のリミットまでおかわりしたが、あの程度しか食べられなくなったのかと少し落ち込んだ。
またそのうち行きたいとは思ったが、家から少し遠いし、でも半年毎とかに行ければいい。やはり大俵ハンバーグとコーンスープは美味いのだから。

一度家に帰ってマークイズへ。ロンTが足りなくて、UNIQLOでロンTを2枚と、安くなっていたカーゴパンツを購入した。

2023/10/22

ここ1ヶ月くらいの間に、毎晩娘に電子書籍の絵本を読んであげるようにになった。Kindle Unlimitedに入っていて、絵本もおそらく百冊以上はその対象に含まれているのだが、その中から娘に選ばせて1冊か2冊読むようにしている。

Unlimitedの対象から選ぶときは完全に表紙だけを頼りに選んでいて、いわゆるジャケ買いならぬジャケ選びだ、その内容まで確かめることはない。もちろん表紙からどういった物語かはおおよそ想像ができるので、楽しそうな表紙の絵本を選びがちではあるのだが、言うまでもなく、表紙が面白そうだからといって内容までそうとは限らない。そのあたりは、高校や大学の頃、ジャケ買いでCDを買っていたことを思い出す。

実際読んでみるまでわからないので、読んだ後に「これにしなければよかったー」と娘が残念そうに言うのを聞くこともよくある。反対に、表紙はあまり惹かれなくても、その夜の1冊目があまり面白くなく、半ば投げやりな感じで選んだ絵本が面白くて喜んでくれることもある。

毎晩読んでいるので、Unlimited対象の中で読んだことのない絵本も少なくなってきた。読んだことがなくても、以前読んだことのある同じ著者の絵本だったりで、その著者の作品が気に入っていなかった場合は選ぼうとはしない。それで本屋に行くと面白そうな絵本を探すということもでてきて、これはここ最近なかったことなので喜ばしいことだが、そこで買っても結局夜にはまたUnlimitedの中から探すことになる。

毎晩2冊ずつでも読んでいると、どういった絵本が自分にとって面白く、そうでないのか娘もわかってきたようだ。僕も、読んであげる立場として、好みがハッキリと出てきた。少し価値観の押しつけがましいタイプの絵本は僕も娘もあまり好きではない。説教臭い絵本もあるが、読んでいると気分がげんなりしてくる。なるだけ声色には出さないようにしているが、出てしまっているかもしれない。

本屋に行って絵本を見るとき、人気のある絵本を立ち読みしてみると、人気がある理由がよくわかる。既に何冊か持っているけれど、ヨシタケシンスケさんの絵本はどれも面白いし、出てくる言葉一つ一つ、そして絵一つ一つとその組み合わせに心を揺さぶられることも多い。ヨシタケシンスケさんの絵本を読むと、わりと小難しい話であっても、娘は面白そうに聞いている。僕も読んでいてとても楽しい。ただ、女の子らしい絵が好きな娘は、結果的にヨシタケシンスケさん以外の絵本を購入することが多い。読んであげる立場としては、読み聞かせるのも面白いヨシタケシンスケさんの絵本を買わないことは少し残念な気持ちになるのだけれど、自分で選んだ絵本には愛着を持つものだろうし、もしたとえ失敗したとしてもその失敗が次に絵本を選ぶときの基準になっていくのだろうから、たくさんの絵本を読むことはいいことなんだろうと思う。だからUnlimitedも活用していろんな絵本を読むことができている今の状況はいいんだろう。

先日買った絵本で僕も娘もお気に入りになったのが高畠那生さんの「おどってるこまってる」で、踊っている人と困っている人が交互に出てくるのだが、絵を見るだけではそれが踊っているのか困っているのかわからない。ページをめくりながらそれを言い当てるのも面白いのだが、何度か読んでその答えを知ったあとでも、絵を見て2人で踊っているのか困っているのかあーだこーだ言い合うのがとても楽しい。「踊っている」ことと「困っている」ことが実は近いものであることは僕とっても娘にとっても発見で、たしかに困っている人の動きというのは端から踊っているように見えることも多いだろうし、踊ることも一つの表現なのだからそこに困っている感情が入っていてもおかしくはない。困っているというのも違うが、怒って地団駄踏んでいる娘は踊っているようだ。とてもリズミカルに地団駄を踏む。感情は踊りに結びつく。「リトル・ダンサー」の主人公を思い出す。

この1年くらい絵本はそう多くは読んでいなかったので、そのきっかけとなったKindle Unlimitedを契約していて良かったなぁと最近改めて感じているところだ。

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