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令和5年9月甲賀市議会 9月8日(金)北田麗子市議による一般質問「水難事故防止対策について」

【北田議員】
 本市は16年前、市主催の夏休み行事中に起きた四万十川での水難事故により尊い2名の小学生児童の命を失っております。16年経った今、事故を教訓にどれだけ前に進めてきたか、ここで一度振り返りをしたいと思います。
 年数の経過と同時に、アフターコロナと新時代を迎えた令和5年、「甲賀市がこれから進むべき方向は。課題は。取り組むべきことは何か。」を伺います。この議論を通して、より一層子どもたちの命が守られ、市民1人ひとりの意識が向上し、悲しい水辺の事故を繰り返さない甲賀市の強い決意の表れとなるよう質問していきたいと思います。
 まず、私がなぜ今このタイミングで水難事故防止対策に取り組み出したのかといいますと、7月12日の信楽小学校150周年記念行事で、水辺の安全講習会と講演会が授業で行われたものに参加したのがきっかけになります。そのとき、講演会には元甲賀市内学校教職員の森重先生が香川から駆けつけて来られ、講習会では「ライフジャケット」を着用しての指導を日本ライフセービング協会副理事長が直接行ってくれました。これは並大抵のことではなく、信楽小学校の校長をはじめ、当日集まった協力者のみなさんお一人お一人の強い思いと努力が集結しての結果のことだったと伺っております。
 そういうところでですね、議員として保護者として何かできることはないか…と思ったのが、今回私が水難事故防止対策に動き出した大きな理由になります。また、これは誰かを責めているわけではないんでですけれど…講演会に参加している保護者さんがちょっと少なかったんですよ。そういうところに大変衝撃を受けた…っていうのも事実です。午後からの学習参観には、ほとんどの保護者が来ていましたが、午前中の講演会には数えるほどでした。
 そのとき感じたのは信楽であったとしても、16年という年月が経ってしまっている…私も当時21歳ということでして、大学の下宿のために外に出ていました。事故のことは知っていたんですけれど、当事者としての意識がなかった。自分ごとに落とせていない…。今の同世代の子育て世代は結婚して転入された方もいる…、移住者の方もいる…、市内には外国籍の家庭もいる。
 もちろん、信楽だからということで、足を運ぶのがおつらい気持ちの方もいらっしゃったのかと思います。講演会に来ることが全てではありませんが、保護者の意識に「水辺で遊ぶのは楽しい反面、危険が伴う」という認識は根付いているのだろうか?水難事故防止対策に本気で取り組んでいかなくては、また悲しいが繰り返される…そう思いました。そういう危険を感じました。
 16年経てば、当時の子どもは大人になっています。水辺の危険から子どもを守れる大人になっているのか?またこれからのことを考えて問いたいと思います。本市だからこそできることがあるのかなというふうに思います。

 1つ目です。「相次ぐ水難事故について、市としてどれほどの危機感を抱いているのか?特に子どもが溺れる危険性の認識は?」ということですけれど、今年は水の事故が多かった…という印象の夏でした。びわ湖で4名の方が亡くなられており、知事においても8月22日の会見で水難事故防止対策を検討するという意思を表明されています。このような状況で本市として抱く危機感というものはどれほどのものなのか?お聞きします。
 河川財団の資料には、子どもの特性に特化した内容が掲載されています。子どもは静かに沈む…と言われており、一瞬で溺れます。また、本人も溺れたことに気づいていない…ということからも、子どもには特に注意が必要です。子どもの特性を捉え、子どもの危険性を大人が理解しておく必要があると思いますが、その認識はいかがでしょうか?市長に伺います。

市長】
 今年の夏は連日のように全国で水難事故が多数発生をし、県内におきましても、長浜の屋外プールやびわ湖で小学生の児童や大学生などが尊い命を落とされる、大変痛ましい事故が多数発生をいたしております。
 私も毎年この時期になりますと、市民の方が事故に遭われないか大変心配をする日々を送っております。とりわけ平成19年7月31日、四万十川におきまして水難事故を起こし、尊いお2人の命を奪ってしまった本市といたしましては、大きな危機感を抱いております。
 特に、水難事故が起こる背景には、監視の目が行き届かなかったことや、体力を過信してしまったことなど複数の要因が重なっていると推察されますが、とりわけ子どもは水深20cmでも転ぶと全身に水圧を受け、流されてしまう危険性があるとされております。水辺での活動時には、「ライフジャケット」を着用するなどの事故を未然に防ぐリスクマネージメントが大変重要であると認識をいたしております。

【北田議員】
 リスクマネージメントの認識があるということでありました。

 では2つ目の質問です。四万十川の事故を教訓に、これまで行ってきた水難事故対策とアフターコロナ後の初の夏を迎えた令和5年度の取り組みを危機管理安全統括官にお伺いします。

【危機管理安全統括官】
 「甲賀市青少年活動安全誓いの日」条例を制定いたしました平成20年から、青少年活動の指導者の皆様を対象に、野外活動をはじめとする青少年活動の安全に対して認識を深めるための講習会を開催するなど、広く安全安心な活動について研修と啓発を積み重ねてまいりました。
 あわせまして、平成21年度からは、子ども会などの青少年育成団体を対象として、「ライフジャケット」の貸し出しを開始したところであります。本年度につきましては、アフターコロナを迎え、事業やイベントの実施が再開されてきており、安全安心な事業実施におけるノウハウの継承不足や、リスクマネジメント意識の低下が危惧されましたことから、改めて事業執行における安全管理体制や、効果的な安全対策に関する意識付けを行うために、広報こうか7月号への「ライフジャケット」貸し出しに関する情報の掲載や、市内図書館に野外活動に関する書籍コーナーの設置、また、市内小中学生の保護者に水難事故防止に関するメッセージを送付するなど、広く周知啓発を行ったところでございます。

【北田議員】
 では、続けて3番目の質問です。「『ライフジャケット』の必要性、有効性について市の認識は?」ということですけれど、愛媛県西条市で2012年7️月、幼稚園の宿泊保育に参加した5歳のお子さんが川遊び中に流され、お亡くなりになりました。この事故の判決文中に「遊泳を実施する際は『ライフジャケット』を準備して、園児らに適切に装着させることなど、園児らの水難事故を未然に防ぐための計画およびその準備を整えるべき業務上の注意義務があった。」と示されており、続けて過失については「『ライフジャケット』を準備せず、園児らに適切に装着させなかった過失」と指摘されています。
 つまり、今後、水辺の事故が起きたときには「ライフジャケット」準備していたかどうかという「安全配慮義務」が問われるということになります。水辺で遊ぶ際の「ライフジャケット」の必要性、事故を防ぐ有効性について、市の認識はいかがでしょうか?

【危機安全管理統括監】
 「ライフジャケット」の着用は、水辺での事故を減らすため、極めて有効な手段であります。「ライフジャケット」の着用による効果といたしましては、水に沈むことがないことで、呼吸困難に陥るのを防ぐとともに、水中に浸かる面積が少なくなることで体温の低下を遅らせ、目につく色の「ライフジャケット」が多いことから、早期の発見に繋がります。
 また、打撲などにより身体を自由に動かせない場合も、「ライフジャケット」を正しく着用していれば、身体は浮くことから、水辺で活動する場合には、事故のリスクを下げられると認識をいたしております。

【北田議員】
 そうですね。「ライフジャケット」は本当に着けるだけで、大きくそのリスクを下げられるものだと私も認識しております。

 続きまして教育委員会にお尋ねします。市および小中学校で保有する「ライフジャケット」その他、水難事故対策物品の数と状態をお聞きします。「ライフジャケットの」みではなく、救助に必要なスローロープやスローバックはあるのか?経年劣化していないか?破損など使えない状態ではないか?お聞きします。お願いします。

【教育部長】
 市の甲南青少年研修センターでは、自然体験活動用の貸し出し備品として「ライフジャケット」178着と救助ロープ5本を所有しております。また市内小中学校においても6校で、学習用備品として「ライフジャケット」286着を所有しております。「ライフジャケット」は法的に耐用年数が設定されておりませんが、使用頻度や湿気等の保管状態などにより劣化が発生します。このことから、使用される前までには、ベルト部分やボタン、紐を始め、全体的な点検を行い、使用不能と判断したものはその都度廃棄更新に努めております。

【北田議員】
 それでは次に、水難事故対策としての物品の活用頻度、貸し出しの回数についてお伺いしたいと思います。

【教育部長】
 水難事故対策といたしまして平成21年度から「ライフジャケット」を団体に貸し出しており、昨年度からは個人の貸し出しも開始したところでございます。
 本年度の「ライフジャケット」の貸し出し状況につきましては、8月の31日現在で37件その枚数は550着となっており、貸し出しを開始して以降、件数、枚数とも最も多くなっており、その内訳としましては、団体で15件451着。個人では22件99着となっております。なお、これら貸し出し状況としましては、大人用が200着で約35%。子供用が350着で約65%となっております。

【北田議員】
 先ほど、危機安全統括官がおっしゃられたように、今年の取り組みとして保護者さんに「貸し出しができますよ」というようにメールを送ったたことや、LINEで配信されるということが活用に繋がったのかなというふうに思います。そちらすごくいい取り組みであったかと思います。

 続きまして、6つ目の質問です。「子どもの水難事故に対する教育は十分であったか?」、義務教育の中で水難事故予防を目的とした授業を全校で取り入れるべきと考えます。2020年度から学習指導要領が改訂され、小学校高学年の授業で「安全確保につながる運動」として「背浮き」が組み込まれることになりました。しかし、あくまでも「体育」というカテゴリーですので、水難事故防止の指導要領ではありません。
 溺れないためには3つの要素が必要であると言われており、それは「泳力」「もの」「知識」です。学校で現在行っている「泳力」だけでは溺れることを防げません。甲賀市が果たすべき責任として、全校で水難事故防止対策についての授業を行う必要があるのではないでしょうか?
 7月23日のSNS投稿で、「ライフジャケット」をつけて浮く練習をした際、子どもがひっくり返ってうつ伏せになってしまった…。大人が足をついて支えられないと、転覆した子どもを元に戻すことも、支えることも困難である…という内容が議論を呼び、また「ライフジャケット」を適切なサイズで正しくつけていないとすり抜けてしまう…ということもあります。このことからも、実際に「ライフジャケット」を着衣し、体感することが今後の防止対策として非常に有効と思われます。
 昨年の9月の県議会において、我が自民党・重田議員の質問の中で、県が「ライフジャケット」を配備し、授業を進めていくべき…という趣旨の質問の答弁で、県の教育長は「現段階で、滋賀県の教育委員会として調達するということは考えておらず、市町の教育委員会がその必要性について判断をしていくものである。県の動きとしては既に設置されている市町の取り組み状況について情報を収集し、その提供に努めていく所存。」と答弁されました。本市としての考えを教育長に伺いたいと思います。

【教育長】
 各小学校におきましては、「水遊びの心得」、「水泳運動の心得」、そして「水泳の事故防止に関する心得」など、学習指導要領にのっとって発達段階に応じて、毎年ですと「プール開き」前の時期に、全校で系統的に指導をしておるところでございます。児童生徒に着衣したまま…「着衣泳」と申しますけれども、着衣をしたままでの水泳を体験させることや、「ライフジャケット」の着用時とそうでないときの救難の違いなどを体験させることっていうのは、大変有意義なものであると考えております。
 既にいくつかの学校では、学校で「ライフジャケット」を持っている学校もございますので、既にいくつかの学校ではこうした体験や「ライフジャケット」の必要性などについて、水辺での課外活動の事前学習や、あるいは先ほど述べました水泳学習の中でも取り組んでおるところでございます。今後も各校の実情に合わせて、「ライフジャケット」の活用を含めた水難事故防止対策には、継続して取り組んでまいりたいと考えております。

【北田議員】
 「ライフジャケット」を着用して水難事故防止対策を授業で取り組むこと、大変有意義である言葉をいただきましたので、それを実行できる取り組みをぜひ行なっていただきたいと思います。
 7つ目です。各校において「ライフジャケット」を確保していく上での予算と計画について副市長に伺います。

【副市長】
 市立の小学校における「ライフジャケット」の確保につきましては現在、購入や借用など、過去の実情に合わせて対応をしていただいているところではありますが、今後とも本市が起こした水難事故を忘れることなく、子どもたちの安全確保を図る視点から必要な予算措置に努めてまいりたいと考えております。

【北田議員】
 必要な予算措置ということで、具体的な数字は今は伺えないのですけれど、またこれから話し合っていけたら…と思います。

 8つ目の質問です。「持続可能な『ライフジャケット』の管理を実現するために取るべき体制とは?」ということですけれど、甲南青少年研修センターでの個人貸し出しがスタートし、利用が増えたのはいいのですが、私も直接見に行ったところですね。すごい一面に「ライフジャケット」がたくさん干してあってですね。「もう干すところがないんです。 大きい除湿機が欲しいぐらいです。」っていうような状況でした。
 シーズンが被り、数が足りなかったので奔走した…ということもあったそうです。「ライフジャケット」の貸し出しだけでは管理が追いつかず大変ですので、目指すべきは個人購入ということだと考えます。水難事故防止の意識が市民に向けば、自然と個人購入に結び付くと考えます。
 そのためには、まずは適切な管理のもとで「お試し」でも、一度着けて浮いてみる…という状況を作る必要があるのかなと思います。授業の話もしたのですが、女性はですね。生理があって、ちょうど授業は受けられなかった…ということも発生してきます。補足としましても、授業以外で練習できる機会を確保してもらいたいと思いますし、幼児や大人も試す機会が創設されるのが望ましいかなというふうに思います。
 そういったことを踏まえて、信楽中学校のプールや、B&G…公共のプールですね。で、「試し泳ぎ」ができるよう「ライフジャケット」を常時数着でも施設に整備しておく…ということも、検討していただきたいのですがいかがでしょうか?…ということなんですけれど、さっきからですね。あっちもこっちも「ライフジャケット」を置いてほしいって言っているんですけれど、必要なことだと思っています。
 そして、管理が本当に大変なことというのも事実です。いずれ個人購入を目指すために、まず貸し出しを充実させる。そのために「ライフジャケット」を配備し、乾燥させ、収納し、また繰り返し使える状態が続くよう体制を整えるべきと考えます。「ライフジャケット」を市が配備する際に、管理についてどのようなサポートをしていこうと考えておられますか?お聞きします。

【教育部長】
 先ほども申し上げましたように「ライフジャケット」は法的に耐用年数が定められておりませんが、使用頻度や保管状態によって劣化が生じますことから、定期的、また貸し出しの前後には、状態を確認し、使用不能となったものは随時更新をしているところでございます。
 そのような中、計画的な予算確保が必要であると認識をしております。現在、本市が管理し、貸し出しをしております「ライフジャケット」につきましては、安全性の確保等から、甲南青少年研修センターにおいて管理をしているところでございますが、個人への貸し出しも、先ほど申し上げましたように、増加している状況も踏まえ、今後は市内のスポーツ施設等でも分散して貸し出しや適正な管理ができるよう、体制も含めて拡充をしていきたいと考えております。
 また、議員ご提案の「ライフジャケット」の試着や試し泳ぎができる機会の提供につきましても、あわせて検討を進めていきたいと考えております。

【北田議員】
 「試し泳ぎ」について前向きな答弁というふうに受け止めました。

 9つ目の質問です。「指導者の確保育成についての市の考えは?」ということなんですけれど…。B&G財団は今年、「実体験を通して学ぶ水辺の安全教室を年に1回は実施せよ。」と甲賀創健文(公益財団法人甲賀創健文化振興事業団)に通達を出しました。そして、甲賀町内小学校で実際行われました。これから毎年実施していくにあたりものが足りないということと同時に、指導者が足りないという問題にぶち当たることが予想されます。ものの確保と同時に、指導者の確保も進めていく必要があると思われますが、市の見解はいかがでしょうか?教育長に伺います。

【教育長】
 事故を防ぐには、指導者や参加者が安全に対する知識や技術を備えることが大変重要でありますことから、市では青少年団体の指導者に対する研修を実施するとともに、保護者や子ども自身が、水辺の安全について知識や経験を深めていただくために、親子デイキャンプや、あるいは小中学生を対象とした宿泊キャンプ等においても、水辺の危険性を学ぶクイズや、あるいは「ライフジャケット」の着用体験等、水辺の安全学習プログラムを実施しているところでございます。
 今後も1人でも多くの方に水辺の活動の安全について学んでいただき、実践に繋げていただくとともに、指導者としても活動いただけるよう、水難事故防止に向けた講習等の機会を拡大していくことについて検討してまいりたいと考えております。
 あわせまして、今、議員もお話しいただいた、B&G海洋センターにおいて、昨年度も市内でも2小学校において、実際に講習会等を開いたという実績もございますので、専門的な知見を持たれるB&G海洋センター、また消防本部さんなどの職員を招聘してより効果的な内容になるように努めてまいりたいと考えております。

【北田議員】
 今、教育長、申されましたように、B&Gさんや消防本部の方との協力のことについて、では次に10個目の質問で聞いていきたいと思います。「協力団体との連携について市の考えは?」「水辺の安全利用対策に取り組める甲賀市独自の組織を形成してはどうか?」ということなんですけれど…。国土交通省河川水難事故防止ポータルサイトに、山形県河川等安全連絡会の事例が掲載されています。加盟しているのは、国、県、各市町村、警察、消防、土地改良区、漁協、電気水道などの企業局さんです。実際の活動を伺うと、私が予想していました「安全講習協力会」的なものではなくてですね。河川等の安全チェックなど様々な機関の視点で行われているというようなものでした。
 しかしですね。信楽小学校150周年講演には、B&G職員で甲賀創建文も来ていました。甲賀消防の隊員が公務で来ていましたし、有志でも来ていました。日本ライフセービング協会の副理事長が直接指導に来てくださるっていうことを学びに…という目的です。水難事故防止対策に取り組みたい…という思いのある人は、市内にたくさんいてくれています。学校での講習も既に実施しているところは、思いを持たれている先生がいるということです。
 もう誰も溺れさせない…。あの時、涙して胸を痛めた方が、今それぞれでがんばってくれています。もちろん、事故当時の職員のみなさん、部長クラスのみなさん、当事者だと思います。そして、地域の方もそうだと思います。特に、子どもの命は絶対に守りたい…という思いを持った方がいるならば、協力体制を作るべきと考えますが、いかがでしょうか?お願いします。

【副市長】
 子どもたちの安全対策につきましては、青少年の育成に関わる各種団体等で構成をいたしております、本市の青少年育成市民会議において取り組みを進めていただいておりますが、水辺の安全に特化した組織は現状ではございません。
 議員ご提案の水辺の安全対策に取り組む独自の組織ということにつきましては、本市には、水辺の安全対策にも取り組むB&G海洋センターが既にありますことから、消防署等の専門的知識や技術を有する機関、また団体との連携といったことも含めまして、ここのB&G海洋センターの機能強化を図ることが、より効果的ではないかというふうに考えている次第でございます。

【北田議員】
 組織づくり…ということになりますと、また条例のこともありますので大変ですので、本当にその連携の強化というものに積極的に取り組んでいっていただいたいと思います。
 講演会に来ていた消防隊員の気持ちというのは、私、結構通じるものがあるんです。前職の絡みになるんですけど。常にですね。有事が起きてから呼ばれる…っていうことに対する虚しさみたいな…無力感いうものは、普段自分たちが訓練していることが活きてないんじゃないかな…っていうことを、彼らも感じているんじゃないかな…というふうに思っています。
 だからこそ、予防策に取り組みたいと思う気持ちは非常によく分かります。そのような志のある人の気持ちは大切にしたいなというふうに思いますし、消防隊員でなくても、同じ気持ちの方がいるなら、今後実りのあるものになれば…と思います。
 11個目の質問です。「水難事故予防に対する大人の意識を向上するために取り組むべきことは?」、「大人自身および未就学児を育てる保護者に向けて」ということですけど…。水難事故は大人の方が多いです。大切な家族を失う悲しみに、大人も子どももないかと思います。また市民だけでなく、市内の川やダム周辺に遊びに来られる市外の方もいます。水難事故に遭う対象は全ての人であり、市もできる限りの努力が必要と考えます。例えばですね。注意喚起の看板の設置や、自治振興会や各種団体の出前講座に水辺の安全講習を盛り込むなどできることは小さいことでもあると思います。
 アクアキッズさんというNPO法人さんは、「サンダルバイバイ」という活動をされています。サンダルや遊具が流れても、子どもはそれを追いかけない。追いかけないことに対して保護者さんは叱らない。「サンダルバイバイおやこ条約」を結びましょうね…という活動をされています。アクアキッズさんは子育てサークル等の講習によく行かれるということです。講習の内容は、座学が中心で溺れないための知識を深めてもらう…とのことでした。
 そういった活動をされている民間団体さんもいらっしゃるので、市内でも子育て支援センターや子育てサロンさんに水辺の安全について学んでもらう機会を持ってもらったらいいんじゃないかなというふうに思います。
 また大人が繰り返し伝えていかなければ、子どもには浸透していかない…と感じたことがありました。信楽小学校150周年記念行事ですね。講演会を全校生徒が聞いていまして、低学年から高学年までレクリエーション的なものも入って、みなさん楽しく学んでおられました。ですけど、自分の子どもを見てみますと非常に反応がすごい薄くて、家に帰って「今日の話分かった?」って聞いたら、「今ひとつ分からんかった。」ということでですね。非常に分かりやすいお話だったんですけれど…。どうやらなかなかイメージが湧かなかったようでですね。絵本なら入っていきやすいかな…というように思って「かっぱのふうちゃん」今日持ってきたんですけど、「かっぱのふうちゃん」という水難事故予防のための絵本を読み聞かせをしようとしたんですね。
 そしたらですね。急にこんなんが出てくるんですけど、「まえ、よこ、おまたのおやくそく!」って、急に結構大きい声で言い出してですね。それは、現信楽小学校の校長が今回の記念行事に大変思い入れを持って臨まれました。この絵本はですね。ご遺族の方が各小学校、中学校もですかね。各校に寄贈していただいたものなんです。これは私が買ったものなんですけど…。
 それを使って校長が、記念行事の前に教室1つひとつを回って、生徒に読み聞かせを行ったんです。そうすることで、1年生でも何となく…川に遊びに行ったことなくて「ライフジャケット」着けてなくても、何となく「ライフジャケット」というものを認知することができたのかな…っていうふうに思います。
 子どもたちに伝えるためにも、大人が根気強くコツコツコツコツできることを積み上げていくことが、理解を深め、定着していくことにつながるのかな…というふうに、その時に感じました。いくら子どもに向けて、直接的に水難事故防止対策をしたとしても、大人の意識が変わらないと、子どもの事故も、大人の事故も防げないのかなというふうに思います。
 子どもが「ライフジャケット」買いたい!って言っても、大人がですね。「そんなんいらん!」とかって言って反対したら、もう手にできない…ということに帰結します。大人の意識付けも非常に重要と考えますが、そのあたりいかがでしょうか?

【危機安全管理統括監】
 警察庁が本年6月に公表した「令和4年における水難の概況」によりますと、水難者のうち高校卒業に相当する年齢以上65歳未満が830人と、全体の約50%を占め、中学生以下が198人、約12%であることからも、大人も水の怖さを理解し、事故を防止するための知識や技術を身につけることが必要であると認識いたしております。
 とりわけ保護者年代の方々には、実体験が不足しておられる方も多くおられますことから、自らが体験して気づき学ぶ機会の充実や、仕事や家事の合間にご覧いただける動画の紹介など、保護者のニーズ把握も行いながら、より効果的な啓発や教育に繋がるよう検討を進めてまいります。

【北田議員】
 啓発、力入れていってもらいたいと思います。最初に言ったですね。講演会に来なかった保護者が悪い…とか、周知ができてない…とかそういうことではなくてですね。大人の意識の中に、自然と野外レジャーと災害リスクというものがなじんでいる状態であるのがベストだと思いますし、現に「ライフジャケット」の個人貸し出しも増えているということですから、このですね。いい流れ、今いい流れだと思いますので、今後いかにこれを細く長く伸ばしていけるかが意識継続の課題かと思います。またそのあたりはですね。そのあたりも逐次議論したり、話し合っていけたら…と思います。
 
 最後の質問に移ります。「水難事故ゼロを目指し、甲賀市だからこそできること、甲賀市から発信できることは何であるか?」市の決意を伺います。

 CDR、チャイルドデスレビューという概念があります。チャイルドデスレビューは、予防のための子どもの死亡検証です。子どもが死亡したときに複数の機関や専門家が子どもの既往歴、家族背景、死に至る直接の経緯などの情報をもとに、予防できる可能性の検証を行い、効果的な予防対策を導き出すことで、将来的に死亡率を可能な限り減らしていくシステムのことをいいます。こども家庭庁もこのことについて動いております。情報も集めております。
 甲賀市からできること、甲賀市から発信できることがあるはずかと思います。市としての決意を市長に伺いたいと思います。

【市長】
 市長に就任をして以来、16年前の夏、四万十川におきまして水難事故を起こした当事者として、この事故をしっかりと心に刻み、自然体験活動のみならず、市政の様々な事業において、決して過信しない安全管理を徹底しているところでございます。
 この取り組みをオール甲賀で共有し、実践に繋げていくためにも、まずは市民の皆様の安全に対する意識の向上が必要であると考えております。今後も子どもの水難事故をはじめとする様々なリスクの防止や対応に繋がる教育、また啓発をコツコツと積み重ねていく所存であります。
 あわせまして、市民の皆様方が楽しく安全に水辺の体験活動を行っていただけるよう、「ライフジャケット」の貸し出しなど安全装備の充実に、さらに努めてまいりたいと考えております。

【北田議員】
 市長の決意を伺いました。その思い、ずっと継続していけたら…というふうに思います。今回のことをですね。思い出すのもつらい…というようなことを俎上に載せることについてですね。私自身、葛藤というものがありました。
 ですが、甲賀市は、さきほど市長がおっしゃったように、だからといって「自然の中で遊ばない。」、「水と遊ばない。」ということではなくて、積極的に遊ぶこと、そしてまた自然への畏敬の念を持って向き合ってもらいたい…というようなことで、前に進んでいかなければいけない…というふうに思っております。
 これからもずっと長くその動向を見ていくためにもですね。今、私、子育てをしております。もう誰も溺れさせないという決意のある行政と、若い世代とで一緒にがんばっていく…という意思確認をお互いする必要があったのかなと思っています。ですので、今回このような議論ができてよかったと思っています。以上でですね。私からの一般質問を終えさえていただきたいと思います。ありがとうございます。


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