勝又康仁 人事と組織開発 HR&OD

“だれもが自己実現できる社会をつくる”。 エン・ジャパンで評価・教育サービス責任者。専…

勝又康仁 人事と組織開発 HR&OD

“だれもが自己実現できる社会をつくる”。 エン・ジャパンで評価・教育サービス責任者。専門は、組織、人材開発。2022年春、茅ヶ崎移住。Ua値0.29、C値0.2の家。ここでの発言は個人の見解であり所属組織とは関係ありません。

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組織開発のレベルを高めるためにぼくが実践してきたこと

組織開発はアートである。このことは、以前にnoteに書いたことがある。 組織開発は多様な課題を対象としており、多様なアプローチをとるものだからこそ、その実践の輪郭はぼんやりとしており、曖昧である。妥当性が高いと思われたソリューションは想定した成果を出せず、むしろ、思いがけない副産物が生まれたり、あるいは、思いがけないアイデアが想像以上の成果を生むこともある。まったく思い通りにいかない。そういう意味で、ぼくは組織開発をアートという言葉で表した。 そして、このことが組織開発の

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    • 結局、組織はトップ次第であるという言説と品性(インテグリティ)について

      結局のところ、組織はトップ次第である。組織のビジョン実現を妨げているのは、ビジョンを掲げている当の本人、組織のトップであることは少なくない(ように思われる)。つい、先日も同僚と、「なんとなくあの組織のトップは信用できない。組織の求心力を弱めているのは、当の本人ではないか」、そんな話になった。こうした話は、特別、ぼくのような人材・組織開発コンサルまわりだけのものではなく、みな働いていれば、実感のもてる話ではないだろうか。 組織のトップはもっともパワー(権限、影響力)をもってい

      • 【日本的組織開発論】『失敗の本質』に見る日本軍の集団主義的傾向と河合隼雄の「場の論理」

        『失敗の本質』を再読した。先日のnoteで触れた河合隼雄「場の論理」に関連して、さらに思考を深めるために、何かヒントが得られるのではないか、と思ってのことだ。 河合の「場の論理」とは、「与えられた「場」の平衡状態の維持にもっとも高い倫理性を与えるもの」であった。「場の中に「いれてもらっている」かぎり、善悪の判断を超えてまで救済の手が差しのべられるが、場の外にいるものは「赤の他人」であり、それに対しては何をしても構わない」という。 では、『失敗の本質』ではどのようなことが述

        • 組織はメンタルモデルで動いている

          個々人の異なるメンタルモデルが組織開発の障害になる。最近、そう思うことが増えた。特に、組織間の利害を調整しつつ、組織として一貫した戦略をもち、もっとも組織のパフォーマンスを最大化する。組織開発をそう定義した場合、上記の仮説が立ち現れる。 組織間の利害を調整するとはどういうことだろうか。たとえば、よくあるのは営業と製造現場でのやりとりである。営業は製造された商品が売れない、と主張し、反対に製造部は営業力がないから売れないと主張する。営業は製品に対する顧客からの細かい要望に丁寧

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        組織開発のレベルを高めるためにぼくが実践してきたこと

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        • これからの人材・組織開発の話をしよう。
          39本
        • 時の流れに漂うエッセイ
          26本
        • Pick Up notes
          75本
        • この世界から“生きづらさ”をなくす
          18本
        • はたらく人の心の省エネマガジン
          7本
        • 茅ヶ崎移住記
          4本

        記事

          なぜ、組織開発はうまくいかないのか~レヴィンの場の理論と河合隼雄の場の論理から考える~

          組織開発にすこしでも関心がある方は、クルト・レヴィン(Kurt Lewin)の場の理論(Field Theory)を知っている読者も多いかもしれない。レヴィンは、社会心理学者であり、グループダイナミクスや組織変革の研究で知られている。彼の場の理論は、主に個々の行動やグループの行動を特定の社会的な状況や「場」の中で理解しようとするものだ。 レヴィンの場の理論は、**B = f(P, E)**の式で表される。「B」は行動(Behavior)を指し、「P」は個人の性格や特性(Pe

          なぜ、組織開発はうまくいかないのか~レヴィンの場の理論と河合隼雄の場の論理から考える~

          組織開発はなぜ難しいのか

          20年と組織開発に携わってきたが、つくづく難しいなあ、と思う。どうすれば、組織は変わっていくのか、機能するのか、どの手法が最善なのか、と頭を悩ませ続ける日々を送っている。が、今だ明瞭な答えは見いだせない。あまりにも難しいせいで、そもそも組織に対して、少なくとも外部のコンサルタントという立場では、変化を起こせないのではないかとも思う。2020年にぼくたちの働き方を変えたのは、組織開発ではなく、新型コロナウイルスだった。あのときほど、無力を感じたことはない。ぼくはなぜ外部コンサル

          組織開発はなぜ難しいのか

          2023年のふりかえりと新年の抱負

          22023年が終わり、2024年が幕をあけた。 noteにおける記事の執筆が、もはや新年の抱負とふりかえりのためだけになされている感が否めない。が、まあ、それもよいだろう。今年も2023年のふりかえりと今年の抱負について書いてみたいと思う。 2023年のふりかえり新居におけるはじめての冬 もう遠い昔のように思えるが、2023年は新居に移り住んで、まだ、半年という時期で、はじめて本格的な冬を迎えたのだった。ぼくが建てた家は性能にこだわった自慢の一軒家だ。冬は晴れていれば、無

          2023年のふりかえりと新年の抱負

          守られない抱負と人生の有限性、あるいは人生からの贈り物について

          はやいもので今年ももう半分が過ぎようとしている。noteの更新もなんだかんだと滞ってしまった。 前回の更新では新年の抱負とともに、健康不安の払拭の必要性について書いた。人間ドックが要検査となりぼくにとってははじめての検査が必要だった。結果は、大きな病気などなかったのだが、あらためて自分の人生をどう生きるか、考えるきっかけとなった。 また、インプットに次ぐインプットという抱負も掲げており、この進捗も良好である。Twitterで #インプット2023 というハッシュタグで都度

          守られない抱負と人生の有限性、あるいは人生からの贈り物について

          2023年、どんな年にしようか。

          また年が明けた。2022年もまた激動の1年だった。毎年の恒例行事。ここに2022年のふりかえりと新年の抱負をまとめておく。 2022年のふりかえり自愛を込めた新年の抱負 昨年の新年の抱負を見返した。 そこに書かれていたのは自愛だった。思い返すと、2021年末は仕事にも、新居の建築にもエネルギーを使い、疲れ切っていたということをあらためて思い出した。 そんな抱負もむなしく、以下に記すように結局は激動の1年を過ごすことになる。 ロシアの特別軍事作戦開始 そんな自愛を決

          2023年、どんな年にしようか。

          変化をゆるめて、忘却にあらがう

          『忘却にあらがう 平成から令和へ』を読んだ。哲学者であり、批評家でもある東浩紀が5年にわたってつづった時評集である。 ぼくは、筆者が創業したゲンロンにもお世話になっており、時折、日々の合間をぬってこうした人文書を読む。普段はバリバリのビジネスパーソンであるため、直接的に仕事に関係ないのだが、ビジネスで凝り固まった頭に時折あたらしい刺激を送り込んでくれる。本書でもそうだった。 先日、以下のエッセイを書いた。ぼくのライフイベントやキャリアにまつわる話だ。 息子が生まれてから

          変化をゆるめて、忘却にあらがう

          ”祭りのあと”のキャリアステージ

          noteで以前、家を建てる話をしてきた。茅ヶ崎移住記のマガジンである。 工務店に問い合わせをしてから1年半、今年の5月末に竣工した。一生賃貸派だったぼくが、住宅性能に力を入れ二世帯という選択をし、多額の住宅ローンを組んだことは大きなライフイベントであった。 さらに、注文住宅は建設時がもっともリスキーで、その間に施主にもしものことがあっても団信は適用されない。そういう意味で、無事に家が建って肩を撫で下ろしている。 明確に大きなライフイベントのひとつが終わったのである。

          ”祭りのあと”のキャリアステージ

          人的資本経営にたちはだかるふたつの障害とは

          人的資本経営がますますトレンドになりつつある。ぼくも以前から着目していたテーマである。所属組織の公式noteでもそのことは書いた。 ダブついた財務資本を人的資本に投資し、よりイノベーションを起こすことが重要だ。ぼくが現場をまわってみても、各社、人的資本経営に向けて着実に動き出しているように思う。一方で人的資本経営にはいまだ遠い現在地にいる企業がほとんであることも感じている。この記事では、人的資本経営実践の現在地と今後求められるだろうことを書いていく。 人的資本経営に向けた

          人的資本経営にたちはだかるふたつの障害とは

          ホワイトすぎて離職?時代に組織開発はどうあるべきか

          コロナ禍の影響だからだろうか。新入社員の傾向が昨年と比べて大きく変わっているように思える。どう変わっているのだろうか。それは、以下の記事でも述べられている。 ホワイトで、働きやすい企業に就職した人たちが不安を感じており、離職するケースが増えているのだという。その不安は、社会活動経験が多い人ほど高まるという。この「ぬるま湯」のなかにいて、自分は先々大丈夫だろうかという不安なのかもしれない。 ぼくが従事している組織開発の根底には「人間尊重の価値観」があり、働くひとたちをどのよ

          ホワイトすぎて離職?時代に組織開発はどうあるべきか

          人事評価の季節に心掛けたいマインドセット。他者比較でおこなう「相対評価」と過去の自分比較でおこなう「絶対評価」に寄せて。

          新しい出会いと別れが訪れる、どちらかというとストレスフルな春という季節に、もうひとつ大きなイベントがやってくる。人事評価である。人事評価は半年、長ければ1年間という自分の働きに対する通信簿がつくという意味で大切なイベントである。 この大切なイベントである人事評価は、一方ですこぶる人気がない。また、人事評価がやってくるのか、と肩を落としている読者もすくなくないのではないだろうか。上司からどんな評価をつけられるのか、とビクビクしている人さえいるかもしれない。 ぼくがこの記事で

          人事評価の季節に心掛けたいマインドセット。他者比較でおこなう「相対評価」と過去の自分比較でおこなう「絶対評価」に寄せて。

          防衛機制の操り人形としてぼくたちは生きている

          今年も早いもので3ヶ月が経つ。1年の4分の1がもうすでに過ぎ去ったと思うと、時の流れの速さに驚嘆する。「気づいたときには後悔しか残らなかった」そんな人生を送らないように気をつけていきたい。 とはいえ、ぼくがぼくらしくあるために、悔いが残る人生にならないようにするために打ち立てた新年の抱負はさっそく反故にされそうである。ぼくの抱負は、「もう少し自分のために生きる」であった。より自分自身のために生きて、あまり負荷をかけない一年にするつもりであったが、すでに自律神経を失調気味であ

          防衛機制の操り人形としてぼくたちは生きている

          『マネージャーの実像』と組織開発、13のジレンマを超えて

          はやいもので本格的にマネジメントに従事しはじめて4年の月日が経つ。ぼくが最初にマネジメントを経験したのは27歳の頃だったが、部下は3名で小さな営業所の所長として仕事をしていた。今では、教育および人事評価サービスの責任者を務めつつ、コンサルタントの長としてマネジメントをおこなっており、責任領域は約10年前と比べて格段に大きくなった。 4年もの歳月が過ぎたということもあり、自身のマネジメントの点検、ふりかえりをしていたところ、ある書籍について思い出した。それはミンツバーグの『マ

          『マネージャーの実像』と組織開発、13のジレンマを超えて