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大雪|2023.12.7-2023.12.21

日々の食卓、食卓での会話、食材やレストラン、食に関する本や映画、イベントなど、食にまつわることだけ書く日記のような「食雑記」。節気毎に更新。

12月7日(木) いつもの食卓に友人夫妻を招く 

夕食に、ご近所の友人夫妻を食卓に招く。料理は私が担当する。春菊と柿のサラダ、蕪の丸ごと焼き、豚スペアリブと玉葱の煮込み、ブロッコリーのオレキエッテ、手づくり苺アイスといただいた苺。

12月12日(火) いつもの料理を友人の台所でつくる

午後から東京。久しぶりに友人宅に泊まらせてもらう。居心地のいい友人の家でゆっくりおしゃべりをしたくて、ワインを持っていくから、一緒に料理つくって食べない?と提案する。せっかくだから普段つくりにくいものをつくっていいよ、と言われたけど、今回はおしゃべりがメインだし、考えなくてもできるもの、と結局いつもつくっているような料理をつくる。とはいえ、いつもの料理でも、人の家の台所でつくると、何かしら発見がある。巨大なフライパンは、焼くだけ料理が好きな私にとっては実は相性の良い道具なのかもとか、自分が当たり前だと思っているひと手間は、意外と人はしていないのかも、とか。自分の台所以外で料理をしたのは、ほぼ半年ぶりだけど、勝手に料理をつくらせてくれる寛大な友人のおかげで、ホーム以外で料理をする面白さを、少し思い出せた。

12月13日(水) 和食展

友人が用意してくれた美味しい朝食と楽しいおしゃべりに後ろ髪をひかれつつ、上野へ。国立科学博物館の「和食展」を観に行く。私にとっての一番の発見は、レプリカや標本というものの価値を見直したこと。食に関しては、とにかく実物至上主義だったけど、なかなか実物を見るのが難しいものというは実際あって、レプリカや標本だから見せられるというのはあるなと、実感した。
例えば、稲の成長の過程とかは、毎月田んぼに通えば、少しずつ成長していく、今このときの姿の実物を見ることできるだろう。ただ、当たり前だけど、3ヶ月目、4ヶ月目、5ヶ月目を並べてみることはできない。しかし、プラスティネーションで保存した稲なら並べてみることができる。

大根の品種展示もそう。全国各地の品種の大根を実物で比較しようとしたら大変で、レプリカだからこそ、品種の圧倒的多様さを示すことができる。また、野生キノコについては、そもそも見たことがないものを見つけたり、同定することを目的とするならば、レプリカや標本といった立体物を見比べるのは、役に立つだろうと思った。

あと、面白かったのは、奈良時代の長屋王の食卓の再現の中に、あきらかに水キムチと思われる料理があったこと、江戸時代の料理で、長崎がんもどき大根という切り干しを揚げたもの、あと式包丁という、食材に触れず、包丁と箸だけで魚などを捌いて、美しく盛り付ける技術などなど。次の予定が迫っていて、後半の時代の料理の再現展示は、さらっとしか見れなかったけど、じっくり見たらいろいろ発見はあったと思う。もったいない。

12月15日(金) まるはのカツ丼

午前中から堺で仕事だったので、昼食は久しぶりにまるはのカツ丼を食べに行く。座れた席からは、店主の一挙手一投足が全部見える特等席で、待っている間、堪能させてもらう。フライヤーに火口2つと炊飯器。カツが揚がり、切られ、フライパンに入り、卵が飛び込み、丼に御飯が盛られ、カツと卵が丼の御飯と出会い、お客の前にやってくる。その一連の流れを、店主と奥さんが支えてるという感じ、に見える。相変わらず、とても美味しい。大好きな味。

12月17日(日) 大雪の買い出し

恋人が自治会のクリスマス会のお手伝いに駆り出されたので、ひとりでスマイル阪神買い出し。旬島は右が黒豆、左が青菜わさわさ。冬の青菜の山は、もうすっかり慣れてしまったけど、北海道ならありえない。
ひとりなので気持ちが自由になって、好きなものをポンポンとカゴに放り込む。初物のサボイキャベツ、真っ白で大きなカリフラワー、味くらべしたくなってシークワーサーとライム、前回はまだ高いと却下された菊芋、初めて知った伽耶の実。柚子は、端から生産者ごとに匂いを嗅いで、香りの強いものを探す。初めて、ちょっとシナモンのような香りが混じっている柚子があって、香りにも、強い弱いだけじゃなくて種類があるんだと、当然のことに気づく。家に頂いた柚子がたくさんあったことを思い出して、あんなに時間をかけたのに、結局買わずじまいだったけど。

12月19日(火) ブロッコリー v.s.カリフラワー

サラダで食べたカリフラワーの残りが半分あったので、パスタのソースにする。ブロッコリーのパスタは、もう人生で一番たくさんつくっている料理だと思うけど、カリフラワーのパスタはつくったことがない。ブロッコリーとカリフラワー。形は似ているけれど、食感は全然違って、味も違う。とりあえず、いつものブロッコリーのパスタと同じ作りかたで、つくってみる。茹で鍋でパスタと一緒に茹でて、パスタより少し早めに取りだして、フライパンで潰し、火をとめてイタリア魚醤をちょちょっとたらし、パルミジャーノをすりおろして、パスタと混ぜる。

恋人は「ここまで煮てしまうとほとんど同じだな」と言っていたけど、やはりもともとの味が淡白だし、満足感は結構違う。友人がこのカリフラワーのパスタをよくつくっていたけど、ワンパンでやっていた。もしかしたら、茹で汁にとけ出る微かな味さえも、パスタやソースで回収することが美味しさの秘訣なのか。ブロッコリーとカリフラワー、植物として見たときに、どこが一緒で、どこが違うのか。それを理解した上で、それぞれに同じ調理をすると、どういう味が引き出されるのか、実験してみたい。



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