見出し画像

「経済的自由」は、地に足のついた取り組みから。

「投資」というとどんなイメージをお持ちですか?
すでに取り組んでいるよという方。あるいは、なんとなく二の足を踏んでいる方もいらっしゃるかもしれません。

私自身は、スキルを磨いて自ら稼いでいくことと得たお金を増やしていくことは、自立/自立した人生の選択肢を増やすアクションの両輪だと思っているので、自己投資以外の「投資」もかれこれ10年以上、少しづつ学んできました。

本業を大切にしながらお金を増やすことを考えたとき、もっとも始めやすく続けやすい方法が「インデックス投資」。これは様々な本にも書かれていることですし、私自身(個別株やFXでの痛い経験もあって(苦笑))実感もしているところです。

さて、今回ご紹介するのは、私が昨年読んだ本の中でもっとも印象に残った「FIRE 最強の早期リタイア術――最速でお金から自由になれる究極メソッド」(クリスティー・シェン、ブライス・リャン著、ダイヤモンド社)です。

「経済的に自由になる」というのは、不労所得で生活費をまかなうことができる状態を指すものです。世の中にはいろいろな方法があると思いますが、この本は「インデックス投資」からのリターンでFIREを達成した方の方法論と自叙伝です。

こちらの本では、投資資金を貯めるまでの行動から、インデックス投資のポートフォリオの組み方、暴落時の乗り越え方、永続的なリスク回避の方法、FIRE後の生活についてまで、網羅的に語られています。

「投資はリスクが怖いしね…」
「経済的自由なんて、手が届かない世界…」
「FIREしたら生活に張り合いがなくなるのでは…」
というような不安や疑問にも、真正面から答えがとんでくるような説明が並びます。

特に印象的だったのは、以下の3点。
(1)「数学的に再現性が高いアプローチ」
(2)暴落時(危機)の対応のリアルと、そのリスク回避の方法論が秀逸
(3)欠乏マインドは貯蓄には有効だが、その後はフリーダムマインドが大事

(1)については、現代ポートフォリオ理論や4%ルールなど、経済学的な理論や統計を引き合いにだしながら、負けにくい「インデックス投資」がどのようなものかが具体的に説明されています。

そして(2)のように、暴落時の対応が著者の心理状況を含めてリアルに書かれている点が私にとってバイブルになりそうだな、という予感がしています。

もちろん、他の投資の本も、暴落時の対応としてリバランシングなどの方法を紹介しているのですが、この本はとても当事者的なのです。つまり、心の揺れ動きを含めて、危機にどう対応したかが書かれているのです。

投資は予め決めたルールに従って淡々と進めるのが肝心だったりして、メンタルが成否を分けたりするわけなのですが、こういった体験談と切り抜け方は、実際に投資を始めたときに心を強く持つのに役立つな、と思いました。

(3)については、著者は貧しい幼少期を過ごしており、時間と健康を犠牲にしてでもお金を稼ぐ「欠乏マインド」があり、これが貯蓄する上では有利にはたらいた、ということが書かれています。

ただ、欠乏マインドの問題は、もはや金銭問題が生存の危機に直結しないときでも、オフにするスイッチがなく、「ためこみマインド」に成り下がってしまう。だから、生活のニーズが満たされたあとは、自分の時間を取り戻す「フリーダムマインド」にシフトする意識をもつことが大切、ということでした。

私も、かつて売上至上主義での無理がたたり(?!)体調を崩した経験がありましたので、欠乏マインドからの欲望をオフにするスイッチがない、というのはとても耳が痛かったです。

ところで、日本においては労働は美徳という価値観が強く、FIREに懐疑的な意見もあるかもしれません。でも今は、老後2000万円問題などの年金問題もありますし、国の制度としてもNISAやiDeCoなど投資による資産形成を後押ししています。

FIREするかどうか(あるいはFIREできるかどうか)はともかく、勤労所得を得ることと並行して、資産形成についても学んでいく必要性が増しているのを感じます。

本書は、必ずしも労働しない人生を目指すことを推奨しているわけではありません。むしろ、収入の範囲で賢くつつましく暮らすことや、資産形成とは意義を感じる活動を選ぶ自由を得ることだということを改めて気づかせてくれました。そういった意味でFIREのイメージとは裏腹に、とても地に足のついた考え方かもしれない、というのが率直な感想です。

この本の著者はカナダの方なので、もしかしたら、この本を読んだ後には、日本のインデックス投資事情ってどうなの?日本で始めるならどうすればいいの?ということが気になるかもしれませんね。
そのあたりの書籍はまた次回ご紹介したいと思います!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?