シー・セッド その名を暴け
2人の女性記者が映画プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインの性暴力事件と隠蔽を暴く話。
やや難しい映画でしたが観て良かったです。
娯楽作にせず、極力事実を描くという記者や被害者に寄り添った作り。
基本的に登場人物や会社名は実名で、被害にあった女優も本人役で出演されてます。
徹底的に悪を叩くという姿勢と、1人の権力者によって多くの女性の人生が狂わされた悲劇を忘れないという覚悟を感じました。
冒頭ではトランプ前大統領のゴシップネタもありちょっとびっくり。アメリカでは賛否ありそうですね。
主人公の2人が家庭ではごく普通の母親で、1人は序盤で産後うつに苦しむなど、人として決して超人ではなかったことが分かります。
だからこそ同じ女性として、被害者の痛みを見過ごすことが出来なかったのかもしれません。
ハーヴェイワインスタインが行為を迫る肉声テープは胸糞。
立場を利用して弱者を陥れるというまさに修羅、畜生ですね。
また被害者が声を上げても相手にされなかったり、示談金で口止めされたりと、弱者を守るための法が結果的に加害者側に味方していたことも明らかになります。
一時的な感情で犯罪に手を染めたのでなく、弁護士を使って巧妙に事件を隠蔽してきた加害者の狡猾さにもゾッとする。
一体どんな感情で生きてたんでしょう。想像もしたくありません。
法の番人である弁護士も金をもらって彼に味方してたし。仕事選べよって感じ。
その分ミーガンが敵側の弁護士をタジタジにさせるシーンは爽快でした。
また、「虐待が普通の事だと子供達に思ってほしくない」
と立ち上がる被害者の姿にはグッときます。
少なくとも邦画ではここまでリアルに出来ないでしょう。
せいぜい基にしたフィクションが良いところ。
性被害に遭った時、声を上げる勇気を持って欲しいってゆーのをなんかどこかの相談センターの人が言ってるのを見たことがありますが、実際被害に遭われた方には相当酷だと思います。
今作でも彼氏や家族にも相談出来なかったっていう人が出てくるので、心の傷は想像だに出来ません。
それでも相談する勇気を持って欲しいとか、無関係な人たちも普段から周りの人を気にかけようとか色々自分の考えを書こうとしましたが、ちょっと難しいですね。
どれも安っぽくなってしまうので、、。
ただ言えるのは、助けてくれる人は絶対いること。それだけは信じていい。
話が逸れました。
ぶっちゃけシー・セッド、映画作品として楽しめるかというとあんまりです。
テンポよく進みますが、専門用語や多くの名前が出てきて覚えづらかったり。
結構置いてけぼり食らいます。
終盤はそこそこ熱い展開でしたが、それまでがちょっと退屈かな、という感じ。真面目なつくりなのはいいんですが。
アメリカでもあまりヒットはしていないようです。
映画ですのでもう少し感情に訴えかける場面があってもいいかなとは思いました。
ただ観ている側の正義感を思い出させてくれる作品ではあります。
あと肝心の邦題「その名を暴け」は意味不明。
暴くも何も敵は冒頭から明らかですし、今作は性被害者の発見と記事に出す為の聞き取り及び説得がメインの話なので。
タイトル付けた人はバカなのでしょうか?
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?