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ゲノムテクノロジーでFemTechはどう変わるか?2020年9月 Digital Health輪読会まとめ

ライフタイムベンチャーズでは、業界の有志関係者との共催で投資テーマに関わる1ヶ月のニュース記事をまとめ読みし、気になるトピックについて議論するニュース輪読会を実施しています。

本稿では2020.9.30に実施したDigital Health(デジタルテクノロジーを活用した医療・介護・健康関連サービス)に関する輪読会での議論をまとめました。

▼全記事をご覧になりたい方はこちら(Scrapboxが開きます)

1.ゲノムテクノロジーでFemTechはどう変わるか?

 ゲノムテクノロジーを用いた遺伝学的検査を開発・臨床実装するVarinosが第三者割当増資として3億円の資金調達を実施したと発表しました。
 Varinosは、診断や治療方針の決定にゲノム情報を利用するゲノム医療の実現化を目指すスタートアップです。現在は生殖医療および産婦人科領域を中心に女性のヘルスケアを支える新規の臨床検査を開発・提供しています。

輪読会では、以下のようなコメントがありました。

不妊治療の保険適用の話などもあり、今後ますます盛り上がるか?
とはいえ、現状、保険外診療にほぼなっていることもあり、日本のものは全般的にエビデンスが怪しいのが課題。
メンタルヘルスの領域でも類似の議論はある。
ライフイベントに直結するので、保険会社は注目している領域である。
グローバルでエビデンスがあっても、日本の学会で認知がない臨床技術は広まらない問題。

2.AI医療機器のその後を考える

 カルディオインテリジェンスはANRIが運営する4号ファンドから、シードラウンドで3500万円の資金調達を実施したことを発表しました。
カルディオインテリジェンスが開発した心電図のAI自動診断支援システムは、ディープラーニングを活用し、不整脈の一種である心房細動を専門医並みの精度で予測・発見するシステムです。

輪読会では、以下のようなコメントがありました。

「Apple Watch」も家庭用医療機器として国内承認され、循環器まわりのRemote Patient Monitoring / AI診断は乱立している。
AI医療機器もフェイズが進んできていて「AIで何をするのか」というワークフローにも立ち入っていく必要がある
AIビジネスをするよりも、D2Dオンライン診療の提供を通じてワークフローの最適化を行っている印象である。

3.オンライン薬局の現状はいかに?

 オンライン薬局事業「minacolor」を展開するミナカラが、第三者割当増資の実施し、3億円の資金を調達したと発表しました。これまでの累計調達額は10億円となります。
 ミナカラはオフライン薬局と同様に、チャットなどを通じて薬剤師の持つ専門知識から自分の症状にあった薬を知り、インターネットから直接購入することができるオンライン薬局を展開しています。服薬管理も可能で、提供している薬品点数は800SKU (Stock Keeping Unit(ストック・キーピング・ユニット)の略で、受発注・在庫管理を行う場合の単位のこと。)にのぼります。

輪読会では、以下のようなコメントがありました。

COVID-19を契機に伸びつつあるオンライン診療&オンライン服薬指導
医療機関のワークフローの煩雑さや処方薬のデリバリーに関するリードタイムは大きな課題である
既存の外来診療があるクリニックでは対応が難しく、バーチャルケアありきのクリニック自体が増えていくか

4.病院グループからの資金調達を実施!

 病理AIソリューション「PidPort」を運営するメドメイン株式会社が、複数の病院グループ、ベンチャーキャピタル、事業会社及び個人投資家を引受先とする第三者割当増資を実施し、約11億円の資金調達を実施しました。これにより、資金調達額は累計約12億円になります。 

輪読会では、以下のようなコメントがありました。

複数の病院グループを含む、しかもSPV(Special Purpose Vehicl:特別目的事業体)組成しての出資という日本では珍しいスキームによる出資。
米国のKaiser Permanente VenturesやMayo Venturesのような病院CVCの亜種とし、日本でも発展していくか。
このファイナンスを組成できたのは元ディー・エヌ・エーCFOの浅子氏、同じくディー・エヌ・エー&デジタルガレージ出身者であるHike Venturesという強力なファイナンス専門家がいたことも成功要因か。

来月もDIgital Health領域の起業家/新規事業を検討する皆さんにとって有益な情報が提供できるよう、引き続き開催していきます!

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