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「アー・ユー・ハッピー?」

メジャーリーガー大谷選手の側近だった人が起こしたニュースを見ながら、ふと、永ちゃんこと矢沢永吉さんの著書「アー・ユー・ハッピー?」を思い出した。

2001年に刊行された同著は、それから遡ること23年前の1978年に当時の若者を中心にロングセラーを巻き起こした「成りあがり」の長い期間を経た続編みたいな内容で、言わずと知れた糸井重里さんが永ちゃんの語りを永ちゃんらしく書き起こした共著ともいえる一冊。成り上がっていった矢沢永吉のその後、長く付き合い信頼していた側近の裏切り、個人「矢沢」としてのショック、公人「矢沢」としてのパフォーマンス、その葛藤や気持ちの整理など、永ちゃん節で綴られた内容だった。

スポーツ選手やアーティストに限らず、ビジネスの世界でも、大きな成果を成し遂げ、それに見合う報酬を手にした人の周りにはいろんな人が近寄ってくるようだ。そして元々いた側近も目の当たりで見る環境の変化から自分を見失ったり、それを見透かす悪意のトラップに陥ってしまったりというのはこれまでもニュース等で知ったりする。周りにもほんの小さな出来事はあったりする。映画や昔話や落語でも聞いたりする。

永ちゃんのかつての側近にもカジノがあった。

ギャンブル、投資、アルコール、ニコチン、ドラック、セックス人間の脳内を冒す可能性を潜む快楽はいくつもあって、度を越し歪み依存に陥り抜け出せず、隠そうとして嘘が嘘を重ねて逃げ場をなくす。貧困でない人が万引きを繰り返したり、嫁子供がいるというのに痴漢や盗撮がやめられなかったりというのも何かの依存にみえる。家族や仲間、周囲にも迷惑や被害を与えるという意識が薄れ進行してゆく。

大谷選手の会見を見て感じたことは、人間性から窺える言葉のチョイスだった。
相当悩んだだろうし、先がわからない不安もあったのではないか。
裏切られた、とか、許せない、とか、そんな言葉もあるのかなと思ったが「彼は過った」と言った。そう、水原通訳は過ったのだ。

アー・ユー・ハッピー?

余談だが、昨年まで在籍していたエンゼルス本拠地でのオープン戦。
ネガティブな騒動の渦中でなるが、球団側の演出やファン、元チームメイトの迎え入れは素敵だなあ、と感じた。

渦中の中、日本であればどうだっただろうか、とも思った。全てが綺麗事ではない。日本でもアメリカでも叩く人やお金管理がだらしない(論外に思う)、きな臭いと煽る同調も目にするが、野球を見ていたら、大谷を見ていたら、想像するストイックな姿勢や人格から、エンゼルスファンと同じ思いになるのではないかと感じた。

夢を叶える方法はふたつ。
自分で叶えるか、誰かに託すか。
日常や仕事の中にも夢はある。

スポーツやエンタテインメントの世界は名人が成す技。多くの人間が自分で夢を叶えることはできない。だから魅了できるのだと思う。

日本もメジャーも2024年シーズンがいよいよ始まる。

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