見出し画像

次の一手-6

企業は時代とともに新陳代謝しなくてはならない。
50代にならなければ社長になれない時代はもう過去の話だ。
企業は20代から始め、何度かの失敗を繰り返しながら30代後半では確固たる地位を築かなくてはならない。

●経営に必要な学習

多くの場合、起業することは比較的容易である。
なぜなら、それまでの評価されるべき経歴など持ち合わせていないからだ。
つまり「未知数の可能性」だけで起業することはできる。
企業に必要な知識や手続きはネットを使えば簡単に知ることができる。
株式会社を起こすのにもごく低資本で可能な時代になった。

では起業した会社のどれほどの数が生き残るのだろう?
創業して3年以内で70%もの企業は倒産したり解散に追い込まれる。
それはつまり彼らは「経営」に対する学習を怠ったからだろう。
周りに小さな会社が乱立していて、生き残っている会社とそうでない会社の違いを良く観察してみれば良い。
会社を経営するのに何が必要なのだろう。
私たちが起業するとき、その学習するべきことにもっと目を向けるべきだろう。

2020年までののスタートアップ企業はITやデジタルの分野が4割以上。サービス系が35%程度。かつての加工技術系のスタートアップはごく僅かになっている。
問題は、仕入額が少なく利益幅の広い業種が多くなっていることで、歴史が短くノウハウや技術の蓄積が少なくなっていることだろう。
しかも短期間に技術や業態が変容し事業が大きくなる前に違った事業に移り変わる可能性がある。

しかし、事業体である限り経営が健全であるためには一定の条件をクリアしなくてはならない。

●スタートアップの弱点

かつての株式会社、そして乱立している合同会社であったとしても「経営の基本」はこれまでの指標を踏襲している。
しかし、今後出現していく事業体にはこれまでの指標は当てはまらなくなる。
つまり事業が拡大することで安定し強い事業体になるとは限らないからだ。
これからの事業組織ほど各分野ごとの知識や技能が必要になる時代はない。
「何とはなしに書類を処理していた」とか
「業績が上がらなくても地位を確保できた」では済まなくなる。
そういう人材はネットワークから外れ、仕事そのものが割り振られなくなる。
専門性を持って実際に数字が上がることに貢献出来なければ居場所がなくなる。
これほど学習が必要な時代はないだろう。

しかし、ITやデジタル系のスタートアップには人的資本の割合が多くを占め、実際の仕入れやその他の経費について軽視する傾向がある。
起業するときに返済義務のある「融資」ではなく、返済義務のない「投資」を資本とする場合が多く、そのことも企業の財務管理を軽視する傾向がある。
しかし、どんな企業においても「財務」は経営の要であり、仕入れが少なくても巨額の投資を受けた事業であればあるほど思わぬ支出が発生する。

若くスタートアップとして起業した経営者は「財務」に関する知識が乏しく、財務管理の専門家に委託することが多いが、財務状況が悪化していることに気づかない。
どんなに巨額の投資を受けて興した事業であっても「財務管理」を怠れば容易に倒産する。「財務」こそ経験を積み学習しなくてはならない知識であると言える。

●経営者は最初から経営者であるわけではない

経営者は多くの経験を積みながら育ってゆく。
事業を失敗するリスクは毎年のように襲いかかり、それらをどのようにして乗り越えて来たかという経験ほど貴重で重要な学習はない。
経営者は複合的で多くの学習を積まなければならない。
またそれぞれの事象について深く理解しなくてはならない。
企業の全体像を常に把握し、潜んでいるリスクに気づき、近い将来と遠い将来何が起こるかを予測できなくてはならない。
その予測の多くは経験から導き出される。
経営者になってすぐに成功を勝ち取る人物もいないわけではない。
しかし、彼らが若くして成功し、成功を持続できたのは、最初にどんな人材が自分をサポートして欠点を補ってくれるかを知った上で、
彼らにサポートしてもらっている間に自分自身が彼らに匹敵する知恵を学習しながら身につける努力をしたからに他ならない。
時代の変化は学習の速度を加速させている。それについて行かなければ事業を拡大することはできない。
全てを完璧に学習することは不可能だろう。
自分が手がけている事業に必要な知識を選択し効率よく学習する必要がある。
やがて、それに気づき、今すぐに学習を始めている経営者とそうでない経営者の間に大きな差が生まれようとしている。
だから、今日から学ぶことがある。
過去の学びはもちろん、明日からの学びを今日から始めなくてはならない。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?