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人生の結論 小池一夫 【要約・解説】

おはようございます。本日は小池一夫さんの著書「人生の結論」について取り上げさせていただきます。小池さんは漫画作者であり小説家でもある御高名な方ですが、近年では八十歳を越えて始められたTwitter でご活躍で有名です。その豊富な人生経験から話される言葉一つ一つが大きな学びと共感を呼びフォローワー数が40万人を超えるということで話題となりました。2019年に残念ながらお亡くなりになられましたが、本書は小池さんのお考えになる「成熟した大人」をテーマに書かれています。今回は本書を読んで学んだこと、そして自分自身が思う成熟した大人の人間関係に必要だと思うことついて書いていこうと思います。


1. 自分自身が幸福でいること

 本書には"自分の犠牲の上に成り立つ一の幸せの数よりも、自分が幸せになることによって人を幸せにできる数の方がずっと多い"とあります。

人間の幸せとはお金やモノといった利己的で物質的なことで満たされるには限界があり、他者に貢献する中に本当の幸福があるとアドラー心理学でも言われています。

他者に貢献し幸せにするには、まず自分自身の心理的な安全性を確保して、余裕のある状況を作ることが必要です。成熟した大人とは余裕のある人だと思います。

 仕事については“悠々として急げ”とあります。時間ばかり掛けてダラダラとするのではなく、常に物事の先を見通して動き時間を創る。時間の余裕は心の余裕であり成熟した大人とはその余裕の上で他者に貢献できる人とも言えそうです。

2. Give and Takeな関係であること

 他者に対して例えば社会的に立場の弱い人に自己犠牲の信念のもと、お金や労力を注ぐという姿勢は一見すると美談のようにも捉えられますが、こういった関係は長続きしません。

事業やお店の経営についても、いかに崇高な理念の基であってもお客さんを思うあまり自分の身を削ってばかりいては続きません。そもそも経営が継続できなければ利用する人の幸せに貢献することはできないのです。

 感情についても同じことが言えます。本書には“あなたを大切にしてくれない人を、あなたが大切にする必要はない”とあります。成熟した大人の関係とはgiveとtakeのバランスがいかに上手くとれるか。日本古来のお互い様という感覚は非常に大切ではないかと思います。

3. 常に上機嫌でいる 怒りをコントロールできること

 怒りとはつまり余裕のなさから生まれ、弱いからこそ人を威嚇するのです。人間同士のコミュニケーションにおいてことばを交わすことは、手間と時間こそかかるが人間本来の崇高な方法です。怒りからの暴言や暴力というのはそれらを省略した、短絡的であり低能な行為です。

簡単に怒りを表出してはいけません。感情的には怒っていてもドアは静かに閉めるのが成熟した大人です。

 常に機嫌よくいることは先にあげた心理的な安全性にも大きく関わります。機嫌の悪い人は破壊力があるのです。

仕事において上司の立場にある者が、怒りの感情によって組織を収めようとする。個人的な感情によって態度を変える。客観的にみて一貫性のない行動をとりつづける。このような態度は部下を従順な奴隷とする名ばかりの組織こそつくれるが、本来望まれる良好で生産的なチーム組織を創ることは出来ません。 

4. 聞く力がある

成熟した大人は“他人は自分が思うほどに自分に興味はない”ことを自覚しています。したがって、自分話を永遠とするような幼稚なコミュニケーションはとりません。ましてや相手の話を遮って頭ごなしに否定したり自分の意見を押し付けたりはしません。

相手の意見を汲みとりつつ、自分の意見を伝えることが出来き、またはお互い意図にも沿った第三案の提示ができる。成熟した大人とはこういった聞く力がある人ともいえるのではないでしょうか。

5. 逞しいアイデンティティをもつこと

 成熟した大人は自分にとってのより所、長所をきちんと自覚しています。そしてその逞しいアイデンティティを発揮するべき場面の見極めにも長けています。

自分には何も長所がないと思われている方もいるかもしれません。そんな方はまずは一番身近な家族を大切にすることを意識してみてください。一人の人間を大切にできるという能力は立派なアイデンティティになります。


 以上のことはほんの一部にすぎず、本書には人生の格言にしたくなることばが溢れており、今後自分が何か壁に出くわした際は何度も読み返す事になるでしょう。みなさんも是非、一度手にして読んだうえで成熟した大人について考えてはみてはいかがでしょうか。





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