2023.10.12
高校の友達とディズニーランドに行くはずだった日。予定を合わせて平日に休みを取り、計画を立てていたが、数日前にメンバーの女の子の一人から、その日急遽休めなくなったと連絡が入った。やむなく中止になったが、せっかくだからと中目黒で昼から飲むことになった。

そんなやり取りが行われていたグループLINEで、僕はほぼ反応をせずに、みんなの出方を伺っていた。ディズニーランドにそこまで思い入れがないのもあったが、僕なんかがLINEしても仕方ないだろうという気持ちが一番大きかった。そして今日。中目黒で店を4軒はしごして、だいぶ酒も進んだ頃にグループLINEの話になった。後輩の女の子に、僕からの反応がなくて心配だったと言われたので、素直に自分なんかがLINEしても仕方ないと思った旨を伝えると「みんな会いたいと思って呼んでるんだからそんなこと言わないでください」と嗜められた。それがすごく嬉しかった。

20代の前半まで卑屈な毎日を過ごしていた自分は、ゲイとして生きる道を見つけたことでやっと自己肯定ができた。でも、カミングアウトせずに付き合いを続けている高校の友達の前では、未だに10代の頃の卑屈な自分に戻ってしまう。期待は、ともすると悲しみや怒りに変わる感情だ。自分が誰かにとって大切な存在なのだと信じれば信じるほど、裏切られた時の悲しみが大きくなる。だから、いつの間にか自分の存在を自ら軽く扱ったり、下手に出たりする癖が付いていた。

「お前はそういうとこあるよ、絶対自分から誘わないじゃん」と友達に言われる。たしかに自分から彼らを誘おうと考えたこともなかった。大好きなのに、大好きだからこそ、普段と違うことをした何かの拍子に関係が壊れてしまうのが怖かったのだと思う。

でも、もう人生の半分を一緒に過ごした友達である。あえて距離を取るような振る舞いをする自分の態度が恥ずかしくなってきた。彼らにも、そろそろカミングアウトをするタイミングなのかもしれない。

2023.10.13
朝。頭が痛い。目覚めた瞬間、今日が平日だという事実に気付いて不安が心を支配する。昨夜買って半分減ったポカリスエットの残りを一気に飲み干して、体調の回復を祈りながらギリギリの時間まで眠ることにした。

深酒をした次の日は脳のニューロンが正常に働いていない気がする。神経がきちんと伝達されていかないから、一つ一つの動作がもたつき、全体として一連の動きに何倍も時間がかかるのだ。

恐るべきことに、夜には昨日酒を飲んだ友達とまた酒を飲む約束があった。一緒にサッカーを観ようと誘われ、正常な状態なら間違いなく断るところ、酒を飲んだ自分は快諾していた。どうにか仕事を終わらせて新宿へ向かうと、友人二人がぐったりとした様子で居酒屋のテレビをぼーっと眺めていた。流石に昨日の酒がだいぶ堪えているらしい。すっかり牙を抜かれて大人しくしている姿が、なんだかすごく可愛くて、愛しく思えた。