23.09.10 西武秩父

2023.09.10
フェスに行くために早起きして西武秩父駅へ向かう。池袋から追加料金を払ってLaviewという特急に乗って行くことにした。駅ナカのおにぎり屋で好きなおにぎりを2つ選べるセットを買い、車両に乗り込んだ。

Laviewは今までに乗ったどの電車よりも綺麗で空いていた。席は1号車の先頭。早速テーブルを出しておにぎりを食べる。選んだのは「鳥ごぼう」と「梅ちりめん」。おかずが「鳥の唐揚げ」と「漬け物」だったので鳥被りと漬物被りを起こしていた。美味しいから無問題だが。

途中、隣の席に男性が座った。車内はだいぶ空いていた気がするが、席を選択しないと詰めるように予約されるシステムなのか、と思う。西武秩父駅の一つ前の「飯能」という駅に着くと進行方向が真逆に変わり、箱根登山鉄道を思い出す。「席を回転させる際は周囲のお客様のご迷惑にならないように」といったアナウンスがあり、横に座っていたカップルが席をどうするか話し合った挙句、グルッと回転させていた。僕は隣の客がいるので回転させずにいた。

すると、車掌さんが話しかけてきた。「そちらの席は空席となっているのですが特急券はお持ちですか?」。購入したメールを見ると、僕の席は8号車の1Aだった。1という数字だけを見て1号車に乗っていたのだった。「空席なのでそのままで大丈夫ですよ」という言葉に甘えて、残りの1駅をそのままの席で過ごすことにしたが、隣の男性に申し訳ない気持ちになる。

西武秩父駅からは専用のシャトルバスで会場まで向かう。ちょうどバスが来てたので乗り込むと、もう席はだいぶ埋まっていて、一番後ろの5席のうち真ん中の席が空いていた。とりあえずそこに座ってから、降りるときのことを考える。自分が早く降りないと両隣の4人を待たせることになることに気づき、目的地に到着した途端に急ぎ足で席を立った。

バスを降りて5分ほど歩いて会場に着く。ステージをぐるっと囲むように座席が配置された野外の音楽堂だ。座席の後方は芝生になっていて、そこにレジャーシートを敷いて見ることもできるようになっていた。まだ蒸し暑い気候だけど、解放的でとても気持ちいい。

自分の席は運良くステージ向かって右側の最前列だった。すでにZAZEN BOYSのリハ中だったので席に座ると、なんとキラーチューンの「honnoji」が始まる。向井秀徳が「ずっとずっとずっとずっとずっと待ってる!」とシャウトし終わって、歓声が起きると、マイクを通して「音どうですか?皆さん?」と観客に尋ねる。みんなが拍手すると「OK。これでいきます。」とのこと。PAではなくて観客に聞いてしまうのが粋だなと思う。しばらくすると男性に話しかけられた。どうやら僕の席は一つ隣だったらしい。二度も席を間違えるなんてどうかしてる。

ZAZEN BOYSのライブが終わると、次はカネコアヤノだ。富士宮焼きそばとビールを買って、食べながらリハーサルを見る時間はあまりにも贅沢だった。今日はベースなしの三人編成で椅子に座ってしっとりと歌うスタイルのようだ。本番では大好きな「エメラルド」と「やさしい生活」が歌われた。好きな人に明日会えるだけで嬉しいという気持ちと、もう少しだけ大丈夫になりたいという不安な気持ち、どっちも今の自分の感情にぴったりハマる。そういえば元彼と付き合っている頃もよく聴いたな。

次の七尾旅人は観客に話しかけるスタイルのようだ。リハ中に僕の着ていたINUのTシャツを見て「メシ喰うなだ。懐かしいな。」と独り言のように呟いていた。そして、コロナ禍に作ったという「Wonderful Life」という曲が本当に素晴らしかった。袖から覗いて見ていた向井秀徳が、いつの間にかステージの端まできて踊った後、最後グーサイン決めて帰っていったのも良かった。

最後はサニーデイ•サービス。「TOKYO SUNSET」の歌詞通りに陽が沈んでいき、会場のボルテージがどんどん上がっていく。僕も踊って跳ねまくる。ラストは演者全員で「サマーソルジャー」のカバー。大好きな曲だけどこんな形で聴けると思わなくて幸せではち切れそうだった。

終演後は、また駅に向かうシャトルバスに乗り込む。早めに乗れたので窓際の席に座ると「隣いいですか?」とお兄さんが座ってきた。三人連れのようで、通路を挟んだ席に座った二人の友達とライブの感想を話していた。西武秩父の駅が近づいてくると、僕は降りるときのことを考えてソワソワしていた。隣のお兄さんに気を遣わせないよう、何も気にしていない素振りで窓の外を見ていると、彼は友達二人を先に降ろしたうえで、自分よりも後ろに座った人に通路を譲りながら、その列が途絶えるまで降りなかった。

彼は僕のことを気にして早く降りようとは思わなかったのだな、と考えているとなんだか損な性分をしている気がしてきた。ただ、すぐに自分が今日だけで二回も席を間違えて、迷惑をかけたことを思い出す。同じ穴の狢だった。

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