24.01.06 カーテン

前にリアルした男と久しぶりに会う日。家の近くの居酒屋で飲む約束をしていたので、そのまま家飲みの流れになることを想定し、早起きして少し気合を入れて部屋の掃除をした。

彼は美術館が好きと聞いていたので、六本木のキース・ヘリング展に行くことにした。よくユニクロのTシャツに使われている絵、という印象があるくらいで、腰を据えて観るのは初めてだったが、カミングアウトへの祝福、エイズへの関心のあり方に対する問題提起、など、オープンリーゲイだった彼の絵には、同じゲイとして共感できるものが多くて面白かった。

そこから僕の最寄りまで移動して、行きつけの飲み屋で酒を飲む。ホッピーを頼むと焼酎が8割くらいグラスに注がれて出てくる店だ。二人でそのホッピーを数杯飲み、だいぶ酔った。

一軒目を出ると、案の定家飲みをする流れになり、近所のスーパーでピザや餃子などのつまみを買って帰る。家に着くと、彼は僕の部屋のカーテンの色を褒めてくれた。出来合いではなくて布地から仕立てたものだが、今まで誰かに褒められたことがなかったので、すごく嬉しかった。

テレビをつけて彼をヨギボーに座らせ、買ったご飯を温めて、つまみながら酒を飲む。しばらくすると、彼が腕を回して甘えてきた。そのままいい感じになったはずだったのに、僕は途中で眠ってしまったらしい。彼に「まだ終電間に合いそうだから帰るね」と声をかけられて目覚めた。やってしまったなと思う。起き抜けのボーッとした頭で駅までの道を送った。家に帰り、一人でベッドに入って悶々とする。彼と会えるのを楽しみにしてたはずなのに、よりによってなんで寝るのだと。自分を責めるネガティブな思考が反芻してなかなか寝付けなかった。

翌朝、目が覚めると頭がスッキリして気分がいい。彼への執着心は、もうほとんど消えていた。一晩眠るだけで、大抵の不安や悩みはリセットされてしまう自分の心の単純さが、今日はありがたかった。

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