初めて神激をYouTubeで見たとき、「いちばん人気があるのかなぁ」と感じたのがいもこだった。オーソドックスというか、アイドルっぽいというか。まあ全体的に濃いからね、メンバーが(褒め言葉)。

そこからいろいろ調べて、テレビに出たり、作詞を担当していたり、下ネタキャラだったり、初期メンバーだったりすることを知る。やはり中心メンバーだったか、と。

誤解のないように言っておくと、メンバーはみんな大事な存在で、誰が主役とか脇役とか、そういったことは一切思っていない。ただ、どういうグループなのかを知るうえで、それぞれがどのような活動をして、どんな風に受け入れられているのかは知りたいと思う。それだけのことである。

私はあまのじゃくかつひねくれ者なので、みんなに好かれる部分や、みんながいいと思うものを好きにならないようにしようという性質がある。私は一歩立ち止まり、まずはすべてのメンバーをよく知ろうと考えた。ちょうど激ロックのインタビュー記事がことのさんの頃だったので、すべてのメンバーの記事をすべて読んだ。音楽に対する姿勢が好きで、これはいよいよファンになろうと思った。

幕張のチケットを買った。近場の町田でLIVEがあることを知り、参加した。初めてマトモにTwitterアカウントを動かし、情報収集をした。初めての神激LIVEはわからないことだらけで、心が折れて１・２部参加してチェキ券も使おうとしていたけれど、１部のLIVEだけ見て帰ってきた。LIVEの音に感激し、メンバーとの近さに興奮し、しかし求められているような盛り上がり方ができず、わからず、ここに参加するのは厳しい、と思いTweetをした。

すると、なんとメンバーからいいねがくる。「自分の楽しみ方でいいんだよ」とリプがくる(それはよいこでした。おかげでいま私は神者になれました)。Twitterや今の現場では普通のことなのかもしれない。しかしチョロい私はまんまとつかまり、次の日にはよいこ生誕のチケットを買っていた。

とても穏やかかつ激しい、思いやりに溢れたよいこ生誕を終え、すっかり神激が大好きになっていた。ハコ推しでもいいかなあ、とやっぱりチェキが撮れなかった私は言い訳のように考えていた。それから毎日曲を聴き、MVを見て、しんげきっ！チャンネルを見ながら、みんな好きなんだよなぁ…と推しを決められずにいた。

幕張のLIVEが近づき、何か応援の気持ちを表したいなと思い、何ができるか考えたところ、やっぱり自分は神激の曲が好きで、でも音楽の知識は特にないから、やっぱり得意な「言葉」が自分にできる唯一のことだと思った。とすると、歌詞から感じるものを伝えたいと思った。もちろん、自分には発信力があるわけではないからしょせん自己満なのだけれど、誰かに届いてほしいと思った。メンバーに、そして作詞をしているいもこに届いてほしいと思った。力をもらっていることを伝えたいと思った。

歌詞を改めて考えながら、神激というものが見えてきた。激ロックのインタビューの中で紹介されていた、いもこの「作詞家と言われたいわけではなくて、神激のメッセンジャーとして伝えていきたい」という言葉を尊重しながらも、やはりそうやって人の思いや言葉を束ねられることは、それは才能がなければできないと私は思う。歌詞を書けることではなく、人の気持ちを形にできること、それは人の気持ちが見えなければできないことだし、神激というグループそのものを、神激から見える景色を愛していないとできないことだと思う。だから、すごいと言われたいわけではない、といもこはインタビューに答えていたけれど、大事な才能のひとつであることは間違いなくて、そこには誇りを持ってほしいと思う。

急に話が変わるが、いもこの声も私は好きだ。普段の特徴的な声もそうだが、曲の中で聞こえるソロパートのすべてが口ずさみたくなる力を持った歌声だと私は思う。それは神激みんなに言えることでもあり、それは作曲や編曲の力でもあるとも言えるのだが。そんな中でも、いもこの歌声は唯一無二だ。だからこそ１曲の中で「核」として際立っている。それもまたいもこを推したい理由のひとつである。

これらを踏まえ、幕張前日、「いもこ推しということにしよう」と決心し、しかしどこかで１番は決められないな、と思いながらLIVEを楽しんでいた。そんなLIVE終盤の、いもこMC。
時折つぶやいているが、私は2022年の６月に母を亡くした。57歳だった。ALSという筋肉の動かなくなる病気で、決して治ることのない指定難病だ。まずは言葉が話せなくなり、次に手足が動かなくなった。ひとりで歩けなくなったころに、入院。人工心肺や胃ろうという延命治療をすれば生きられるが、そんな姿になることや、家族に迷惑をかけることを徹底的に拒み、情けない姿を見せたくないという理由で入院中、１度も見舞いを許さなかった。息を引き取るときに病院から呼ばれたときの、別人のようなやせ細った姿は一生忘れることはないだろう。
亡くしてから改めて気づいたことだが、母の言葉は死してなお自分の中で生き続けていて、力をもらっている。だからこそ母のために辞めようという気持ちも、母のために続けようという気持ちもとてもよくわかる。そんな似た境遇もいもこを見てしまう理由のひとつである。

よし、いもこ推しで間違いない！すでに私の気持ちは固まっていた。しかし、その100％の決意を120％のものにする出来事が起こる。
チェキでのこと。変な負担をかけないように、しっかり「初めまして！」と挨拶。名前は？と聞かれ、名乗る。次の瞬間。「Twitterの人だ！やっと会えたー」「歌詞とかから好きになることけっこうあるの？」
マジか。すご。恐れ入りました。

ということで、完全にやられましたとさ。
いもこ推し、爆誕。