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午後のロードショー「グレムリン」


公開 1984年
監督 ジョー・ダンテ
製作総指揮 スティーブン・スピルバーグ
公開当時 ザック・キャリガン(20歳) フィービー・ケイツ(21歳)

中学生の頃に見た記憶があり、ほんわかしたファンタジーだったと思っていら「エイリアン」と「チャイルドプレイ」を合わせたような中々のパニックホラーですね。
グロテスクなシーンもあり、この映画を映画館に見に行った子供はトラウマになったのではないでしょうか。

発明家のランダルはチャイナタウンの骨董屋で不思議な生き物「モグアイ」を息子ビリーへのクリスマスプレゼントとして買うが、モグワイには飼う際、絶対に守らなければならない3つのルールがあった…

発明家のダメおやじランダルは息子ビリーのためにロクに注意事項も聞かずモグアイを購入するのです。
息子ビリーは少年かと思いきや、もう社会人の大人なのですね。

モグワイ飼育の際、絶対に守らなくてはならない3つのルール。
①光に当ててはいけない。
②水をかけたり、濡らしてはいけない。
③真夜中に食べ物を与えてはいけない。

これは簡単そうで難しいルールですね。
少なくとも注意力の足りなそうなビリーには到底守れそうにありません。

モグアイに「ギズモ」と名付け夢中になるビリーだが、偶然の重なりから3つのルールは一つずつ破られてしまう。

ビリーの友人が持っていたオレンジジュースがギズモにかかり、「濡らしてはいけない」の禁が破られる。
濡れたとたんギズモは分裂をはじめ、個体は6体に増える。

増殖した個体にねだられるまま、ビリーは深夜にもかかわらず食べ物を与えてしまう。

「食べ物を与えてはいけない」の禁が破られ増殖したモグアイは「エイリアン」の繭のようなグロテスクな物体からグレムリンとして誕生し、悪さの限りを尽くす…
絶望感を感じるほど恐ろしいのですが、間違いなく言えるのは登場人物全員、事の重大さに気付くのが遅すぎますね。

驚くべきはビリーの母親リンの戦闘力です。
恐ろしいグレムリンに少しも怯むことなく、電子レンジやフードプロセッサーなどのキッチン用具を駆使し戦うのです。
包丁を片手にグレムリンと互角に戦う彼女の風貌から「エイリアン」のリプリーと重なってしまいました。
あのエセ発明家のダメおやじの妻を務めるには、このくらいの鋼メンタルでなければ務まらないのでしょうね。

終盤のスーパーマーケットのシーンは流血多めでホラー全開です。チェーンソーでビリーを襲うグレムリンはまさに「チャッキー」感があります。

夜が明け、太陽光にさらされたグレムリンは朽ちていく…

ビリーの恋人ケイトの役でフィービー・ケイツが出演していますが、彼女は80年代アメリカのトップアイドルで日本でも絶大な人気がありました。
人気絶頂時にもかかわらずヌードを披露するなど「攻めるアイドル」の印象があります。
彼女は「初体験/リッチモンド・ハイ」「フィービー・ケイツのトライアングル・ラブ」などエロい青春映画に数多く出演しており、「フィービー・ケイツの…」という冠がついただけでドキドキしたものです。

ギョロっとした目、毛細血管が透けた耳、クシャおじさんのような風貌、「ブサ可愛い」という概念が無かった当時、中学生だった私はギズモをどうしても可愛いと思えませんでした。
1980年代にアメリカで大流行した「キャベツ人形」という赤ちゃんの人形は、日本ではあまりウケなかった記憶があります。
ファービーやトロール人形など、アメリカ製のおもちゃというのは未だに日本人の思う「可愛さ」の範疇から逸脱していると思うのです。

ギズモは「知能が非常に高い」という設定なのですが、ビリーが危険な目に合っている時でも特に助けるでもなく呑気に遊んでいなど、飼い主にただ帰属するのみで「友情」を育むほどの知性は無いように見えます。
「人間ごときと友情や愛情を育んだりしない」のも犬や猫と違う未知の生物モグアイの特性でしょうか。
ビリーとの別れのシーンも、特に悲しむことなく「バイバイ、ビリー」と、とても淡泊なのです。

クリスマス感満載で当時は王道のデートムービーだった記憶があります。
スティーブン・スピルバーグが製作に関わっており、さすが全編に渡ってテンポが良く緊張感が途切れない展開です。

モグアイを回収に来た骨董屋の店主はビリーに
「いつか君にもきっと、モグアイを飼える日が来る…」
映画を見終わった感想は、この家族にモグアイを飼える日は永遠に来ないだろう、という事ですね。

総合評価☆☆☆☆☆
ストーリー★★★★
流し見許容度★★★
午後ロー親和性★★★★★

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