くっっっさいカード、ポケモンを目指す

「よかったら結婚式来てね!」

私は人生で一度しか結婚式に参列したことがない。幼き頃、そこで心に残ったのはでっかいエビであった。結婚式=でっかいエビと刷り込まれた自分はいつかまたあのでっかいエビを食べたいと思っていた。そしてエビの誘いが来た。

幼子と違い成人済みの人間にとって結婚式とはエビ食事会場ではなくお世話になった男女の永遠の幸せを祝う場である。そして参列者は言わば新郎新婦にとって築いてきた人間関係デッキでもある。

さて、もしもこの人間関係デッキ、例えばポケモンカードのデッキに1枚だけでも「批判家刺殺」が入っていたらどうだろうか?「殺戮遊戯」でもいいし「シヴ山のドラゴン」でもいい。ピカチュウカイリューヤドランゴブリンの鎖回しが並んでいたらどう思うか。
コイツとは終わりである。始まる前から終わっているのである。「弟がいたずらでいれて〜〜」などと言い訳をしたところでプレイ前にデッキチェックしなかったのか??スリーブも違うのに気が付かなかったのか??と相手への信用は地の底に沈むだろう。

私は新郎新婦の華やかな未来のためにせめて嘶くカルノサウルスからマグカルゴぐらいにならねばならない。ピカチュウは無理なのでマグカルゴとかドンメルあたりでも許してほしい。

そんなわけで気持ちよく新郎新婦を祝いエビを食べるため私はリングフィットアドベンチャーを買った。無職だけど。Nintendo Switchももちろん買った。無職だけど。
無職は誤魔化せるが身体から滲み出るエキサイティングなカードゲームの気配は誤魔化せないので必要経費なのだ。

さて、数日サボることはあれど今のところ続けられている。運動負荷は9。成人女性の平均運動負荷が20らしいのでゾンビトークンが部屋の中を徘徊しているのと変わりないかもしれないがゾンビトークンからちゃんとクリーチャーになる予定なので許してほしい。
目指せベトベトン、できればマグカルゴ、高望みするならオムスターになりたい。
ゾンビトークンは膝を痛めながらそう思うのだった。

(終)


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