ミリオンキャスティング 悪役令嬢 パターンB

こんにちは!
ミリオンライブ10周年めでたいですね!
そしてミリオンライブが10周年を迎えたということ、2月がもう終わるということ。それすなわち、ミリオンキャスティング 第二弾がやってくるということですね!

先日、あるフォロワーさんの大正ロマン悪役令嬢!?というツイートを見まして、良いなそれ!めっちゃ見たい!!と感銘を受け
気付いたらTwitter(下記参照)で、悪役令嬢でどの役柄にいくか出馬表明をしているアイドルちゃんたちの動向見て、それを参考に和風悪役令嬢のキャラ設定固めてました。固めていく上で、勝手に時代設定は明治初期〜中期になりました。

私は、公爵役に菊地真くんを推していますけど、でも他の子の公爵役も色々こんなの良いんじゃないの〜!?って感じで幻覚キャラ設定作っちゃっいました。ちなみに上記の幻覚キャラ設定の類はフリー素材なので誰かください。絵でも漫画でも小説でも。


で、ここからが本題なのですが、ここまで設定練ったのに、自分で書かないの勿体無いな〜でも全部を書ける気しないな〜と思ったので、とりあえず王子(=皇子)を三人として、同軸の時間軸(同じ世界観)で成り立たせるためのお話を書きました。
悪役令嬢テーマなのに、悪役令嬢と皇子は婚約していないので、悪役令嬢も侍女もピュア令嬢も出てきません。完全なる過去編です。
作中に出てくるのは、下記のメンバーです。
公爵→真くんのみ
皇子→響、亜利沙、美奈子ちゃん
そして、直接会話をしているのは真くん、響のみです。


リプツリー見てらんないよ!という方向けに、以下の小説を読む上で頭に入れて置いてほしいキャラ設定だけを抜粋して載せます。


公爵真くん → 「菊地」のその紋が示すとおり、臣籍降下による公爵家。真くんは一人息子で、陸軍に在籍。(尚、伯爵令嬢である二階堂千鶴の父は、陸軍の上官。そのため、千鶴とは面識がある。)

王子響→先の帝の正室の息子。現在の帝(=今上陛下)は年の離れた兄。兄弟仲は良い。というより、兄からは息子のように可愛がられている。春宮の立場である。(本作では、東宮の方が春宮よりも即位の順位が高いものとして設定しています)

王子亜利沙→名前は有佐(アリサ)。今上陛下の正室の息子で響と同い年。東宮位にある。母似であるため、今上陛下とはあまり顔が似ていない。響、真(響の遊び相手として分家筋から選ばれた)とは幼少の頃よりの付き合い。

王子美奈子ちゃん→名前は源斗(ミナト)。先の帝の落胤。側室の息子であるものの、政局および地盤の不安定さを故に、存在が秘匿されていた。春宮、東宮を擁立しようとした段階で存在が明らかになった台風の目。貧乏華族の元で育ったため、庶民に近しい目線で物事を見ることが可能だが、華族ゆえの自負が分からないところがある。

時代としては、議会制民主主義が始まる前を想定しています。

長々と失礼いたしました。
それでは以下、本文です。




 日出づる国として東洋に浮かぶ彼の国が、外海の広さを知り、列強諸国へと追いつけ追い越せと旧時代の者たちを排除するために立ち上がり、富国強兵の国造りを始め十数年が経った頃であった。三百年ほど続いた徳川の世が終わり、再び帝がその実権を握り、采配を振るうようになるのかと思いきや、欧米諸国の近代化の波に乗るように、日の本においても政《まつりごと》の実権は、旧時代を倒すのに活躍したかつての志士たち──現在はその頭を散切り頭にし、議員という姿へと変えた──が握り、この国で最も貴いとされる血を引く帝は、あくまでも国家の長という立ち位置の言わば傀儡であった。
  平安の頃からしばしば天皇という存在は、その時代に台頭した有力な実力者たちによってお飾りになることが多く、そういった役割に戻っただけに過ぎない。倒幕という一つの目標として纏まるための、その立場の利用価値の高さが再発見されたのであった。
  しかしながら、日の本という国の面白いところは、誰が実力者として台頭しようとも、それぞれの時代のいつにおいても天皇という存在は尊ばれるものであり、持てる権力の大小は時代により変化し、それによって歴史の表舞台に出るか否かが、変わるだけで、天皇家そのものの威信は今の時代においても曇ることがなかったのである。特に皇位継承の位には、天皇家の直系としての血が正統であり、かつ濃い者を据えるべきという考えが脈々と受け継がれており、それを示す春宮と東宮の、現在の立場を入れ替える方が良いのではないか、といった話がこの所、盛んに話題として挙がっていた。
  その話の渦中にあり、幼少の頃より、東宮としてその場にいた響は、その長い三つ編みの毛先をもて遊ぶ。
「春宮、東宮と地位は同じと言うけれど、昔から正当な後継といえば東宮だよね」
「まぁ、そうだな。丁度、元服も終えたところであるし。君は今上陛下の弟で、陛下の実子である有佐《ありさ》の方が、東宮に相応しいという話が出てくるのは妥当な流れだよね」
 そう答えたのは、響の又従兄弟に当たり、菊地家の時期公爵を次ぐと目されている真だ。菊地はその名が示す通り、数代前臣籍降嫁により生まれた華族である。彼らが気安いのは、幼少の頃より響と有佐の遊び相手として、真が充てがわれていたからであった。
「まぁね、有佐と自分は同い年だし、正直自分としては春宮の方が公務はぐっと少なくなるし、早く挿げ替えしてほしいと思っているんだけど」
  そう言うと彼は少し声を潜めて言った。
「父上の──先代の落胤が見つかったらしい」
「は?」
 真は思わず手にしていたカップを、ソーサーごと落としそうになった。
「嘘だろ?」
「それが本当なんだ」
「確かな筋なのか?」
 じ、と黒い瞳に射抜かれ響は手を鷹揚に振る。
「もちろん、だって兄様の手の物が探したんだから。公的儀式だし、念のために洗ってみたら、だよ。しかもな」
 と、ここで響は言葉を切ると遠い目をした。
「……自分と有佐と同い年らしい」
「嘘だろ! 」
 カチャンと陶器の擦れる音がした。先代の好色ぶりは有名で、正室のもとには、長男である今上天皇とその下に長女、更に大きく年の離れた次男として響の三人の子供がおり、これに加え、三人いる側室のそれぞれに産ませた子が幾人かいる。
  正室は旗本の産まれである。正室と縁組した当時は、徳川幕府がまだ政権を握っており、その後ろ盾は強力で、帝といえど側室を持つことは許されていなかった。そのため側室たちは、どれも新政府が立ってからその地位を有した者たちであり、錦の御旗欲しさと、あわよくば次代の天皇を自藩から、という魂胆からか、倒幕を牽引した長州、薩摩、土佐の各藩は、それぞれが睨み合うように先代へと、若く美しい名家の娘を充てがったのであった。
  明治として新しく政治の舵を切る際に、政局の流れが、時期天皇の地位を脅かすかと危ぶまれたが、幸いにも側室には女しか生まれず、帝の跡目を継ぐことが出来る男は正室の産まれであった。そのため、先代から今上陛下への即位は滞りなく行われたのであった。    

「なぁ、その落し子というのはさ、側室の産まれなのかい? その辺りの女中に手を付けたのではなくて?」
 探るような目をする真に、響は苦笑いを浮かべた。それだけで彼が何を言わんとするかが分かってしまい、真はあぁ、と頭を抱えた。側室でも無い地位の女の元に産まれたのであれば、響の耳に入る前に兄である今上陛下が対処をしている。
  幕末の激動を経て、薩摩と土佐は勢いを落とし、現在朝廷を支配する勢力として幅を効かせているのは長州である。真は俯きながら、最悪の想定を口にする。
「まさか、長州の方の産まれじゃないよね?」
「さすが、勘が良い。その通りさ」
「他人の空似ってことは……」
「自分は写真を見てないから顔を知らないのだけど、密偵が言うには先代にそっくりなんだってさ。目の遺伝もしっかりと出ていたと聞いた」

 帝の直系にはしばしば、蒼き目が遺伝として現れるという。元来、その蒼が出るのは珍しく、その眼を持って産まれた者を帝として立たせると、安定した治世を導くことが度々あり、蒼の瞳はある種神話性を孕んだものとして、まことしやかに囁かれており、過去にはその透き通るような目の輝きを理由に、帝の地位に就いた者もいるという逸話すら残っている。
  千年以上も続く家となれば、多くの血が混ざり、時代が下るにつれ蒼の眼を持つ直系は少なくなり、先代は数代ぶりに産まれた蒼の瞳を持つ者であった。その珍しさゆえか、彼には側室が三つも充てがわれたのかもしれない、と響は推測している。ただ、面白いことにその蒼は、正室の三人の子供たちにしか受け継がれなかったのであった。直系とはいえ、二代も下ると血は薄まるのか、孫である有佐には遺伝せず、周囲の落胆は大きかった、と聞き及んでいる。
  まだ元服したてであり、かつ兄である今上陛下が、その接触を阻んでいることもあるためあくまで耳に入っている情報としてしか捉えていないが、どうやらその目の色を理由に、響を東宮に推す勢力が一部在るのだという。響はそれを馬鹿馬鹿しい話であると思っているものの、神の末裔もとい、現人神としても崇拝され、そういった者たちからの支援によってこの時代まで途切れることなく続いてきた家であることを踏まえると、表立ってそれを批判することはできないのであった。

   はぁ、と真は小さく溜息をついた。
「あぁ、それは荒れるな」
「本当にね。よりによって長州の側室の産まれで、先代にそっくり。年齢も自分と一緒。幕末の動乱により、立場が危ういかもしれない、という判断で、国許に隠してた存在を、今になって!  実はもう一人、皇位継承権を持つ者が、それも長州の駒として有用な奴がいたんだ、なんてことを来週の朝議でいきなり出すつもりだったんだと! ハッ」
 段々と語気を荒らげていき、仕舞いには鼻をフンと鳴らして、響はカウチに仰向けに寝転がった。緩く編まれた三つ編みが、胸元のボタンに落ち、シャンと軽い音を鳴らす。行儀が悪い、と彼を諫める相手はこの場にはいない。
「別に帝の地位に興味なんかない。だけど、……だけど! 自分に同い年の異母兄弟がいたなんて今更聞いて! 冷静で居られるか!?」
「まぁそうだな。しかし、なんだ、そんなことがあるんだなぁ。ただでさえ、君はその目で少々厄介な位置にいるのに」
「そうなんだよ! あー面倒くさい。本当に皇位なんかどうでも良いんだ。だけど周りがそれを許してくれない。自分はずっと、兄上と有佐に何か有ったときの 代わり《スペア》として今まで生きてきたんだ。これからだって、そのつもりで……。ただでさえ、今は長州閥の独り勝ちで、それに皆鬱憤を溜めている。そんな中、こんな隠し種まで用意しているときたら、流石に薩摩も土佐も黙っていないだろうよ」
  ぶつぶつと文句を言う彼に、真は冗談を飛ばす。
「ハハ、まぁいざとなれば出家すればいいさ。僕の学友にも一人いたから、そいつに声掛けようか」
「出家ねえ、それも有りかもなぁ」
 ぼんやりとした目で響は宙を眺める。真の部屋の天井に張り巡らされた格子のその中には、四季折々の花が描かれている。眩しい照明の光を避けるように、隅の方の花を目で追い掛けるうちに、遠い昔のことが思い出された。
「……自分と有佐と真はさ、兄弟のように育ってきただろ。毎日庭で遊んだりして」
「ああ。有佐には悪いことしたな」
「自分と真の遊びには付いていけないよ~ってよく泣いてたよね」
「懐かしいな」
 活発で運動の得意であった響と真は、よく有佐を置いてけぼりにしたものだった。幼い頃は、それでよくべそをかいていたもののだが、ある時を境に二人に付いていこうとするから駄目なんだ、と悟ったのか一人でも楽しめる遊びを自分から始めるようになった。そして、彼が始めた遊びは独創的で面白く、かけっこや虫取りなどの腕白な遊びに飽きた響と真が、有佐の始めたものに後から合流する、というのが常であった。
「……でもその子は違うんだ」
 うん、と真は頷く。
「彼は名をミナト、と言うらしい。どういう文字を書くのかは知らない。多分、彼が跡継ぎ争いから逃れることは不可能だから、さ……」
 響はまだ視線を花に送っている。
「血を分けた兄弟として、多分向こうも複雑だろうけど、せめて仲良く出来たら良いなぁ」
「そうだね」
 響の一つ上の兄として、真はそれを優しく受け止めた。


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