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HKに聴く曲5選

(H) 変拍子が (K) 恋しいときに聴く曲。あるいは、(H) 変拍子が (K) 癖になりそうな名曲/迷曲

プログレ・ファンならずとも、変拍子って癖になりますよね。ひとたび変拍子の虜になると、どんどん過激さを求めてしまいます。物足りなくなるのです。昨日までの驚愕なリズムが、今日は当たり前になり、明日はさらに複雑怪奇に更新。70年代には斬新だった変拍子が、現在ではごくフツーの「サウンド意匠」に思えたりもします。ということで、病みつきになる、ぼくの記憶に染みこんだ 5曲をどうぞ。


☆The Enemy Inside☆

Title            The Enemy Inside
Artist          Dream Theater
Album      「Dream Theater」2013
Comment プログレ・メタルの創始者であり、牽引者であり続ける Dream Theater。昨年マイキーが復帰して、期待値は否が応にもアゲアゲです。本曲はメタル・ギターの変拍子の雛形。ドリムシのもうひとつの功績が、プログレの系譜における Rush の再発見/再定義ですからね。

☆Airesym☆

Title            Airesym
Artist          Aranis
Album      「Songs From Mirage」2009
Comment Aranis はベルギーのアコースティック・チェンバー・グループです。Univers Zero のお国柄なのか、変拍子はアプリオリに実装されています。室内楽というより、もはや生楽器によるアヴァン・ロック。作曲兼コントラバスの Joris Vanvinckenroye が実質的リーダーです。

☆Levitation 21☆

Title            Levitation 21
Artist          Tigran Hamasyan
Album      「The Call Within」2020
Comment Tigran Hamasyan はアルメニア出身のピアニスト。現在、ぼく的にもっともクールで刺激的な鍵盤奏者です。最大公約数的にはジャズを下地にしたサウンドですが、それでは全然たりません。70年代にプログレという単語が意味した音楽性/範囲を、彼は独りで再演、かつ超えてきます。そこらの生半可なロック・バンドより、ずっとロックしているのです。既成ジャンルは、いったん彼に白旗でしょう

☆Vicarious☆

Title            Vicarious
Artist          TOOL
Album      「10000 days」2006
Comment 90年代後半からTOOLが残した足跡は、時が経つにつれて偉大化するようです。プログレも含め、この種のダウナー&ヘヴィー・サウンドが全米1位になるようなことは、金輪際ありえなかったのですから (ミレニアム前後のあの時代に何があったのか)。工学的美意識とでも呼び得る、彼らの音楽性には、職人気質のこだわりが強烈。フィボナッチ数列を基にした変拍子を採用したことも (=Lateralus)、それを物語っています。

☆Sirens Dance☆

Title            Sirens Dance
Artist          Humble Grumble
Album      「Flanders Fields」2011
Comment またまたベルギーのジャズ&チェンバー・ロックの異才バンドです。Humble Grumble は多国籍のメンバー構成。R.I.O.の前衛性と異国情緒に溢れたダイナミズムを体現しています。ブラス・アンサンブルも強みのひとつで、華麗なる変拍子の波状攻撃が堪りません。

似たような曲調のチョイスになりましたが、変拍子にフォーカスしている以上、それも致し方ないですね。今回の裏テーマは、実はベルギー (Univers Zero) のチェンバー・ロックだったりします。ぼくの深層心理的に、R.I.O (レコメン系サウンド) にオマージュを捧げたかったのかもしれません。それはそれとして、今日的感覚では「どこが変拍子なの? 別にフツーの音楽でしょ?」といった意見が、圧倒的多数を占めるような気もします。

素朴な疑問ですが、複雑な変拍子を弾くプレイヤーって律儀に数えているのですか? それとも、フィーリングだけでやりきれちゃうの?




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