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いざ、昇格戦線へ(vs.モンテディオ山形の会報 2019-7/21)



 GWのアウェー戦では5-3-2の陣形変更で仲間絞ってアタックを封じられ立ち往生する中でセットプレーをぶちこまれカウンター攻勢でチンチンにされてしまったと編集部ではトラウマの鮮明過ぎる山形とのリベンジマッチです。天童はいいところでした

 複数主力選手の負傷復帰に伴う配置転換が功を奏して琉球をシャットアウトした手ごたえが上位相手に試される、そして勝てばPO圏内、本当に上位狙えるかもしれないと編集部も鼻息の荒くなる一戦でしたが、選手たちは落ち着いていた。おのれの浮つきっぷりを編集部は反省せざるを得ない。



試合情報



岡山 1-0 山形:仲間隼斗(74分)


メンバー

前節からの変更は関戸がCHから右SHに移り、CHには上田が負傷から復帰して以来初めてのスタメン。連勝した2試合の終盤に機能した布陣をこの一番にぶつけてきました。いざ尋常に勝負といった趣。


交代
岡山:24赤嶺→7中野(68分)、19仲間→11三村(86分)、14上田→16武田(89分)
山形:10井出→18南(68分)、9バイアーノ→13大槻(75分)、27坂元→16北川(83分)






満を持したダブル司令塔システムと我慢比べ

 試合はお互いに慎重に進めようという意志を感じる立ち上がりで、シンプルなロングボールから始めて守備が混乱する要素を極力減らし帰陣の速さに細心の注意を払う。特に山形にはその意向を強く感じました。高温高湿で遠方のアウェイという条件なのでそういう戦法を選んだという事でしょうか。とにかくお互い1-0で勝つという狙いをもった、隙を見せまいという戦いを繰り広げていました。

 もともと5バックで固める中央の硬さにはストロングのある山形で、それはアウェイ戦で骨身にしみていた岡山。それでも勝ち点差6で上位を追い上げるまたとない機会ぞと繰り出されたのは、前節機能した喜山が落ちてパスの出し手と受け手をずらす戦法。今回はこれに上田康太も加わってボールのない時は上下、相方がボールを持ったら平行ポジションでパスコースを作るという2ボランチの徹底した動きによって山形のワントップの守備を大いに苦しめた結果ひとまずボールは持たせようと撤退させることができました。

 前線はDFラインの背後から直接ゴールを狙うヨンジェ、引いて攻撃しやすい場所にボールを繋ぐ(ポストプレーをする)赤嶺、赤嶺の落とす場所からゴールへとすすめる仲間、彼らのサポートとセカンドボールでしつこく追いかけマイボールの確率を高める”マムシ”の関戸という取り合わせで、このバランスが非常に良く、上田の配球のうまさも手伝って、撤退されても苦しさというよりは主導権を握ったと手ごたえの持てる内容。特に赤嶺のポストがほぼ成功していました。

 そこで稼いだ時間をつかってサイドから山形ゴール前に迫りましたが、中央がガチガチに固く決定打には至りません。むっくんのナイス突破もことごとく跳ね返され主導権を握れたとはいえ難しい我慢比べの様相。カード覚悟気味のコンタクトプレーも少なくなく、この試合の重要さを物語るぶつかり合いになりました。

 赤嶺がほぼフリーだったのは、後ろでボールを持って出来た時間を使って、DFラインをヨンジェがひきつけ、仲間&関戸と両SBがそれぞれ間に立ってMFをひきつけることでスペースが出来たからで、これは後半にSBとCHへのパスコースを塞ぐよう山形前線の寄せ方が修正されることで後ろの時間が取れなくなり押さえられてしまいますが、そのために前がかりとなって生まれた裏のスペースをヨンジェが突いて決勝点になったのですから、非常にドラマティックな、しびれる駆け引きになりました。

 守備面でもバイアーノに当てて効率よく攻めたいという山形の狙いをうまく封じることができており、バイアーノへのシンプルなボールは濱田がしっかりと競り落としてくれましたし、地上戦もまずはシャドウとボランチを押さえてサイドに出たら戻ったSHとSBでしっかりと中のコースを切りながら挟むという前節のコンパクトネスを3バックの相手にも出せてたのは良かった。むっくんと仲間のコンビは2試合目ですが早くも安心して見られますね。



「33人の総力戦」

 後半になると山形は前半はあえてそんなに動かなかったのかな、という前線の活性化を図ってきます。

 前述したとおりSBへのパスコースを塞ぎながらCBに寄せようとする動きを出して岡山の思考プロセスにノイズを入れてきたり、やり直しのためにCHへ戻すバックパスを狙ってきたりと、岡山がボールを回しにくい状況を作ってきます。また、攻撃面でも60分(後半15分)を境にシャドウがDFラインを超える動きを増やしたり、バイアーノが運動量を上げてきたり。山形としてはここで1点を取りに来たという形だったのではないかと思います。

 サイドがなかなかあやしくなってきたのですが、ダブルボランチのカバー(上田さんがここでも抜群に効いてた)が非常に光っており、むっくんもなんとか裏を取る選手を捕まえることができました。右サイドは安定していましたね。関戸さんと田中のコンビはイカツイ。

 お互い65分にギアチェンジの交代を入れて勝負だというところで、勝負を分けたのは伝家の宝刀仲間・ヨンジェカウンターでした。ボール保持とブロック守備と新たな成果が積み上がっていったもののなかなか打ち破れない…というときに最初の武器が炸裂するというのは控えめにいっても王道少年漫画パッションがあり過ぎますし、サウナのようなジリジリとした展開で我慢した甲斐のあるスーパーゴールでした。

 終盤は親の顔より見た猛攻をしのぐ展開となりましたが、交代で入った三村が仲間に代わって推進力を発揮したり、武田君もしっかり中央を閉めて試合をクローズしてくれたりと、まさにベンチ、さらには有馬監督曰く「33人の選手」で総力を挙げて守り抜くことに成功しました。

 終盤こそちょっとむっくんがマークに付ききれず背走させられるシーンが散見され、PK未遂みたいなやつもあって肝が冷えましたが、PA内対応の集中力はさすがの一言。最後の最後までシュートを許さない守備を続けることができました。良かったよかった。


未来へ

 今節の戦いぶりは「昇格を争う資格」を示したものと言えるでしょう。ゴール前を堅固に固める相手との一瞬の隙を伺いあう消耗戦を集中力高く戦い切り、総力を結集して反攻を退けました。

 緊張感の高い試合だっただけにこの一戦を取りきった喜びは大きいですし逆に言えば落とした山形のダメージも大きいはずです。それは前半戦で散々逃げ切れなかった岡山にもよくわかる痛み。ようやく、ようやく上位相手に勝ち切れたことで得た上昇気流の実感はこの先の上位連戦で大きな支えになってくれるはずです。

 負傷復帰の上田が早々に軸となり上半期出番を失いながらも帰って来た”キャプテン”喜山がけん引する「ダブル司令塔システム」、濱田がCBに復帰して田中がSBに置かれたことでより広範囲にボール奪取力と読みの深さを発揮して安定したブロック守備、その結果、仲間・イヨンジェの強力な打開力を再び引き出すことに成功して生まれた決定力。本格的にチームがかみ合ってきました。この上昇機運を甲府・柏にぶつけていきたいところ。


”今シーズンの前半戦ですごく高い授業料を払って、たくさんの勝点を失ったので、その分やっとこうやって勝ち切ることができているし、失敗が生かされている。ただ一瞬抜くと、J2は僅差なので、すぐに追いつかれてしまうので、そういう部分はこれからも抜かりなく集中してやっていきたい。
(次戦に向けて)ここから上位のチームや名前のある選手、強力な外国人とやっていく。ただこの位置にいて上位対決を迎えるというのは、僕たちにとっては勇気になるし、自信になるし、やってやろうという気持ちが選手みんなにみなぎっている。一試合ずつ、積み上げて、もう一つ順位を上げていきたい。”
(椋原健太選手試合後コメントから)
https://www.fagiano-okayama.com/news/p1473055052.html


 むっくんもますますコメントに力がこもってきました。上位争いに打って出ることのできる充実感、自負、そして昂ぶり…フフ…むっくんのわりとビグマウスでありながら有言実行していくプロフェッショナルさ…アーイイ…たまらない……正直今日はわりとマンマークの弱点突かれて危なっかしかったですが…w

 自信を一つでも多く積みあげる夏にしていきたいですね。もちろんそれは今日の様なタフで苦しい道のりでしょう。しかしそれは山の頂に近づいているという証左なのです。満を持しての上位戦線、楽しんでいきたい。


それでは。