ユニフォームポエムで綴るサンフレッチェの歴史



ユニフォームスポンサーがNIKEになってから6シーズンたち、このまま継続であれば7シーズン目に入ろうとしています。7年目といえばサンフレの選手の中でも古株の部類に入ってくると思うのですが、毎年のデザイン変更は常にフレッシュな驚きをもたらしており、新作のユニフォーム発表がオフの一つの目玉となりつつあります。

選手を彩るユニフォームもまた、サンフレッチェの歴史の一つ。そのユニフォームのフィロソフィーを刻み込んだユニフォームポエムもまた、まさしく歴史の一つであるといってよいでしょう。

優勝してからは生産効率性が重視されていると思われる近代的でドライなデザインに対し、年々こじつけがエスカレートするコンセプトテキストとのミスマッチに心をくすぐられ続け、個人的に新作を待ち遠しくなるようになりました。今年は一体どのようなポエムが捻りだされるでしょうか。

グローバル企業の宿命とエンタテイメント産業のロマンシチズムとのダブルバインドより生まれいづる、空前絶後の超絶怒涛のユニフォームポエムをご覧あれ。

(以下、太字は筆者によるもの。CV.銀河万丈で脳内再生してください)



◆2011:出典 http://www.jleague.jp/jsgoal_archive/official/detail.php?press_code=00112708&keyword=%E3%83%A6%E3%83%8B%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%A0&team=451&year=2011(サンフレッチェのHPからは消えていましたので。復活してよかったJ'sGoal)

2011シーズンのサンフレッチェ広島のユニフォームには、ナイキの“Authority & Spirit”をデザインコンセプトに、クラブの歴史と伝統を重んじながらも、ナイキのグローバルデザインリソースを用いたジオメトリック(幾何学的)なデザインが施されています。1stユニフォームには、ホームタウンである広島の海、山、無数の島など、広島の自然からインスピレーションを得たデザインパターンが採用されています。2ndユニフォームには、広島の世界遺産である宮島の鳥居をイメージした鮮やかな朱色があしらわれ、敵地において宮島の神に守られるという意味が込められています。また、ユニフォームの要所には、サンフレッチェ広島の象徴としてエンブレムにあしらわれている「三本の矢」がプリントされています。


・新サプライヤー初年度ということで気合を感じさせる逸品。広島の多様な自然にインスピレーションを受けた幾何学模様とのっけから想像の翼がフライアウェイする強力なポエム波を観測している。しかしどう見てもエヴァ。そしてセカンドが鮭。チュンソンが初号機にしか見えない、ムジリはアンビリカブルケーブルにでも繋がれてるの?と話題をさらった。デザイン自体のインパクトからか初年度の遠慮からかポエム自体は控えな小品といえるものだがNIKEのユニフォームは一味違うと世のユニフォームポエム愛好家を震撼させたとかなんとかと語り継がれている。



◆2012:出典 http://www.sanfrecce.co.jp/news/release/?n=4961

今シーズンのホームユニフォームは、2011年同様に、伝統のサンフレッチェバイオレットを継承しつつ、多くの山岳地域からなり、大小含め140余りの島々から構成された広島県を紫色に濃淡を付ける事で大胆に表現しました。また、エンブレムに組み込まれているスクエアと斜線をユニフォームの生地に表現する事でモダンなデザイン仕上がっています。アウェイユニフォーム(メロンクラッシュ)には、三景のひとつにも挙げられる宮島の鳥居にインスピレーションを受けてデザインされた大胆なカラーを採用しています。また、縞々の濃淡による柄は、厳島神社、五重塔の層塔からインスピレーションを得たデザインとなっています。


・NIKEの本領発揮と言わんばかりの五重塔のように畳みかけるポエムポイントの高さに(鮭ユニ…お前、"メロンクラッシュ"いうんか…) エ デ ィ オ ンの胸ロゴが超弩級のインパクトを与えた怪作。そうはいってもエ デ ィ オ ンがだんだんとかっこよく見えてきて勝利の魔力の恐ろしさをサポーターに知らしめた。なお、エディオンロゴは当時経営統合決定から日が浅く、ロゴが間に合わなかったということで正式発足後ちゃんとしたロゴがCWCユニフォームに採用されると普通にカッコイイユニフォームになった。とはいえ、思い出深いエ デ ィ オ ンもまた初優勝の立役者の一人である。ありがとうエ デ ィ オ ン。エ デ ィ オ ンよ永遠なれ。


◆2013:出典 http://www.sanfrecce.co.jp/news/release/?n=5792

今シーズンのホームユニフォームは、2012年同様に、伝統のサンフレッチェバイオレットカラーベースに、戦国時代の安芸(現在の広島県西部)の戦国大名、毛利元就をイメージさせる甲冑模様を、NIKEのデザインディレクションによるカラーブロックでユニークにアレンジしています。また、トレンドのボーダーを紫の濃淡を用いてモダンに表現し、サンフレッチェバイオレットにディープバイオレットをアクセントカラーとして袖に入れる事で、インパクトあるデザインに仕上がっています。また、パンツやソックスに関してもシャツの注し色に使用されているディープバイオレットを使用し、ユニフォーム全体のイメージを引き締め力強く表現。パンツのサイドには、サンフレッチェバイオレットのシリコンテープをあしらい、ソックスのふくらはぎ部分には、チームのシンボルを表す「3本の矢」ロゴをジャガード仕様で組み込んでいます。
アウェイユニフォームには、厳島神社五重塔からインスピレーションを得た朱色とバイオレットのカラーコンビネーションを、トレンドのボーダーを用い、スタイリッシュで、今までに無いデザインに仕上げています。敵地でもサンフレッチェ広島が持つ伝統と文化を重んじる事ができる、インパクトあるデザイン仕様になっています。また、パンツのサイドには、サンフレッチェ広島のセカンドカラーに定着しつつある朱色(メロンクラッシュ)をシリコンテープであしらい、ソックスのふくらはぎ部分には、チームのシンボルを表す「3本の矢」ロゴをジャガード仕様で組み込んでいます。


・これまでの2年間のチャレンジぶりに比べると大人しめで、サンフレッチェの由来に基づく毛利元就モティーフと詩人らしからぬ現実味のあるチョイス。戴冠したからまあ遊びはいらないよねという大人の余裕とクールなビジネスの匂いを感じさせる円熟期の作品。その中においてもシンプルなボーダー柄に厳島神社要素を割り込ませるあたりは油断ならぬポエム力の充実を感じさせる。チームも抑制された堅守と一撃必殺の攻撃で先行逃げ切りを重ね、攻撃コンビネーションの行き詰まりを感じさせながらも粘りがちの形で逆転での連覇を掴み取った。まさにNIKEとサンフレッチェとの蜜月関係を象徴する作品といえよう。



◆2014:出典 http://www.sanfrecce.co.jp/news/release/?n=6757

今シーズンのホームユニフォームは、厳島神社の鳥居からデザインインスピレーションを得て、力強く・堂々と優雅に構えるダイナミックな風貌を表現しています。大胆にも伝統のサンフレッチェバイオレットをアクセントカラーとして採用し、近年アクセントカラーとして使用してきたディープバイオレットをメインカラーに用いた斬新なカラーコンビネーションが特徴です。ディープバイオレットをメインに使用することで、これまでになく引き締まった力強さを与えるユニフォームになっています。また、厳島神社の社殿からインスピレーションを受け、朱塗りをイメージした発色性のある朱色、メロンクラッシュをアクセントに使用し、歴史・文化的な要素を取り入れています。
アウェイユニフォームは、白とグレーを基調としたストライプを用いたシンプルでクリーンなデザインに仕上がっています。首元のリブや袖のリブには、アクセントカラーとしてサンフレッチェバイオレットとホームジャージにも使用している発色性のある朱色を使用。エンブレムに含まれている白とグレーのストライプと厳島神社境内の床(廻廊)からデザインインスピレーションを得ています。厳島神社の廻廊には水災害から社殿を守るために水避けの溝が入っています。このことから、「敵地でも固い守備とクラブのプライドをかけて戦ってほしい」という願いとともに、歴史と文化的な要素を取り入れたデザインです。また、ショートやソックスにもアクセントカラーとして発色性のある朱色を使用し、シンプルながらインパクトある表現になっています。


・サンフレッチェカラーであるバイオレット(蒼紫)からの大胆なカラーリング変更をNIKEポエムと二人三脚で歩んできたパートナーである厳島神社に託した意欲作。五重塔もさすがに3年繰り返すのもアレだと廻廊に掛け「風雨に負けない堅牢さ」と銘打ち、これまで五重塔のように積み重ねてきたポエム技術の充実を遺憾なく発揮している。ここまで推されていうのも難だがサンフレッチェは毛利家の祈願所であった清神社に参っているので厳島神社はどうなんだろう。そういった愚考に対して関係ないからこそユニフォームポエムはユニフォームポエムたりえるのだという力強さすら感じる清々しいポエムである。なお、チームは青山敏弘のワールドカップ選出から歯車が乱れ、リーグは森保体制最低の成績に終わり、ナビスコカップ(当時)では決勝進出も2点のリードを覆される屈辱のシーズンとなった。清神社の神様の逆鱗に触れたのであろうかとユニフォームポエム愛好家の間では本当にあった怖い話として語り継がれているとかいないとか。



◆2015 出典:http://www.sanfrecce.co.jp/news/release/?n=7721

今シーズンのホームユニフォームは、2015年Nike Global Footballにおけるデザインコンセプトである“HIGH SPEED BRILLIANCE”により、スピード感のあるデザインディティールと、最新のテクノロジーを採用しています。波動の流れや、鋭角を意味する“CHEVRON”(シェブロン)をデザインのキーポイントに、ハイスピードグラフィックと共に、ストライプのデザインを用いることで、クラシックでありながらモダンなテイストのデザインになっています。ストライプ柄をベースに、“CHEVRON”を3種類のパープルのグラデーションとして用いることで、躍動する矢を連想させています。ストライプ柄は、クラブエンブレムに使用されているデザインからインスピレーションを得て、ストライプ・シェブロン・グラデーションを巧みに用いた、非常に斬新で力強いデザインになっています。ショート・ソックスには、2012年以来となる、サンフレッチェバイオレットを採用することで、新鮮なカラーコンビネーションのデザインになっています。
アウェイユニフォームは、近年ベースとなっているホワイトとグレーを基調にしたユニフォームで、ホームと同様のデザインコンセプトを用い、大胆に左右非対称(アシンメトリー)で表現しています。また、これまでアクセントカラーとして使用してきた厳島神社の社殿からインスピレーションを受け、朱色(メロンクラッシュ)を採用してきましたが、2015年のアウェイユニフォームからは新たなストーリーを持った斬新なカラーを使用して表現しています。広島ならではのカラーストーリーとして、チームフラッグにも用いられているグリーンからインスピレーションを得て、斬新にも発色性のある鮮やかな“Venom Green”(ヴェノムグリーン)を使用。広島では、あらゆる場面で鮮やかな緑を感じることが多くあります。広島空港周辺、平和大通り、厳島神社周辺、吉田サッカー公園など、広島を取り巻く環境には欠かせない鮮やかな緑を、2015年のアウェイユニフォームはアクセントカラーに採用します。また、ホーム、アウェイともにバックネックには、クラブシンボルである3本の矢が大胆に刻まれています。

・スイカのような素朴な模様を重厚なポエム力と最新技術で洗練されたデザインに昇華した挑戦的な作品。NIKEポエムとしても長編の部類に入る大作となっている。ポエムの通り縦じまをみると実は複雑な加工が施されており、ポエムではあっても看板には偽りなしと世のユニフォーム愛好家をうならせたという。本作で最も画期的な点は”ヴェノムグリーン”の誕生であろう。明るい緑の差し色に広島をとりまく爽やかなグリーンを象徴させながら、”蛇蝎の緑”という挑発的なネーミングを与える発想の羽ばたきには舌を巻くばかりである。NIKEのチャレンジングなデザインとポエムに触発されたチームは浅野拓磨とドウグラスの爆発的なカウンターで勝ち点を荒稼ぎし、クラブ史上最高勝ち点での3度目の優勝とCWC3位入賞を飾った。

◆2016 http://www.sanfrecce.co.jp/news/release/?n=9088

紫紺を全面に使用する大胆なカラーリングを採用。この紫紺は、王や皇帝を表すインペリアルパープルを用い、常に試合巧者であるサンフレッチェ広島を象徴しています。ピンストライプや首元、そして襟には、クラブカラーのバーシティパープルを使用し、絶えることのないクラブのアイデンティティーを強く表しています。また、首元や袖、ジャージとショートのサイドには、アウェイカラーにも使用しているベノムグリーンのラインをつなげ、加速するスピードを表現しています。インペリアルパープルの重厚感と、ベノムグリーンのスピード感が絶妙に融合し、これまでに無い時空を超える様な力強さを感じさせるデザインが特徴です。
アウェイユニフォームは、近年ベースカラーに用いているホワイトと、グレーを基調としています。ラグランスリーブに用いられている透明感のあるガイザーグレーと、ボディーのホワイトのコンビネーションが、フレッシュでクリーンなサンフレッチェのプレイスタイルを象徴しています。また、首元や襟、SWOOSHにクラブカラーのバーシティパープルを使用し、アウェイの地でもクラブの誇りと共に戦う姿勢を表現しました。また、アクセントカラーとして今シーズンもベノムグリーンを採用。このカラーは、チームフラッグ、そして広島の街に欠かすことのできない鮮やかなグリーン(広島空港周辺・平和大通り・厳島神社周辺・吉田サッカー公園など)からインスピレーションを得ており、首元や袖、ジャージ、ショーツにつながるサイドラインに用いてインパクトを与えます。ボディーカラーのホワイト、クリーンなガイザーグレー、そして、発色性のあるベノムグリーンのコンビネーションによりスピード感を与えるデザインのユニフォームです。


・配色の変更を”インペリアルパープル”と厨二力あふるるワードで押し切った力作。厳島神社に仮託することなく”皇帝の”と評されたあたりにはクラブの成長を感じさせるが、チームカラーを勝手に”パープル”に変えアクセントカラーに降格させるというNIKEポエマーの放埓さが際立った作品ともいえる。ポエム自体は配色の妙の表現にも次元を超越させる奥行きが加わり、もはやベテランの風格といったたたずまいを感じさせ、新境地となったヴェノムグリーン節も健在と佳作であるが、試合巧者を象徴する色合いと銘打ったとは真逆の試合展開を繰り返してしまう残念なシーズンとなってしまい、やはり2014シーズン同様サンフレッチェ伝統のヴァイオレットを蔑ろにすると清神社の神罰が当たるのではとユニフォームポエム識者の中ではまことしやかにささやかれている。